異世界無宿

ゆきねる

文字の大きさ
50 / 624
第四章 旅と戦闘

第五十話 魔物の声響く洞窟?

しおりを挟む
冒険者パーティーの解体作業は、最終的に4人全員で行っていた。

牙や爪は取り終えていたのか、如何に毛皮を綺麗に剥ぎ取れるかで神経を尖らせていた。

マグナムもカレンの攻撃魔法も、ほとんどフォレストオーガの正面から撃ち込んでいた形だからか、背中側の毛皮は非常に良好な状態らしい。
穴や剣の傷すら無いのだ。

それを聞いたイズミは肩からぶら下げているマグナムを見て、少しだけ考えた。

『44マグナム弾が貫通しなかった』

マスタングがそれを知ったら、更に強力な武器を提案して来るのではないだろうか?
今ですら重くて苦労しているのに、もっと高威力の拳銃となれば…

カスールと名の付いた弾丸が脳裏を過ぎったが、すぐさま振り解く。

大物相手には素直にショットガンやライフルで対応すれば良いか。
イズミは1人勝手に自己解決していた。


魔術士がフォレストオーガの体内に魔石があるかを確認した所、子供の拳サイズの魔石が2つ見つかった。
これはかなりの収入になるらしい。
幸運な事に高純度な代物だったようだ。

魔術士以外は金になるとしか思っていないようだが、何かと有用な使い道でもあるようだ。
魔術士は目を輝かせて魔石を抱き締めていた。


解体作業も一段落したのか、皆で休憩を取ることにした。
腕時計が無いのでマスタングで確認すると、15時を過ぎた所だった。

水分補給をしつつ身体を休めていると、ゴブリンの巣があった場所よりもさらに奥から、魔物の雄叫びのようなものが聞こえた。
その場にいた全員の動きが止まった。

「…今のは?」

静まり返る状況で、イズミは何とか声を絞り出した。


マスタングに緊急で周囲の索敵を頼むと、運転席側のドアを開けて索敵結果を確認する。

「奥に魔物の反応はありますが、近付いて来る気配はありません」

念の為に冒険者パーティーの斥候担当とイズミで、少しだけ奥へと足を踏み入れる事になった。


「…洞窟?」


森林地帯の奥、木々に隠れて見辛いが地面に大穴がある。
窪地と言っても良いだろう。

観察していると横穴のようなものがある。

「ただの横穴とか、洞穴かもしれない」

流石に洞窟や洞穴を探検するには準備不足が過ぎるので、2人で相談して撤退することにした。

無理に調べる必要は、現時点では無いのだ。


皆の居る場所に戻り、見てきた事を報告する。

「ギルドに報告する必要があるな」

この森林地帯は街からそこまで距離がある訳では無い。
大型の魔物や凶悪な魔物が住んでいた場合、襲撃させる可能性があるのだ。

ゴブリン討伐の報告と、洞窟らしき物の発見。

説明するのも大変そうだ。

「なぁ、あれがダンジョンの入口だったらどうするよ?」

斥候の男がボソっと言った。
イズミ以外の全員が斥候の男を見る。

「ダンジョンだったら何なんだ?」

イマイチ常況を把握しきれていない男、イズミが聞き返す。

「国内外の冒険者や貴族が、ダンジョン攻略と金銀財宝目当てでやって来る」

そうなればこの森林地帯を切り開いて、ダンジョン街が作られる事になる。

そう断言していた。

「そんな面倒な話になるなら、早めに旅支度して移動したいな」

活気のある街や村は好きだが、長居はあまりしたくないとイズミは笑った。


「まだ日は沈んでない。俺が全力で移動すれば、明後日の日没までにはギルドに報告出来る」

斥候の男がそう言うと、冒険者パーティーのリーダーだろう剣士が頷いた。

すると、男が身体を伸ばしたと思ったら全身が光に包まれた。

光が消えると、そこには犬の顔をした獣人がいた。

「コイツは変化を覚えてるんだ」

剣士が教えてくれた。
初めてみた変化に驚いていたが、イズミもこれから帰る事を思い出した。

「面白いものを見せて貰ったついでに、1つ提案があるのだが」

イズミは1人か2人であれば、ミグルンまでなら陽が沈むくらいの時間で運べると伝えた。

半信半疑であったが、マスタングの説明をしたら斥候の男が獣人から変化を解いて、乗ってみたいと言って来た。

イズミはカレンに再び後部座席に乗ってもらうと、斥候の男を助手席に座らせた。

他の冒険者パーティーに別れを告げると、イズミは運転席に乗り込みアクセルを踏み込んだ。


その直後から斥候の男が車内で叫び散らかす事になるとは、他の冒険者パーティーは誰も想像してはいなかった。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

僕だけ入れちゃうステータス欄 ~追放された凄腕バッファーは、たまたま出会った新人冒険者たちと真の最強パーティーを作り上げる~

めでめで汰
ファンタジー
バッファーの少年カイトのバフスキルは「ステータス欄の中に入って直接数字を動かす」というもの。 しかし、その能力を信じなかった仲間からカイトは追放され迷宮に置き去りにされる。 そこで出会ったLUK(幸運)値の高い少女ハルと共にカイトは無事迷宮から生還。 その後、カイトはハルの両親を探すため地下迷宮の奥へと挑むことを決意する。 (スライム、もふもふ出てきます。女の子に囲まれるけどメインヒロインは一人です。「ざまぁ」もしっかりあります)

不死身のボッカ

暁丸
ファンタジー
逓信(ていしん)ギルドに所属する甲殻人ボッカ。歩荷(ぼっか=運搬人)だからボッカと素性を隠す特急便の運搬人。 小柄な身体に見合わぬ怪力、疾風のスピードと疲れ知らずのスタミナで、野を越え山越え荷物を運ぶ。 逓信ギルドの運搬人になったのは、危険な迷宮には入りたく無いから。面倒と危険を避けてすんなり仕事を終わらせたいのに、時にギルド支部長に命じられ行きたくも無い魔獣狩りの運搬人として駆り出される。 割とチートな身体能力を持ちながら、戦闘能力はからっきしで過剰な期待はされたく無い。こんな殺伐とした異世界生活なんかとっとと終わらせて眠るように死にたいと願う、そんな<不死身の歩荷>のお話。 ※種族名とか用語は前作と共通にしてますが、別の世界の物語です。世界観も若干違います。 ※「歩荷」とは一般的にいう「ポーター」のことですが、長距離運送も兼任しています。 ※作者が設定厨なので、時々本筋に関係ない解説回が入ります。 ※第16回ファンタジー小説大賞にエントリーしてみました。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

処理中です...