異世界無宿

ゆきねる

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第十八章 手掛かりを探して

第二百六十九話 足早に移動しよう

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馬車に乗った2人は、身体を休めながら今後の事を考えていた。

「イズミ。明日キメラの報告を聞いたら、その後はどうする?」

「そうだな…商人ギルドの副ギルド長から話を聞いてみたいが、それは無理だろうしな。火山地帯への旅を再開するか」

冒険者ギルドでキメラの報告を受けたら、一連の出来事をソフィアに報告すると決めていると、馬車が宿屋の近くに到着したのかゆっくりと停車する。

「到着したぞ。御足労感謝する」

透明になるローブから頭だけを出した男が、馬車の扉を開けるとそれだけ言った。

2人は宿屋へ直行すると緊張の糸が切れたのか、各々の部屋にてベッドに倒れ込んだ。


翌日。
2人は宿屋の朝食を食べると、冒険者ギルドへと向かった。
それとなくベリアに監視の目が無いかを確認したが、今の所は無いようだった。

「確認は終わってるが、朝から話す内容としては重いぞ」

「それはもう仕方無い事だ」

ヨーレムの挨拶を受け流し執務室まで移動すると、キメラに関する報告を聞く事にする。

「大分無茶な合成をしていたようだな」

ヨーレムが報告書を取り出すと、目を細めながら読み上げた。

「大人の人間が6人、ゴブリンが3体、フォレストリザードが1体、魔力溜まりで巨大化した洞窟ムカデが1体、それといくらかの魔石に、魔族の血と骨も使われている」

「そんなにか」

思ったよりも合成の素材が多い事に驚きつつも、そこまでしてキメラを生み出す必要があったのかが疑問として残る。

「合成は3度行われていると思われる。根拠としては、ゴブリンを合成の受け皿にしていると予想させるからだ」

何かを無理矢理合成する際、ゴブリンを緩衝材代わりに使う事が過去の資料から確認を取ったと言う。

「例えるとだな、人間2人とフォレストリザード1体を合成するのにゴブリン1体を生贄にするって感じだな」

「本当に気持ちの悪い事をしやがる」

ベリアが正直な感想を口に出すと、ヨーレムも頷いていた。

「その計算だと、3回目に失敗したと見ているのか?」

「そう考えています。2度目の時点で危険サインは出ていた筈です」

ヨーレムがイズミに渡した資料には、簡易的なイラストで合成に関して書かれていた。
それによると、2回目の合成はキメラと人間と洞窟ムカデの3種類を合成すべくゴブリンを生贄に利用したと考えているようだった。

その時点でキメラの姿は異質なものであり、制御も困難になったので慌てて3度目の合成に踏み切ったのではとの見解らしい。

「合成魔法は禁忌とされています。魔法陣や魔術師の不備…実力不足もですが、そう言う物があると魔法陣の近くに居る存在から、合成に必要な物を吸収する場合があるとされています」

「つまり2度の合成には一応成功していたが、3度目の合成で何かが不足した結果、術者も合成の材料として吸収されたってオチか」

手に持っていたイラストをヨーレムに返却すると、大きなため息をついて腕を組んだ。

「この件は国内の全冒険者ギルドへ緊急伝達する案件となりました」

「そうか。俺達は本来の旅に戻るつもりだから、そのつもりで」

イズミがヨーレムの執務室から出ようとすると、ベリアが補足で行き先を伝える。

「火山地帯に行くんだ。魔族と約束があってな」

ベリアはAランク冒険者になった都合上、行き先を伝えないといけないのだ。

「分かりました、周辺の町にある冒険者ギルドにはそう伝えましょう。出発はいつですか?」

イズミとベリアは互いの顔を見てから、ヨーレムの方を見て同時に言った。

「「今すぐだ」」

それだけ言うと2人はヨーレムの執務室から出て行った。
何か面倒な依頼が飛んできそうな気がしたのもあるが、移動を始めてしまえば一旦は回避出来ると思ったのである。

冒険者ギルドの建物を出た2人は、必要な食料を手早く購入すると宿屋へ向かい、店主にこれから出発すると告げる。
マスタングに乗り込むと、火山地帯までのルートを確認してからアクセルを踏み込み出発した。

「そういえばイズミ、ソフィアへの報告はどうするんだ?」

「移動しながらすれば良いと思ったのだが」

町を出てからソフィアに魔法通信を繋ぎ、一通りの報告をした。
ある程度簡潔に、呪い返しや女神の件は伏せつつも急病の商人ギルドの副ギルド長がクロだとハッキリ伝えた。
その内容を聞き終えると大きなため息が聞こえてきたのだった。
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