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第十七章 臨時の同盟
第二百四十話 対人特化型です
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ベリアが地面まで飛んでイズミを降ろすと、両腕を軽く回してからストレッチを始める。
聞くところによると筋肉痛対策らしいが、効果があるのかは分からなかった。
「これで一件落着か?」
マスタングに索敵を頼むと、現時点では魔法反応も無いとの事だった。
一旦は落ち着けると判断したイズミは、欠伸をしながらソフィアとツォーネットの居る場所まで歩いて行く。
「終わったぞ」
「…あの距離で正確に頭を攻撃するとは」
どうやって攻撃したのか分からない以上、ツォーネットはイズミの戦闘スタイルを掴みきれていない。
しかし、今回の戦闘で2つのヒントを与えてしまっている。
1つは、ワイバーンを落とせる攻撃力を持っている事。
もう1つは、遠距離でも精密な攻撃が出来る事だ。
「見事でしたわ」
ソフィアがイズミへと近付き、狙撃に関して話を切り出す。
「あのような技術を身に付けるには、かなりの時間を費やしたとお見受けします。是非ともお話をお聞かせ頂きたいですわ」
「…無宿人の生きる術ですので、申し訳ありませんがお話は出来ません」
イズミは丁重に断ると、ベリアと共に宿屋へと帰って行く。
その後ろ姿を静かに見ていたソフィアだったが、目付きが鋭く変わり魔法通信で誰かに連絡を取り出した。
「セラス、イズミと言う旅人とベリアと言う冒険者について急ぎで調べて。特にイズミと言う男に関しては徹底的に」
「御意に」
魔法通信を切ると、ツォーネットに命じる。
「ツォーネット、貴方が把握しているあの2人の情報を渡しなさい。私の公務に関わる重大な事項よ」
「…かしこまりました」
ソフィアとツォーネットは、遠くに見えるイズミとベリアの背中を目で追うと、冒険者ギルドの建物へと歩き出した。
宿屋に向かう道中で、ベリアがくしゃみをする。
「ヴェッくしょい!誰かアタイの噂でもしてるのか?」
「一度に5体のワイバーンを倒したんだ、噂にもなるだろう」
ベリアはククリナイフに右手を置くと、得意気に語り出した。
「あの時ナイフを構えたらさ、自分の魔力とナイフの魔力が1つになった気がしたんだ!そしたらさ、急にワイバーンの周りの風が視えたんだ。だからナイフを振り落とす時に、その風がワイバーンを斬る想像をしたらさ、一気にスパッとワイバーンを倒せたって感じ!」
ベリア自身も興奮気味である。
クラーケン討伐時は日々の鬱憤やら以前の冒険者パーティーへの不満や怒りを原動力にしていたが、今回はそんな感情とは関係無しにナイフの持つ魔力を引き出した攻撃が出来たようだ。
「あの一撃は凄かった!あれは俺では出来ないな」
「そうなのか?」
「俺の攻撃手段は基本的に、同時に複数を相手にするのが苦手なんだ」
特定の状況を作れば例外はあるが、基本はベリアに説明した通りなのだ。
「へぇ~、そんな風には見えないけどな」
「ある程度の魔物にも対応は手出来るけど、俺の戦闘スタイルは対人特化型だと思ってる」
ここ数日は戦闘をしているので、そろそろガッツリと身体を休めたい。
火山地帯にあると言う温泉に思いを馳せながら、イズミは小さなため息をついた。
場所は変わり、冒険者ギルドでは。
「彼の相棒は彼女が2人目なのね。1人目は?」
「エルフ族の女性で、名をカレンと言います。現在は隣国の故郷にて新たに発見されたダンジョンの運営と管理を担当しているようです」
「そのカレンと言う方は、冒険者ギルドの登録者?」
「仮登録ですね。帝国との戦闘にて故郷が壊され、復興している最中との事です」
「…新規登録に関する規定ね」
ソフィアは従者が用意した紅茶を口にすると、テーブルに並べられた資料の1つを手に取った。
「どれどれ、肝心の彼は?最初の記録は冒険者ギルドへの登録申請と不可判定ね…不可判定?」
「彼の出自に関する情報を確認出来なかったのです。国も生まれも家族構成も全て真偽不明、彼を知る者自体が居ないのです」
「で、確認出来る彼の功績は…コレ、本当なの?」
「信じ難いですが、事実です」
資料には冒険者ギルドがカレンへ聴取した話がまとめられている。
「王国の貴族とも関わりがあるのね」
「はい。王都の冒険者ギルド本部の者が確認しております」
「ブロズムナード辺境伯のご令嬢との面識あり…」
資料をめくっているソフィアの手が止まる。
「…これも本当なの?」
冒険者ギルド本部の報告資料には、エレナとイズミの魔法適性の診断結果が書いてある。
『エレナ嬢の鑑定では、魔法適性の増加を確認』
『イズミと言う男の鑑定を行った結果、水晶は何一つ反応せず。魔法適性無し』
ツォーネットも資料を確認するが、報告者の直筆サインが事実を物語っている。
「イズミ殿は冒険者ギルドに良い感情を持っておりませんので、簡単な事は答えてくれますが…冒険者ギルドには非協力的と言わざるをえません。これについて聞いたとしても、答えてはくれないかと」
「でしょうね。この資料を見ただけで、私なら即刻解雇を通達する者達ばかりよ。冒険者ギルドはカレンとベリアの2名に感謝する事ね」
