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第十一章 新たな相棒
閑話 王都の訓練場
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ある日の王都、訓練場はかなりの賑わいを見せていた。
事の発端は、冒険者ギルド内でまことしやかに囁かれている噂話である。
『王都の訓練場には、Sランク冒険者パーティーでもクリア困難な訓練があるらしい』
そんな話を聞いた腕に自信のある冒険者パーティーが、実際に尽く失敗しているのである。
訓練場の壁には3枚の紙が貼られている。
1つ目はゴブリンの巣の討伐訓練。
単独あるいは1つの冒険者パーティー向けの訓練で、ゴブリンの数は30体。
目標討伐時間は15~20分である。
2つ目はサイクロプス6体の討伐訓練。
これは複数のパーティーで対応可能ではあるが、目標討伐時間は10分となっている。
3つ目はレッドドラゴン1体の討伐訓練。
相手は下位のドラゴンで、目標討伐時間は10分となっている。
理由はドラゴン相手に10分以上戦闘をして地面に落とせないなら、そもそも勝ち目が無いと言う訓練場側の判断である。
しかし、この紙には参考記録として1分30秒と言う、理解に苦しむ記録が記載がされている。
「くそぅ!サイクロプス6体を同時に相手するなんて無理だろ」
「何とか2体は倒せたけど、光線を使われたら無理ね」
「あの光線は反則だ…訓練とは言え一撃死ってなんだよ!」
果敢にも挑戦をする冒険者パーティー達だったが、サイクロプス戦の成功者が中々に出て来なかった。
途中からサイクロプス1体での討伐訓練も追加されたが、このサイクロプスが曲者で腕を切っても足を切っても攻撃を仕掛けてくるし、直撃したら一撃死の光線もバンバン放ってくるバケモノ仕様だったのである。
しかし、バケモノ仕様のサイクロプス1体との訓練戦は非常に評判が良かった。
一見倒すのは不可能に思えるが、いざ戦ってみると何故か不可能では無い、倒せる可能性を感じる難易度。
非常に困難なだけなのだ。
この絶妙な難易度が、王都の冒険者達を燃え上がらせた。
あるSランク冒険者パーティーの剣士が光線を大剣で防いだ結果、大剣が折れたと言う判定が出た時、冒険者達は更にヒートアップした。
この訓練戦を見る為だけに訓練場へ訪れる者まで現れ、見学に来た貴族や騎士隊は、あまりの凄まじさに顔を青ざめたり冷や汗をかいたりしていたと言う。
ドワーフ族の鍛冶師が噂を聞いて試してみたら、自慢の大剣が光線の直撃で折れたと判定が出た。
「なんて事だ…もっと強い剣を作らなければ!」
そう言って目を輝かせながら訓練場を去ったなんて話すらある。
後日、王都内の鍛冶屋にて実際に光線を防いだ大剣が見つけ出されて、訓練場に飾られるまでになっていた。
日夜、冒険者がサイクロプス戦に挑む中で、ある者が声を上げた。
「本当にあのサイクロプスを倒した奴がいるのか?」
バケモノ仕様のサイクロプスを倒した者が存在する事実を、信じられなくなった冒険者の疑問だった。
それを聞いた1人のエルフが、水晶を取り出した。
「倒した記憶がある。しかも2人で」
青い髪のエルフが水晶に向けて呪文を唱えると、訓練場にサイクロプス戦の映像が浮かび上がった。
そこにはバケモノ仕様のサイクロプスに対して武器を構える、1人の人間と1人の獣人が居た。
映像では顔がぼやけているが、人間が魔道具で攻撃を仕掛けている所から、獣人がナイフと風魔法を使ってサイクロプスの頭を斬り落とす所までが映し出された。
映像が止まると、冒険者達がすぐさま検討会を始めた。
「足止めだな。動かれては対処出来る気がしない」
「あんな魔道具は見たことないな。魔道具屋に相談してみるか?」
「土魔法か氷魔法で動きを封じるのが良いけど、まず動くサイクロプスに当てられるか?」
「あの光線を防ぐのが大変だ。映像では何かで目潰しをしていたが、何故あの距離で効果があるのか分からん」
「訓練場の広さなら何とかなるかもしれないが、これが実戦だとダンジョン内だろ?厳しいな」
王都にいる冒険者達は研究熱心である。
その後、遂にバケモノ仕様のサイクロプス討伐の成功者が現れはしたが、それはSランクの冒険者パーティーが2組合同で戦い、何とか達成したものだった。
魔術師4人がかりで氷魔法を広範囲に発動してサイクロプスの動きを止め、1人の剣士が最初の光線を命懸けで防ぎ、残りの剣士が斬り倒す連携プレーで討伐をしたのだ。
このSランク冒険者パーティーのペアは、サイクロプス6体の討伐もギリギリで成功した。
その時は冒険者ギルドから特別報酬が出された。
そうして訓練場は常に賑わいを見せる、王都の名所になり始めていた。
しかし、ドラゴン討伐訓練の成功者だけは現れなかった。
時間内には倒しきれなかったり、地面に落とす前に全滅する事がほとんどだった。
まず初手のブレス攻撃を耐えられないのである。
実戦では平原だとしても、訓練場内ではブレス攻撃を避けたり防いだりする事自体がまず至難の業なのだ。
青い髪のエルフにドラゴン討伐の映像を見たいと頼み込む者もいたが、エルフは微笑みを返すだけで映像を見せる事は無かった。
それは何故か?
