異世界無宿

ゆきねる

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第十七章 臨時の同盟

第二百四十五話 免状交付

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翌朝。

「マスター、ソフィア様にコチラを」

イズミがあいも変わらずコーヒー作りに勤しんでいると、マスタングがソフィア用に何か作ったらしくトランクにて実体化されていた。

「ソフィア用?」

トランクを覗き込むと、鍵とアクセサリーが1つづつ付いたキーリングが入っていた。

鍵の形状は古き良きシンプルな物で使い所が分からず、アクセサリーは静電気除去グッズでよく見るタイプだった。

「とりあえず聞くが、どんな効果があるんだ?」

「鍵は物理に、アクセサリーは魔法に対応しております。使用者の魔力を使い解錠が可能です。どちらも緊急時の脱出に有用です」

「…もしかしてだが、突入時にも使えるのか?」

「勿論です」

マスタングはここ数日の戦闘からして、ソフィアにも敵の魔の手が伸びると判断していたのだ。

「護身用の武器も必要かと」

「そこまでか?護衛だっているだろ」

「ソフィ様が発行する貴族特権の免状は、ソフィア様がご存命中のみ有効です。何かあって肝心な時に期限切れになっている可能性は、なるべく低くしておいた方が良いかと」

「…貴族社会は恐ろしいな」

イズミはマスタングに乗り込むと、モニターにてピックアップされていた護身用武器を確認する。

「どれどれ…」

見てみると、ほとんど小型拳銃だった。
25口径から38口径のオートマチックが数種類、22口径から38口径の獅子っ鼻(スナブノーズ)リボルバーが数種類、他にあるのはクラシックなメリケンサックとかだった。
全て銀色のアイテムなのは、マスタングのセンスなのかもしれない。

「オートマチックは説明が面倒くさいな、小型で隠し持ち易くて良いが。リボルバーは護身用とはいえ装弾数的に不安だな」

「魔力弾を撃てるようにします」

モニターに銃と魔力弾の情報が映し出される。
仕組みとしてはBB弾が魔力弾になっただけのエアソフトガンであり、事前に使用者とのペアリングをしておけば専用武器として使え、使用者の魔力を超圧縮して撃ち込む非殺傷弾と説明された。
命中すると全身を麻痺と激痛が駆け巡るらしい。

弾の再装填が不要になったので、魔力量次第では実質装弾数無限なのである。

「麻痺と激痛の詳細を教えてくれ」

「麻痺は長時間正座をした時の痺れと身体を攣った時の状態が全身に来て暫く続きます。激痛につきましては、男性の痛みで例えますと金的に攻撃を受けた時の痛みが全身を貫き暫く続きます」

詳細を聞いたイズミは痛みを想像して背筋がゾッとしてしまった。
非殺傷弾と言っているが、下手をすればショック死くらいはありそうだ。
少なくとも、自分は気絶する自信がある。
それ程までに恐ろしい代物だった。

「そこまで必要か?こんなチートみたいな代物」

「緊急時に脱出は出来ても、武器が無ければ切り抜け辛い戦況もあります。武器の現地調達は困難です」

鍵と銃、あと財布があればある意味アメリカを感じ取れるキャリーセットが完成である。

「選ぶのが難いな」

イズミは悩みに悩んだ末に、25口径のオートマチックを実体化させる。
とにかく薄く小型で衣服に引っ掛かりにくい方が良いと判断したのだ。
ニッケル張りのような輝きを放ち、パール調のグリップになっているのが特徴的である。

「コチラにまとめました。ソフィア様にお渡し下さい」

マスタングはソフィアの緊急時用道具セットとして実体化した。
一冊の本が出て来たので開いてみると、オートマチックとキーリング、それと見覚えのある小瓶が1つ入っていた。

「これはまさか」

「緊急用の魔力補給薬です」

「あのクソマズいやつか」

小瓶の中身を想像しただけで表情が険しくなる。
コレを飲む事態にならない事を祈りつつ本を回収する。

「ちなみにだが、この魔力弾ってのは俺は使えないのか?」

「使えません。本は魔力を込めると普通の日記帳に擬装が可能で、日記帳としても利用出来ます」

マスタングは即答した。
ガックシと肩を落としたイズミだったが道具セットのペアリング方法を確認してから、本に収納された緊急時用道具セットをショルダーバッグに入れる。

「マスター。ペアリング後にマスター以外の者が銃を撃った場合なのですが」

「どうなるんだ?」

「銃が爆発しますので、ご注意下さい」

イズミはニヤリと笑みを浮かべると、冒険者ギルドへと歩き出した。


冒険者ギルドに到着したイズミはソフィアから1枚の紙を受け取った。

「これが貴族特権の免状よ。貴方の名前に限定してるけど、ギルドも上流階級の貴族も下手に妨害は出来なくなるわ」

上質な紙を綺麗に丸めると、ショルダーバッグに丁寧に仕舞う。

「どうも。有効期限は?」

「私が生きている間はずっとよ。この案件が終わったら返却してね」

「分かった」

イズミはソフィアの背後にいる従者とツォーネットを見てから、コッチの話を切り出した。

「すまないが、ソフィア以外は席を外してくれないか?大事な話がある」

ソフィアはイズミの顔をジッと見た後で、静かに左手を上に上げる。
ツォーネットは何か言いたげであったが、従者と一緒に部屋を出ていった。
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