異世界無宿

ゆきねる

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第二十八章 梅雨が明けるまで

第五百九十七話 メンテナンスしておこう

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イズミは現在、1人で黙々とブレスレット作りに没頭している。
運動不足解消のトレーニングを終わらせ、夕食を食べ終えてからは工作の時間になるのだ。
ここ数日で下準備は終わらせているので、今は頼まれた配置で繋げる作業をしている真っ最中なのである。

この手の作業は始めてみると案外ハマるものであり、熟れてくると最初期に作っていたブレスレットに対して気になる所が出て来てしまうのが難儀な所かもしれない。
まだ時間があるからとやり直しを考えてしまうのだ。
それを始めてしまうと作業の終わりが遠ざかるどころか、終わりが見えなくなってしまうので何処かで見切りをつけるのが大切になる。

「…よし、今日はこの辺で終わりにするか」

シンプルな配列のブレスレットを小サイズを指定数作り終えたイズミは、使わなくなった革紐で一括りにしてからショルダーバッグに収納する。
使い終えた工具を乾いた布で軽く拭いてから箱に仕舞い、同じくショルダーバッグに収納した。

腕時計を確認すると時刻は夜の9時を過ぎる所だったが、まだ睡魔も来ていないので軽く武器のクリーニングをする事に決めた。
帝国兵の拠点を襲撃したサンダーブレード作戦以降きちんとした分解清掃は出来ていないので、梅雨明け迄にしっかりとクリーニングをしなければならない。
アイテムボックス機能には時間経過が無効化される恩恵があるので大変助かっているが、だからといってクリーニングやメンテナンスを怠る事はご法度なのだ。

イズミは2丁拳銃を実体化させると、弾を抜いてから簡易分解を始める。
今日はこの2丁拳銃を清掃し、明日は44マグナムとバックサイドのリボルバーを清掃、その後は長物の清掃をしようと算段をつけた。

44マグナム弾の威力に近い強装弾を発射させる都合上、実銃の重量の約2倍になってしまった45口径オートマチックはその素材を鉄とアダマンタイトの合金へと変更されている。
スライドストップを外してスライドを引き抜き青味がかったバレルを取り出すと、このバレル単体でも重量感があった。

「最初に実体化した時とは別物だな」

クリーニング用の工具箱を取り出してバレル内部を清掃すると、思っていたよりも汚れていたので気持ち多めに拭き取りをする。
その後もスライド側を分解して清掃をしたら、次はフレーム側も清掃をする。
木製のグリップを取り外して内部状況を確認出来るようにしてから、細かなパーツが何処かへ飛んで行かないように注意しながら分解をする。
小さなバネやスプリングが床に落ちたら、探すのはとても大変なのだ。

2丁拳銃の分解清掃を終えると初弾を装填してから10連マガジンを挿し込み、セイフティを掛けてからホルスターに仕舞うと軽く念じただけで一瞬で消えてしまった。
消えている状態だと何故か重量も全く感じない仕様になっており、つくづく魔法の便利さに驚くばかりである。
そうは言っても全て魔王様セッティングなので、今後自分で何か出来る余地は無いが。

夜になってもグラテミアとの相談の日時の件で話が来ていないので、グラテミア側にて都合が合わず調整中なのだろうと思いながら寝支度を始める。


翌朝。
イズミが目覚めると何故か隣にオリヴィアが眠っていた。
寝ぼけてなにかしたのかと不安になり、念の為に自身の服装を確認するも特に乱れた形跡は無い。

「…オリヴィア、何をしてるんだ?」

「おはようイズミ…一緒に朝食でもと思って来てみたら、まだ寝てたからアタシも二度寝しようかと」

ベッドから身を起こしたオリヴィアは、何も身につけておらず生まれたままの姿に見える。

「服はどうした?」

「そこ」

オリヴィアが指差した先にあるテーブルの上に、オリヴィアの衣服が置かれている。

「あの服ではベッドじゃ寝難くてね」

「そう言う問題か?起こしに来たなら、普通に起こせば良かったのに」

「それはそれで面白くないし」

オリヴィアの判断基準はよく分からないが、目が覚めたので起き出して水分補給をしてからテーブルに置いていた腕時計を確認する。
まだ午前7時を僅かに過ぎた所だった。

「オリヴィア。何時頃起こしに来たんだ?」

「日の出くらい」

「早くないか」

「ベリアさんと同じくらいだけど」

オリヴィアが言うには、ベリアは日の出と共に起きだすと身体の慣らしをして、朝食を食べて冒険者ギルドへと出掛けたそうだ。

「イズミは寝相は良いけど、朝に弱いのかい?」

「苦手ではある。寒いとキツいし」

「そうだねぇ、ヒュミトールは冷えるからね」

そう言ってベッドから出て来たオリヴィアは、本当に一糸纏わぬ姿だった。

「寒くないのか?」

「まずそれかい…特には。この前話をしてたピアス、今の内に交換してくれない?」

オリヴィアは自分の秘部を一切隠す素振りも見せずに椅子へと座ると、足を組んで椅子の背に身体を預け乳頭に付いているリング状のピアスを外しやすいように突き出した。

「確かバーベル…棒状のタイプにするんだったな」

「そうそう。このピアスも気に入ってるけど、あの服にはそのバーベル?ってピアスの方が似合ってると思って」

「分かった、じゃあ交換するぞ。このピアスの脱着は簡単だから、気分で別パーツに変えるのも容易なんだ」

「簡単なら覚えやすいけど、出来ればイズミに交換して欲しいな。そうでもしないと中々アタシに触れてくれないし」

2つのリングピアスを外し終えたイズミを抱きしめたオリヴィアが、少し不機嫌そうな口調で不満を述べた。
オリヴィアとしてはもう少し、日常生活の中にもスキンシップが欲しかったのかもしれない。

「すまんすまん、旅路でそんな習慣が無くてな…今後は努力しよう」

バーベルピアスの脱着方法を教えながら付け終えたイズミは、装着感の確認の為に夜にも確認をすると話をする。
擦れると地味に痛いし、敏感な部分は治りも遅いのだ。

オリヴィアはまだ少し不満気な表情だったが、衣服を身に纏いイズミと一緒に朝食を取りに食堂へと行くのだった。
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