異世界無宿

ゆきねる

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第二章 旅の始まり

第十九話 寂れた村

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カレーを食べ終えたアーリアに明日以降の予定を話した。

冒険者ギルドのある大きな町に向かう道中、中継地点となる小さな村で物資の補給をする。

アーリアの出してくれた地図にて、おおよその場所を確認した。

「冒険者ギルドの支店がある町なら、ミグルンが良いと思うわ。」

今いる場所とミグルンと言う町の間に小さな村があり、アーリアはその村の場所を指差した。

「クレンナ村ね…確か冒険者ギルドから派遣されたグループがいたと思うわ」

クレンナ村は小規模らしいが、ちゃんと商店はあるので問題は無いそうだ。
しかし、最近は村に魔獣や賊が来るやらで治安は良くないそうだ。

「ギルドの冒険者が対応してはいるけれど、戦闘の規模が大きくなっているみたいね…もしかしたら、巻き込まれるかも」

どうやら俺の向かう先々には、戦いの火種が燻っているようだ。

「その村に到着したら、現地で話をきいてみるさ。何かあれば連絡する。それと…」


アーリアにラムネを渡しつつ、カレンと直通の魔法通信を準備して貰えないか頼んだ。
アーリアはサラッと呪文を唱えたら、もう対応が完了したらしい。

「カレン、俺はそろそろ眠るが、そっちはどうする?」

カレンはマスタングの側にある木に飛び乗った。
そこで眠るらしい。
アーリアは既に転移していた。

俺は運転席に乗り込みシートを倒す。
流石に森で寝袋無しで眠るのは厳しい。
ちゃんとしたベッドが恋しくなるが、それは高望み過ぎるだろう。


翌朝、軽い朝食を食べたらマスタングを走らせる。
腕時計を視ると正午過ぎ、太陽はほぼ真上に居た。

クレンナ村が見えて来た辺りで一旦車を止め、戦闘が発生していないか様子を見てみる。

見た限り落ち着いているように思えるが…

「カレン、見る限り大丈夫そうだが…用心しておこう」

一声かけて、クレンナ村へ入る。

クレンナ村に入ると昼過ぎでも活気は無く、寂れた村と言うのが最初に抱いた感想だった。

馬車が通るであろう大通りを徐行で進むと、開けた場所があったので駐車する。

車から降りて戸の空いているお店らしき建物へと向かう。
入口を覗いてみるが、人は見当たらない。

「すまない。ここで買い物は出来るか?」

大きめな声で尋ねてみる。

「…何か物入りか?」

建物内からではなく、隣の家だろう建物から声がした。
右手を静かにリボルバーへと伸ばしつつ、声の主を探した。

「旅の途中でね。水や食料でも買えればと思ったのだが」

声の主が姿を現す。
長身の赤髪、軽装ながら鎧を身に纏っている。
手は腰にある剣の柄付近にあった。

「生憎だが、ここ数日の賊騒ぎで売り物は少なくなっている」

赤髪の男はゆっくりと躙りよって来る。

「何処に向かう予定か、聞いても良いか?」

まだ警戒されているのだろう。
最悪のパターンを想定して、リボルバーのグリップを握り締めた。

「ミグルンだ。冒険者ギルドの支店があると聞いてね」

男の目が鋭くなった。
俺は話を続ける。

「旅をするにも冒険者ギルドへ登録しておいた方が何かと便利…そう魔術師にきいたのだが」

男の表情が柔らかくなった。

「おぉ!冒険者志望なのか!」

耳に手を当てて誰かと話を始める。
すると、向かいの建物の屋上やお店の奥から人が出て来た。

俺は向かいの建物の屋上にいる奴に手を振った。
手を振り返されたが、弓のような物を持っていた。
…狙われていたのだと思うと、冷や汗が流れるのを感じた。


「ここ数日の襲撃で物資が枯渇気味でね」

赤髪の男が現状を説明してくれた。
大半の住民は避難させたが、襲撃の頻度が増加して安易に身動きが取れないそうだ。

「増援も依頼したが、到着には時間がかかる」

増援が到着するまで、村の主要部を守りきれる自信は無いのだと言う。

「飛び道具が無くなる寸前なんだ。次の攻撃が来たら、遠距離攻撃を出来るのはウチの魔術師だけになる」

そう言って赤髪の俺の隣に来た魔術師の方を見る。
遠距離攻撃が魔術師1人では対応仕切れないし、混戦になれば魔法も使いにくい。

「無宿の旅人で良ければ、手を貸せるが」

俺は争いの火種に、息を吹きかける事にした。

「戦える者が増えるのは有り難いが、見る限り武器は持っていないようだ。魔術師か?」

赤髪の男は俺の風貌を見つつ聞いてきた。
ローブはカレンに渡してしまったので、さぞ異質な服装に見えるだろう。
ライダーススタイルのジャケットにジーンズは、こちらの世界にはまだ存在していないだろうし。

「俺はただの人間だ。魔法の使える相棒ならいるが」

俺はカレンが乗っているマスタングを指差した。

「魔術師もいるのか?しかし…」

「戦力は多い方が良い。だろう?」

俺は一歩踏み込んで説得する。
赤髪の男は考え込んでいたが、俺の話に乗ってくれた。

「…俺は冒険者ギルドのアルセンだ。すまないが、協力してくれ」

「イズミだ。よろしく頼む」

アルセンと握手を交わし、カレンの方を見る。
マスタングから降りてきたカレンが俺の隣に来て、皆に挨拶をした。
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