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第一章 異世界転移
第十話 交渉
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創造の女神と自称するリリア様との通話を切った俺は、しばらく車から降りる事が出来なかった。
踏ん切りがつかなかったのだ。
そんな時こそ、アクション映画の主人公達を思い返した。
どんな逆境であっても、立ち向かうヒーロー。
だが俺はヒーローじゃない。
どちらかと聞かれたら、アウトローに近いと思う。
覚悟が決まった訳では無いが気持ちを落ち着かせ、車から降りて長老に案内された部屋に戻る。
すると、アーリアが空になったラムネの瓶を覗き込んでいた。
「…イズミとか言ったな?この丸い物はなんだ?」
空になった瓶の中のビー玉を転がしながら、アーリアが尋ねる。
「それはビー玉だったかな…こちらではガラスの玉か」
俺はアーリアから瓶を受け取ると、気合いでプラスチックのキャップを外した。
かなり力を使ったからか、顔が熱い。
アーリアは瓶とビー玉を見つつ唸る。
「…この形状、この丸み、熟練のドワーフでも難儀するであろう精密さ…」
アーリアは俺の元へと来て、目を輝かせている。
「これがあのアーティファクトの魔法で出せるのか?」
胸ぐらを掴まれそうな勢いだ。
実際には両肩を掴まれて前後に揺らされている。
「数は出せないが、定期的にであれば出せるとは思う」
揺らされながら答える。
あくまで推測だが、と付け加えて。
「ならば定期的に私にこのラムネ?を提供してはくれないか?」
「豆を挽いたり草を煎じたりするのも良いが、これは別物だ!これ程までに美味な飲み物は飲んだ事が無い!」
と、声を大にして言われた。
「分かった、やってみよう」
そうは言ってしまったが、受け渡しはどうしたものか?
するとアーリアは喜びの声をあげ
「では早速、アーティファクトに転移の魔法符を貼らせて!」
アーリアは車へと駆け出して行った。
1分少々で戻ってきたら、イヤリングのような物を渡してきた。
「これは私とイズミ専用の魔法通信具だ。ラムネが準備出来たり、なにか気になる事があれば連絡してくれ」
「連絡を受けたら、私が受け取りに転移しよう」
魔法通信具…どう見てもイヤリングなのだが、こちらの世界では装飾品に何かしらの能力を付与する事が可能なのだろうか?
使い方を一通り教わる。
聞いた使い方のコツを簡単に説明すると、話をしたい相手に対して強く念を送る感じだ。
声に出しても、出さなくても良いらしい。
テレパシーか何かなのか?
そんな話の最中、気になる事が出てきた。
初めて会った連中との会話では、言葉が通じなかったのに、何故ここでは普通に話せているのか?
そんな疑問をアーリアにぶつけた。
「それは…およそ200年程前に大賢者様が、この森全体に言語瞬時翻訳魔法をかけたからよ」
言語瞬時翻訳魔法とは、アーリアの説明によると。
「この森は世界で1番広大なの。様々な種族がいて、言語がある。」
「言語の壁のせいで争い事が起きないようにとの願いを込めて、大賢者様が森の木々や精霊達や妖精達、果ては神族や魔族にまで助けを請い、300年以上かけて練り上げた世界最大級の半永続魔法なの」
凄まじい話だ。
300年以上とは、執念を超えた何かが大賢者を動かしていたのだろう。
「かなり小規模なものなら魔法使いでも習得出来るけれど、土地全体に半永久的かつ対象者無制限で効果を発揮する魔法…流石は大賢者様だわ!」
偉大なのは分かった。
やっている事の次元が凄過ぎて、現実感が無いような気さえする。
「つまり…俺がこの森を出れば、言葉は通じなくなる訳か」
俺は椅子に座って考え込む。
この森を運転するのは厳しいので、また草原方面に戻ろうと考えていたからだ。
「そんな魔法を小型化した魔法具もあるけれど、どれも高額よ」
ものによっては、魔法具1つで豪華絢爛な城が買える金額になるらしい。
「私で言うと、このブレスレットがそれよ」
そう言ってアーリアは右手を指差した。
銀色のブレスレット…バングルに見えるそれには、何か文字や紋様が刻まれている。
「このブレスレットなら半径10m位までなら、どの種族の言語も瞬時に翻訳されるわ」
そいつは便利だ。
俺もその手の装備が必要になると話すと、それは遠い王国の首都だったり、近場なら戦争中の皇国に行くしか無いらしい。
帝国は俺のような身元不明な人間に優しくないらしく、売ってはくれないだろうとの事だ。
「…私が手配してやらなくもない」
有り難いが、いささか不穏な気配のする口振りだ。
「ラムネの定期的な提供では足りませんか?」
そうゴネてみた。
この世界では、強かに生きていかなければならない。
この村に入った頃から、そう思っていたのだ。
「ラムネの対価は、この世界に関する知識だ。」
「ラムネの提供頻度が不明な現在、イズミのこう言った疑問質問に答えるのが、対価にしては相応しいと思うが?」
物凄い笑顔で返された。
魔法使いはこの手の駆け引きも上手いのか?