ソフィアは紅茶をゆっくり飲むと、今後の立ち回りに関して思案し始める。
イズミも私と同じ者達を敵に回している。
どうにか同盟のようなものを組めないだろうか…
聞くところによると筋肉痛対策らしいが、効果があるのかは分からなかった。
「これで一件落着か?」
マスタングに索敵を頼むと、現時点では魔法反応も無いとの事だった。
一旦は落ち着けると判断したイズミは、欠伸をしながらソフィアとツォーネットの居る場所まで歩いて行く。
「終わったぞ」
「…あの距離で正確に頭を攻撃するとは」
どうやって攻撃したのか分からない以上、ツォーネットはイズミの戦闘スタイルを掴みきれていない。
しかし、今回の戦闘で2つのヒントを与えてしまっている。
1つは、ワイバーンを落とせる攻撃力を持っている事。
もう1つは、遠距離でも精密な攻撃が出来る事だ。
「見事でしたわ」
ソフィアがイズミへと近付き、狙撃に関して話を切り出す。
「あのような技術を身に付けるには、かなりの時間を費やしたとお見受けします。是非ともお話をお聞かせ頂きたいですわ」
「…無宿人の生きる術ですので、申し訳ありませんがお話は出来ません」
イズミは丁重に断ると、ベリアと共に宿屋へと帰って行く。
その後ろ姿を静かに見ていたソフィアだったが、目付きが鋭く変わり魔法通信で誰かに連絡を取り出した。
「セラス、イズミと言う旅人とベリアと言う冒険者について急ぎで調べて。特にイズミと言う男に関しては徹底的に」
「御意に」
魔法通信を切ると、ツォーネットに命じる。
「ツォーネット、貴方が把握しているあの2人の情報を渡しなさい。私の公務に関わる重大な事項よ」
「…かしこまりました」
ソフィアとツォーネットは、遠くに見えるイズミとベリアの背中を目で追うと、冒険者ギルドの建物へと歩き出した。
宿屋に向かう道中で、ベリアがくしゃみをする。
「ヴェッくしょい!誰かアタイの噂でもしてるのか?」
「一度に5体のワイバーンを倒したんだ、噂にもなるだろう」
ベリアはククリナイフに右手を置くと、得意気に語り出した。
「あの時ナイフを構えたらさ、自分の魔力とナイフの魔力が1つになった気がしたんだ!そしたらさ、急にワイバーンの周りの風が視えたんだ。だからナイフを振り落とす時に、その風がワイバーンを斬る想像をしたらさ、一気にスパッとワイバーンを倒せたって感じ!」
ベリア自身も興奮気味である。
クラーケン討伐時は日々の鬱憤やら以前の冒険者パーティーへの不満や怒りを原動力にしていたが、今回はそんな感情とは関係無しにナイフの持つ魔力を引き出した攻撃が出来たようだ。
「あの一撃は凄かった!あれは俺では出来ないな」
「そうなのか?」
「俺の攻撃手段は基本的に、同時に複数を相手にするのが苦手なんだ」
特定の状況を作れば例外はあるが、基本はベリアに説明した通りなのだ。
「へぇ~、そんな風には見えないけどな」
「ある程度の魔物にも対応は手出来るけど、俺の戦闘スタイルは対人特化型だと思ってる」
ここ数日は戦闘をしているので、そろそろガッツリと身体を休めたい。
火山地帯にあると言う温泉に思いを馳せながら、イズミは小さなため息をついた。
場所は変わり、冒険者ギルドでは。
「彼の相棒は彼女が2人目なのね。1人目は?」
「エルフ族の女性で、名をカレンと言います。現在は隣国の故郷にて新たに発見されたダンジョンの運営と管理を担当しているようです」
「そのカレンと言う方は、冒険者ギルドの登録者?」
「仮登録ですね。帝国との戦闘にて故郷が壊され、復興している最中との事です」
「…新規登録に関する規定ね」
ソフィアは従者が用意した紅茶を口にすると、テーブルに並べられた資料の1つを手に取った。
「どれどれ、肝心の彼は?最初の記録は冒険者ギルドへの登録申請と不可判定ね…不可判定?」
「彼の出自に関する情報を確認出来なかったのです。国も生まれも家族構成も全て真偽不明、彼を知る者自体が居ないのです」
「で、確認出来る彼の功績は…コレ、本当なの?」
「信じ難いですが、事実です」
資料には冒険者ギルドがカレンへ聴取した話がまとめられている。
「王国の貴族とも関わりがあるのね」
「はい。王都の冒険者ギルド本部の者が確認しております」
「ブロズムナード辺境伯のご令嬢との面識あり…」
資料をめくっているソフィアの手が止まる。
「…これも本当なの?」
冒険者ギルド本部の報告資料には、エレナとイズミの魔法適性の診断結果が書いてある。
『エレナ嬢の鑑定では、魔法適性の増加を確認』
『イズミと言う男の鑑定を行った結果、水晶は何一つ反応せず。魔法適性無し』
ツォーネットも資料を確認するが、報告者の直筆サインが事実を物語っている。
「イズミ殿は冒険者ギルドに良い感情を持っておりませんので、簡単な事は答えてくれますが…冒険者ギルドには非協力的と言わざるをえません。これについて聞いたとしても、答えてはくれないかと」
「でしょうね。この資料を見ただけで、私なら即刻解雇を通達する者達ばかりよ。冒険者ギルドはカレンとベリアの2名に感謝する事ね」
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