…参考記録の映像をエルフは思い返す。
ドラゴンのブレス攻撃を軍馬よりも高速な移動で避けつつ、魔道具でドラゴンの翼や胴体に向けて高精度かつ高威力の遠距離攻撃を命中させ続けて地面へ落とす『1人の男とアーティファクト』の姿…
この映像は誰に見せたとしても、全く参考にならないからである。
事の発端は、冒険者ギルド内でまことしやかに囁かれている噂話である。
『王都の訓練場には、Sランク冒険者パーティーでもクリア困難な訓練があるらしい』
そんな話を聞いた腕に自信のある冒険者パーティーが、実際に尽く失敗しているのである。
訓練場の壁には3枚の紙が貼られている。
1つ目はゴブリンの巣の討伐訓練。
単独あるいは1つの冒険者パーティー向けの訓練で、ゴブリンの数は30体。
目標討伐時間は15~20分である。
2つ目はサイクロプス6体の討伐訓練。
これは複数のパーティーで対応可能ではあるが、目標討伐時間は10分となっている。
3つ目はレッドドラゴン1体の討伐訓練。
相手は下位のドラゴンで、目標討伐時間は10分となっている。
理由はドラゴン相手に10分以上戦闘をして地面に落とせないなら、そもそも勝ち目が無いと言う訓練場側の判断である。
しかし、この紙には参考記録として1分30秒と言う、理解に苦しむ記録が記載がされている。
「くそぅ!サイクロプス6体を同時に相手するなんて無理だろ」
「何とか2体は倒せたけど、光線を使われたら無理ね」
「あの光線は反則だ…訓練とは言え一撃死ってなんだよ!」
果敢にも挑戦をする冒険者パーティー達だったが、サイクロプス戦の成功者が中々に出て来なかった。
途中からサイクロプス1体での討伐訓練も追加されたが、このサイクロプスが曲者で腕を切っても足を切っても攻撃を仕掛けてくるし、直撃したら一撃死の光線もバンバン放ってくるバケモノ仕様だったのである。
しかし、バケモノ仕様のサイクロプス1体との訓練戦は非常に評判が良かった。
一見倒すのは不可能に思えるが、いざ戦ってみると何故か不可能では無い、倒せる可能性を感じる難易度。
非常に困難なだけなのだ。
この絶妙な難易度が、王都の冒険者達を燃え上がらせた。
あるSランク冒険者パーティーの剣士が光線を大剣で防いだ結果、大剣が折れたと言う判定が出た時、冒険者達は更にヒートアップした。
この訓練戦を見る為だけに訓練場へ訪れる者まで現れ、見学に来た貴族や騎士隊は、あまりの凄まじさに顔を青ざめたり冷や汗をかいたりしていたと言う。
ドワーフ族の鍛冶師が噂を聞いて試してみたら、自慢の大剣が光線の直撃で折れたと判定が出た。
「なんて事だ…もっと強い剣を作らなければ!」
そう言って目を輝かせながら訓練場を去ったなんて話すらある。
後日、王都内の鍛冶屋にて実際に光線を防いだ大剣が見つけ出されて、訓練場に飾られるまでになっていた。
日夜、冒険者がサイクロプス戦に挑む中で、ある者が声を上げた。
「本当にあのサイクロプスを倒した奴がいるのか?」
バケモノ仕様のサイクロプスを倒した者が存在する事実を、信じられなくなった冒険者の疑問だった。
それを聞いた1人のエルフが、水晶を取り出した。
「倒した記憶がある。しかも2人で」
青い髪のエルフが水晶に向けて呪文を唱えると、訓練場にサイクロプス戦の映像が浮かび上がった。
そこにはバケモノ仕様のサイクロプスに対して武器を構える、1人の人間と1人の獣人が居た。
映像では顔がぼやけているが、人間が魔道具で攻撃を仕掛けている所から、獣人がナイフと風魔法を使ってサイクロプスの頭を斬り落とす所までが映し出された。
映像が止まると、冒険者達がすぐさま検討会を始めた。
「足止めだな。動かれては対処出来る気がしない」
「あんな魔道具は見たことないな。魔道具屋に相談してみるか?」
「土魔法か氷魔法で動きを封じるのが良いけど、まず動くサイクロプスに当てられるか?」
「あの光線を防ぐのが大変だ。映像では何かで目潰しをしていたが、何故あの距離で効果があるのか分からん」
「訓練場の広さなら何とかなるかもしれないが、これが実戦だとダンジョン内だろ?厳しいな」
王都にいる冒険者達は研究熱心である。
その後、遂にバケモノ仕様のサイクロプス討伐の成功者が現れはしたが、それはSランクの冒険者パーティーが2組合同で戦い、何とか達成したものだった。
魔術師4人がかりで氷魔法を広範囲に発動してサイクロプスの動きを止め、1人の剣士が最初の光線を命懸けで防ぎ、残りの剣士が斬り倒す連携プレーで討伐をしたのだ。
このSランク冒険者パーティーのペアは、サイクロプス6体の討伐もギリギリで成功した。
その時は冒険者ギルドから特別報酬が出された。
そうして訓練場は常に賑わいを見せる、王都の名所になり始めていた。
しかし、ドラゴン討伐訓練の成功者だけは現れなかった。
時間内には倒しきれなかったり、地面に落とす前に全滅する事がほとんどだった。
まず初手のブレス攻撃を耐えられないのである。
実戦では平原だとしても、訓練場内ではブレス攻撃を避けたり防いだりする事自体がまず至難の業なのだ。
青い髪のエルフにドラゴン討伐の映像を見たいと頼み込む者もいたが、エルフは微笑みを返すだけで映像を見せる事は無かった。
それは何故か?
…参考記録の映像をエルフは思い返す。
ドラゴンのブレス攻撃を軍馬よりも高速な移動で避けつつ、魔道具でドラゴンの翼や胴体に向けて高精度かつ高威力の遠距離攻撃を命中させ続けて地面へ落とす『1人の男とアーティファクト』の姿…
この映像は誰に見せたとしても、全く参考にならないからである。
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