俺は苦手だ。
しかし、俺も長期間この村にお世話になる訳にもいかないだろう。
この森以外での活動するには必要不可欠なアイテムだ。
そんな話の最中、ポケットに手を突っこんだ。
その際に触れた物の存在を思い出し、ゆっくりと取り出した。
懐中時計だ。
銃を実体化した時に、何故か一緒に実体化してきた懐中時計。
大した装飾はされておらず、文字盤も控えめにオープンハートがあるだけの、シンプルなものだ。
これであれば、物々交換の対象になるのではないだろうか?
「アーリア、これとの交換…というのでブレスレットを用意しては貰えないだろうか?」
俺はポケットから懐中時計を取り出して、少しだけ竜頭を巻き上げてからアーリアへ手渡した。
「これは何かの装飾品の類いかしら?」
そう言いつつアーリアは懐中時計に対して呪文を唱えた。
「これは…時を…計る?」
どうやら対象が何かを調べる魔法らしい。
俺からは見えないが、アーリアには懐中時計の構造や使い方等が魔法で表示されていたりするのだろうか?
「何よ…これ…」
アーリアが懐中時計を強く握り締めつつ、小刻みに震えている。
「これ程の代物を、貴方どうして!?」
ほとんど発狂に近い声で説明を求められた。
「こちらに転移した際の所持品だ」
俺は咄嗟に嘘をついた。
それが色々な意味で最善策だと思ったからだ。
「最高峰の技術を持つドワーフの名工達でも、作成が非常に困難な1品。ですって!?」
そんな事が書かれていたのか。
腕時計も懐中時計も精密機械ではあるから、そういった意味では間違ってはいないか。
「これを…私に!?」
俺は静かに頷いた。
「本気…なのよね?本当に本気なのよね?」
何度も確認するかのように聞かれた。
「本気だ。後で返せと言う事も一切無い。」
アーリアの目を見て答えた。
「…分かったわ。ブレスレット、用意するわ」
「これからドワーフの所に行って、特注で作ってもらうから!待ってて!!」
アーリアは俺に懐中時計を渡すと、すぐさま転移魔法で何処かへと消えてしまった。
交渉は成立?なのだろうか。
俺は1人になった部屋で休息を取るには少々キツかったので、車に戻る事にした。
あの部屋には寝るためのスペースは無かったからな。
車の中で仮眠でも取るさ。
そう思いつつ、運転席のシートを倒して目を閉じた。
踏ん切りがつかなかったのだ。
そんな時こそ、アクション映画の主人公達を思い返した。
どんな逆境であっても、立ち向かうヒーロー。
だが俺はヒーローじゃない。
どちらかと聞かれたら、アウトローに近いと思う。
覚悟が決まった訳では無いが気持ちを落ち着かせ、車から降りて長老に案内された部屋に戻る。
すると、アーリアが空になったラムネの瓶を覗き込んでいた。
「…イズミとか言ったな?この丸い物はなんだ?」
空になった瓶の中のビー玉を転がしながら、アーリアが尋ねる。
「それはビー玉だったかな…こちらではガラスの玉か」
俺はアーリアから瓶を受け取ると、気合いでプラスチックのキャップを外した。
かなり力を使ったからか、顔が熱い。
アーリアは瓶とビー玉を見つつ唸る。
「…この形状、この丸み、熟練のドワーフでも難儀するであろう精密さ…」
アーリアは俺の元へと来て、目を輝かせている。
「これがあのアーティファクトの魔法で出せるのか?」
胸ぐらを掴まれそうな勢いだ。
実際には両肩を掴まれて前後に揺らされている。
「数は出せないが、定期的にであれば出せるとは思う」
揺らされながら答える。
あくまで推測だが、と付け加えて。
「ならば定期的に私にこのラムネ?を提供してはくれないか?」
「豆を挽いたり草を煎じたりするのも良いが、これは別物だ!これ程までに美味な飲み物は飲んだ事が無い!」
と、声を大にして言われた。
「分かった、やってみよう」
そうは言ってしまったが、受け渡しはどうしたものか?
するとアーリアは喜びの声をあげ
「では早速、アーティファクトに転移の魔法符を貼らせて!」
アーリアは車へと駆け出して行った。
1分少々で戻ってきたら、イヤリングのような物を渡してきた。
「これは私とイズミ専用の魔法通信具だ。ラムネが準備出来たり、なにか気になる事があれば連絡してくれ」
「連絡を受けたら、私が受け取りに転移しよう」
魔法通信具…どう見てもイヤリングなのだが、こちらの世界では装飾品に何かしらの能力を付与する事が可能なのだろうか?
使い方を一通り教わる。
聞いた使い方のコツを簡単に説明すると、話をしたい相手に対して強く念を送る感じだ。
声に出しても、出さなくても良いらしい。
テレパシーか何かなのか?
