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第七章 貴族と冒険者ギルド
第八十四話 悪い癖
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暫し考え込んでいたイズミだったが、現状では良い案が浮かんで来なかったので食事を取る事に決めた。
「飯食べて一回寝てから、改めて考えるとしよう」
「賢明な判断だ。今日明日で劇的に状況が変わる事は無いだろうからな」
イズミとトーマス達は食事の準備を始めた。
カレンの故郷から何人か物資の補給で来ていたらしく、ガルシアが野菜を持ってきてくれた。
「野菜のスープってのは、ダンジョンや冒険中では中々ありつけないんだ」
カレンが鍋で野菜を調理している隣にで、トーマス達が保存食を切っていた。
「アイテムボックス持ちなら話は別だが、長期保存と保管場所に難があってな」
普通の冒険者ならそうなるのかと、イズミは納得した表情で1人マスタングの運転席へ座った。
「さてマスタング…自由気ままな旅を続けるのに、貴族様のご威光は必要だと思うか?」
「あると便利ではありますが、移動範囲は限定される可能性があるかと。領地外への旅をする場合は、事前連絡が必要になると思われます」
マスタングの分析も悪くは無いが、此方を甘く見ているならば、領地外への旅は貴族からの許可制になるだろう。
そうイズミは考える。
悪い方向に動く想定をしておいても、そこまで損は無いからだ。
「貴族に脅しでも入れるか?俺から自由を奪うなら総力戦になるぞ、とか」
「下手に敵を作る必要はありません。カレン様にも影響が出る恐れがあります」
自分1人ならば何の問題も無いが、カレンが居るし彼女の故郷がある。
カレンや故郷のエルフ族に迷惑を掛けたくは無い。
円滑に事を運ぶには…
「イズミさん」
運転席の窓をカレンが軽く叩く。
「どうした?」
イズミがマスタングから降りて、カレンに尋ねた。
「食事が出来ましたよ」
「ありがとう。手伝えなくてすまない」
マスタングのドアを閉めて皆んなが囲んでいる焚火へと向かった。
「…私や私の故郷の事を考えたりしてましたか?」
「物事を悪く考える癖があってね。心配性なんだ」
焚火の近くに座り、木製のカップに入ったスープを飲んだ。
味気は少ないが、温かさが身体に染みる。
黒パンをスープに浸して食べると、パンが柔らかくなり美味しい。
軽く周囲を見ると、冒険中と変わらぬ食事に野菜のスープが追加されたのみな感じだった。
「セレス?黒パンに何を塗ってるにゃ」
「え?ジャムですけど」
セレスとソラが食事に関しては話しをしている近くで、イズミは何食わぬ顔をしつつ普段より気持ち早めに食事を済ませ、食器の片付けがてら焚火から離れた。
もう日が暮れた空には星が輝いているが、元いた世界で見たような星座は見当たらなかった。
「イーズーミー…」
唐突に背後から聞き慣れぬ声がした。
ドスの効いた声と表現した方が正しかった。
「ジャムって何だにゃ」
鈍感なイズミでも振り返らずとも理解出来た。
血に飢えた猛獣の如き威圧感を纏ったソラが立っていると。
「果物の砂糖煮」
イズミは振り返る事無く答えた。
ここで振り返れば、必ずジャムを強請って来る。
そんな確信があった。
振り返らなくても、強請って来る予想も出来た。
「アタシにも1つ売って欲しいにゃ」
左側からソラの手が出て来て、その手には銀貨2枚が乗っている。
「セレスがイズミから銀貨2枚で買ったって聞いたにゃ」
威圧感のある声が近い。
魔物と戦うのとは種類の違う恐怖を感じる。
「セレスが本当に少しだけ分けてくれたけど、アレだけじゃ辛いにゃ」
美味しい食べ物は争いを生む。
イズミはため息をつきながら、マスタングの元へと向かった。
「飯食べて一回寝てから、改めて考えるとしよう」
「賢明な判断だ。今日明日で劇的に状況が変わる事は無いだろうからな」
イズミとトーマス達は食事の準備を始めた。
カレンの故郷から何人か物資の補給で来ていたらしく、ガルシアが野菜を持ってきてくれた。
「野菜のスープってのは、ダンジョンや冒険中では中々ありつけないんだ」
カレンが鍋で野菜を調理している隣にで、トーマス達が保存食を切っていた。
「アイテムボックス持ちなら話は別だが、長期保存と保管場所に難があってな」
普通の冒険者ならそうなるのかと、イズミは納得した表情で1人マスタングの運転席へ座った。
「さてマスタング…自由気ままな旅を続けるのに、貴族様のご威光は必要だと思うか?」
「あると便利ではありますが、移動範囲は限定される可能性があるかと。領地外への旅をする場合は、事前連絡が必要になると思われます」
マスタングの分析も悪くは無いが、此方を甘く見ているならば、領地外への旅は貴族からの許可制になるだろう。
そうイズミは考える。
悪い方向に動く想定をしておいても、そこまで損は無いからだ。
「貴族に脅しでも入れるか?俺から自由を奪うなら総力戦になるぞ、とか」
「下手に敵を作る必要はありません。カレン様にも影響が出る恐れがあります」
自分1人ならば何の問題も無いが、カレンが居るし彼女の故郷がある。
カレンや故郷のエルフ族に迷惑を掛けたくは無い。
円滑に事を運ぶには…
「イズミさん」
運転席の窓をカレンが軽く叩く。
「どうした?」
イズミがマスタングから降りて、カレンに尋ねた。
「食事が出来ましたよ」
「ありがとう。手伝えなくてすまない」
マスタングのドアを閉めて皆んなが囲んでいる焚火へと向かった。
「…私や私の故郷の事を考えたりしてましたか?」
「物事を悪く考える癖があってね。心配性なんだ」
焚火の近くに座り、木製のカップに入ったスープを飲んだ。
味気は少ないが、温かさが身体に染みる。
黒パンをスープに浸して食べると、パンが柔らかくなり美味しい。
軽く周囲を見ると、冒険中と変わらぬ食事に野菜のスープが追加されたのみな感じだった。
「セレス?黒パンに何を塗ってるにゃ」
「え?ジャムですけど」
セレスとソラが食事に関しては話しをしている近くで、イズミは何食わぬ顔をしつつ普段より気持ち早めに食事を済ませ、食器の片付けがてら焚火から離れた。
もう日が暮れた空には星が輝いているが、元いた世界で見たような星座は見当たらなかった。
「イーズーミー…」
唐突に背後から聞き慣れぬ声がした。
ドスの効いた声と表現した方が正しかった。
「ジャムって何だにゃ」
鈍感なイズミでも振り返らずとも理解出来た。
血に飢えた猛獣の如き威圧感を纏ったソラが立っていると。
「果物の砂糖煮」
イズミは振り返る事無く答えた。
ここで振り返れば、必ずジャムを強請って来る。
そんな確信があった。
振り返らなくても、強請って来る予想も出来た。
「アタシにも1つ売って欲しいにゃ」
左側からソラの手が出て来て、その手には銀貨2枚が乗っている。
「セレスがイズミから銀貨2枚で買ったって聞いたにゃ」
威圧感のある声が近い。
魔物と戦うのとは種類の違う恐怖を感じる。
「セレスが本当に少しだけ分けてくれたけど、アレだけじゃ辛いにゃ」
美味しい食べ物は争いを生む。
イズミはため息をつきながら、マスタングの元へと向かった。
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