異世界無宿

ゆきねる

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第九章 海を目指して

第百二十話 強かなカレン

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アーリアが言っていた事が気になったので、イズミは町を散策している途中でカレンに魔法通信を繋げた。

「イズミさん、どうかしましたか?」

一緒に旅をしていた時と変わらない口調でカレンが返事をくれた。

「冒険者ギルドから何か話を聞かれたりしたか?」

そう尋ねると魔法通信越しにカレンの笑い声がした。

「ありましたよ。全部素直に話したら、頭を抱えてました」

カレンはイズミが旅に出発した翌日には、冒険者ギルドの幹部から仮拠点の建物へとガルシアと一緒に呼び出されたそうだ。

「根掘り葉掘り聞かれましたよ。現状で最もイズミと言う男を知る存在だから、とか言われました」

何処で出会って一緒に旅をする事になったのか。
イズミとはどんな人間なのか?
どの様な戦闘スタイルなのか?
所有しているアーティファクトとはどんな物なのか?

半日程は質問攻めだったと笑っているカレンに、イズミは今回の旅が終わって拠点に戻った時の為に、お土産を買っておこうと心に決めたのだった。

丁度飯屋が目に入ったので、そこに入って野菜のスープを注文する。
テーブル席に1人で座り、カレントの魔法通信に集中する。


「最初の出会いから聞かれたのか?」

「はい。あの村で買われた所とか、絡んできた男の頭を吹き飛ばした所とか」

どうやらカレンは自身が覚えている限りの事柄を、丁寧に説明したようだ。

「一緒に冒険者ギルドに登録しに行った時の事も、ちゃんと話をしておきましたから」

カレンは冒険者ギルドに仮登録が出来たが、俺は確認出来る情報が無くて拒否されたからである。

イズミ自身は特に気にしなくなったが、カレンは未だに根に持っていたようだ。

「それと、戦闘スタイルはある程度ぼかして説明しました…イズミさんの武器は全部特殊ですから」

カレンの説明内容を聞かせてもらった。

まずはマグナムの事。

「イズミさんが肌身離さず持っている武器で、一度にはそんなに使えなくても、上級騎士の魔法防御付きの甲冑を貫通する威力はあると言ってます」

次にショットガンの事。

「アーティファクトに常備してある武器で、近距離戦で非常に強力だと説明してます。複数あるらしいとまでは言いましたが、具体的な違いまでは分からないと言っておきました」

他の武器の事。

「サイクロプスを倒せる威力を持った武器もあるとは言いましたが、あの時は私も必死だったので詳しくは分からないと言ってます」

武器に関して粗方聞いたが、どれも知られた所で何とかなる話にまとめてくれていた。

「マスタングさんについてですが、会話の出来る馬が不要な鉄製の馬車で、小さなアイテムボックスが搭載されているとだけです。他の能力については説明が出来ないと言いました…魔力を使って病を治すとか、詳細に説明が出来ませんから」

アーティファクトの説明も悪くない。
カレンは自分の事もあるのに、イズミの事も気にかけた動きをしてくれていたのだ。

「…で、俺の事をどう説明したんだ?」

イズミは聞きたく無かったが、一応確認の為に聞いた。

「イズミさんですか?…お金に無頓着で戦闘以外は結構無計画な所があって、普段は優しいけど戦闘になると冷酷になれて、厄介事に好かれて巻き込まれるタイプの変な人です。と言っておきましたので大丈夫だと思います」

カレンがこの魔法通信で1番元気に答えてくれた。

「大半が悪口に聞こえたのは俺の気の所為か?」

「きっと気の所為です」

カレンが気の所為だと言うのだから、気の所為だとしておこうとイズミは決めた。

無事だったのなら良かったと伝えると、カレンもアーリアと似たような事を言ってきた。

「イズミさんはこれからが大変だと思います。冒険者ギルドの幹部の方が一度イズミさんと話がしたいとか言って、各支部と連携を取って探しています」

冒険者ギルドはまず支部に情報を行き渡らせてから、的を絞り込んで行くようだ。

「それとなんですが…海を見に行くとまでは伝えてしまいましたので、海に面する町の冒険者ギルド支部は気合が入っていると思います。頑張って下さい!」

「そうか、そこまで話をしたか…」

イズミは誰かに追われる続ける旅路になるのは気分的に良くなかったが、必要であれば自ら顔を出せば良いと考えて気持ちを切り替えた。

「それと…」

カレンが今までとは違った声のトーンで話を続けた。

「この冒険者ギルドからの聴取に協力する際に、私から交換条件を提示したらあっさり通ったのです」

「何を交換条件にした?」

「村の復興支援です。ちゃんとギルド長の署名付きで誓約書も頂きました」

イズミはそれを聞いた瞬間、カレンには勝てないと悟った。

カレンは自分よりも遥かに強かな女だ。
ガルシアも大変だろうと思ったが、それは口には出さなかった。

「それは傑作だ!上手く俺を活用したな。それで良いんだ、俺の相棒ならそれくらいやってくれないとな」

イズミはカレンの強かさに満足したので、最後に軽く挨拶をして魔法通信を切った。

程なくして頼んでいた野菜のスープが届いた。

野菜がしっかりと煮込まれていて、美味しいのだが少し物足りなさを感じていた。
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