そんな話の最中、気になる事が出てきた。
初めて会った連中との会話では、言葉が通じなかったのに、何故ここでは普通に話せているのか?
そんな疑問をアーリアにぶつけた。
「それは…およそ200年程前に大賢者様が、この森全体に言語瞬時翻訳魔法をかけたからよ」
言語瞬時翻訳魔法とは、アーリアの説明によると。
「この森は世界で1番広大なの。様々な種族がいて、言語がある。」
「言語の壁のせいで争い事が起きないようにとの願いを込めて、大賢者様が森の木々や精霊達や妖精達、果ては神族や魔族にまで助けを請い、300年以上かけて練り上げた世界最大級の半永続魔法なの」
凄まじい話だ。
300年以上とは、執念を超えた何かが大賢者を動かしていたのだろう。
「かなり小規模なものなら魔法使いでも習得出来るけれど、土地全体に半永久的かつ対象者無制限で効果を発揮する魔法…流石は大賢者様だわ!」
偉大なのは分かった。
やっている事の次元が凄過ぎて、現実感が無いような気さえする。
「つまり…俺がこの森を出れば、言葉は通じなくなる訳か」
俺は椅子に座って考え込む。
この森を運転するのは厳しいので、また草原方面に戻ろうと考えていたからだ。
「そんな魔法を小型化した魔法具もあるけれど、どれも高額よ」
ものによっては、魔法具1つで豪華絢爛な城が買える金額になるらしい。
「私で言うと、このブレスレットがそれよ」
そう言ってアーリアは右手を指差した。
銀色のブレスレット…バングルに見えるそれには、何か文字や紋様が刻まれている。
「このブレスレットなら半径10m位までなら、どの種族の言語も瞬時に翻訳されるわ」
そいつは便利だ。
俺もその手の装備が必要になると話すと、それは遠い王国の首都だったり、近場なら戦争中の皇国に行くしか無いらしい。
帝国は俺のような身元不明な人間に優しくないらしく、売ってはくれないだろうとの事だ。
「…私が手配してやらなくもない」
有り難いが、いささか不穏な気配のする口振りだ。
「ラムネの定期的な提供では足りませんか?」
そうゴネてみた。
この世界では、強かに生きていかなければならない。
この村に入った頃から、そう思っていたのだ。
「ラムネの対価は、この世界に関する知識だ。」
「ラムネの提供頻度が不明な現在、イズミのこう言った疑問質問に答えるのが、対価にしては相応しいと思うが?」
物凄い笑顔で返された。
魔法使いはこの手の駆け引きも上手いのか?
俺は苦手だ。
しかし、俺も長期間この村にお世話になる訳にもいかないだろう。
この森以外での活動するには必要不可欠なアイテムだ。
そんな話の最中、ポケットに手を突っこんだ。
その際に触れた物の存在を思い出し、ゆっくりと取り出した。
懐中時計だ。
銃を実体化した時に、何故か一緒に実体化してきた懐中時計。
大した装飾はされておらず、文字盤も控えめにオープンハートがあるだけの、シンプルなものだ。
これであれば、物々交換の対象になるのではないだろうか?
「アーリア、これとの交換…というのでブレスレットを用意しては貰えないだろうか?」
俺はポケットから懐中時計を取り出して、少しだけ竜頭を巻き上げてからアーリアへ手渡した。
「これは何かの装飾品の類いかしら?」
そう言いつつアーリアは懐中時計に対して呪文を唱えた。
「これは…時を…計る?」
どうやら対象が何かを調べる魔法らしい。
俺からは見えないが、アーリアには懐中時計の構造や使い方等が魔法で表示されていたりするのだろうか?
「何よ…これ…」
アーリアが懐中時計を強く握り締めつつ、小刻みに震えている。
「これ程の代物を、貴方どうして!?」
ほとんど発狂に近い声で説明を求められた。
「こちらに転移した際の所持品だ」
俺は咄嗟に嘘をついた。
それが色々な意味で最善策だと思ったからだ。
「最高峰の技術を持つドワーフの名工達でも、作成が非常に困難な1品。ですって!?」
そんな事が書かれていたのか。
腕時計も懐中時計も精密機械ではあるから、そういった意味では間違ってはいないか。
「これを…私に!?」
俺は静かに頷いた。
「本気…なのよね?本当に本気なのよね?」
何度も確認するかのように聞かれた。
「本気だ。後で返せと言う事も一切無い。」
アーリアの目を見て答えた。
「…分かったわ。ブレスレット、用意するわ」
「これからドワーフの所に行って、特注で作ってもらうから!待ってて!!」
アーリアは俺に懐中時計を渡すと、すぐさま転移魔法で何処かへと消えてしまった。
交渉は成立?なのだろうか。
俺は1人になった部屋で休息を取るには少々キツかったので、車に戻る事にした。
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