異世界無宿

ゆきねる

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第十三章 陰謀の気配

第百六十九話 お話ししましょう

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今夜は月明かりが雲に隠れており、絶好の夜襲日和である。
イズミとベリアは目的地としてポイントした建物を視界に捉えてから、攻撃がしやすい場所を探した。

周囲に隠れる場所が少ない為、初手の攻撃から突入までの時間を短く設定する必要があった。

「敵の拠点は見えるが、少し遠いな」

イズミは敵拠点から約200mの所でアサルトライフルを取り出し、スコープで拠点から溢れる明かりを確認した。

ベリアの先導で更に接近する。
彼女の隠密行動の技術は素晴らしく、スラッと身を潜めやすい草原に溶け込んだ。

改めてスコープを覗く。
拠点の入口の扉が開き、男が1人で外に出て来た。
扉を閉めて近くの草むらへ歩いて行く。

「ベリア、あの男を黙らせる。周囲の警戒を頼む」

「分かった」

ベリアに警戒を頼んだイズミは素早くライフルに初弾を装填すると、サプレッサーが装着されている事を確認してからメガネを利用して照準を合わせた。

パシュッ!

撃った反動が身体を揺さぶる。
メガネから魔力の反応が消えたのが分かった。

「よし、もう少し近付いてから奇襲する」

イズミはライフルのダストカバーを閉じてから、グレネードランチャーの準備をした。


ランチャーの有効射程内に入ったので、予備の弾を手元に置いてからベリアと奇襲攻撃の最終確認をした。

「ベリア、俺がこの武器で5発攻撃をする。攻撃を終えたらベリアは左側から拠点の裏側の制圧を、俺は正面から乗り込む。」

「分かった…何時でもどうぞだ」

ベリアの準備も整ったようなので、イズミはグレネードランチャーを建物に定めた。

この攻撃で隷属の魔法を使った者が死なないのか疑問に思ったが、例え死んでも痛手では無いので、躊躇わずに引き金に指をかけた。

ボコーン

そんな音と共に弾が飛んでゆく。
イズミが急いで2発目をセットしていると、爆発音が聞こえた。
再度照準を合わせ、撃ち込む。

合計で5発撃ち込んだら、ベリアに合図を送り正面から攻撃を仕掛ける。
ショットガンをアイテムボックスから取り出すと、ドラムマガジンが空になるまで撃ち込んだ。

相手が生きているのならば、裏口から逃げ出すだろう。
ソイツらはベリアが捕らえてくれるし、建物に籠もるならばショットガンで挨拶をするだけだ。

ドラムマガジンを交換してから、一旦相手の動きを確かめる為に地面に伏せる。

メガネでスキャン結果を確認すると、生存者は3人いるようだった。
その中の2人が移動しているのが見えたので、ベリアに連絡をする。

「ベリア、裏口から2人だ」

「見えてる…捕まえておくよ」

「頼んだ」

イズミは建物内に残った1人の状態を確かめるべく、静かに建物へと近付くと内部をライトで照らしてみる。

グレネードランチャーは見事に仕事をこなしてくれたようで、無残な死に方をした男だっただろう死体や、千切れた腕を抱き抱えている死体もあった。

血の匂いに咽そうになりつつも、目の前の敵に集中する。
油断や集中の途切れは、戦闘時には致命傷に繋がりかねないのだ。

「ぐぐぅ…」

そんなうめき声を聞いたイズミは、声の主をライトで照らし出した。

ライトで照らされた男は、足に木の破片が突き刺さり地面にまで刺さっていた。
それを抜く事が出来ず、逃げ出せなかったのだ。

「マスタング…コイツか?」

「違います」

「そうか」

イズミはうめき声をあげる男の胸にショットガンを撃ち込んでから、ベリアの元へと向かった。

裏口から出ると、ベリアがロープで2人を縛り終えていた。

「イズミ、捕まえといたぞ」

「ありがとう…ではお二人さん、少しお話しをしましょうか」

縛られた2人の目の前でナイフとマグナムを取り出してから、メガネで対象者を探した。

「マスター。右の男性が対象者です」

マスタングから結果を報告されたが、敢えて反応せず男達に聞いた。

「隷属の魔法…この国では法で使用を禁止されていると聞いたのだが、使ってるよな?」

2人が驚きの表情を見せるが、返事は来ない。

「法で禁じられている魔法を使ってまで、何を企んでいたのか気になったのでね。夜分だがわざわざ聞きに来たんだ」

ナイフを2人の顔の前でチラつかせるも、この程度の脅しでは動じないようだった。

「…知らんな」

右の男が唾を吐きつつ言った。
薄ら笑いを浮かべて、イズミを試しているかのようだった。

「そうか」

イズミは残念そうな声を出してから、右側の男の右眼をナイフで刺した。
叫び声をあげる男は一旦無視して、左側の男にも聞く。

「アンタは知ってるか?」

「お、俺じゃない!コイツが使ったんだ!」

あまりにも当然のようにナイフで眼を刺したイズミに恐怖心を持ったのか、すぐに答えてくれた。

効果は覿面だった。
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