異世界無宿

ゆきねる

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第十九章 暴力の嵐

第二百七十一話 マスタングの評価

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夕食を取り終え片付けを済ませたイズミは、動画の確認をしようとしたが睡魔に負けて眠る事にした。

別に急いで見る必要も無いのだ。
時間がある時にでもゆっくりと見れば良い。
マスタングの近くに立てた簡易テントに入ると、イズミは睡魔に任せて眠りについた。

それを見届けたベリアはまだ目が冴えていたので、少し酒を飲みながら焚き火で暖を取っている。

コップに注いでいた酒を飲み終えたベリアが、唐突にマスタングに声を掛けた。

「マスタングさんや、イズミについて聞いても良いか?」

「構いません」

マスタングは何時もの機械音声で答えた。

「もしかしてイズミは、あんな飛び道具ばかりが使われる国の出身なのか?」

「厳密には違います。マスターはただ、憧れと情熱で独自の訓練をしていただけです」

マスタングは異世界へ来てイズミと契約した際に、イズミに関する情報を獲得していたのだ。

「でも、あんな戦い方をしてるのは見た事無いぞ。デカい武器でバラ撒きに近い攻撃はしてた事はあるけど、あの小さい武器では見た事が無い」

「それはマスターの訓練方法に偏りがあるからです。モニターをご確認下さい」

「偏り?」

ベリアは立ち上がると、マスタングに乗り込んだ。

「現在モニターに表示しているのは、マスターが扱える武器です」

「そうそう、コレは試し打ちさせてもらった」

ベリアがモニターに表示されるマグナムに触れると、関連する映像が流れ始めた。

「マスターはこの映像群を参考に、訓練をしていました」

「…同じ動きがある」

別の銃…イズミが使っているのを見た事は無い…に触れると、別の映像が表示された。

映像では表示されていた銃を持っている男が、多人数を相手に戦闘をしている。
ボロボロになり、アクシデントで武器を落とし格闘戦になったりもしている。
更には夕食前に見た映像にあった爆発とは違う爆発から逃げる男の姿もあった。

「これは?」

「コレもマスターは戦闘イメージの1つとして訓練をしています」

「こんな動きをしていた事なんて無いぞ」

「それがマスターの問題点です」

マスタングはモニター画面を消灯すると、ベリアに話を続ける。

「マスターは使用する武器と映像で見た戦闘スタイルを紐付ける癖があるのです」

「使う武器によって、戦い方が変わるのは当然では?」

「戦闘での立ち回りまで変わるのです。先程の映像の男はボロボロになっても戦闘を続けていましたが、それをマスターが行うとオーガからの一撃を食らった時のような負傷が確実に増加します」

ベリアは助手席にしっかりと座ると、腕を組んで考え始めた。

「マスターはこの地に来るまで、まともな戦闘経験がありませんでした。その為、過去に見て影響を受けた映画と武器とを紐付けた動きになりがちなのです」

「…それは遠回しに、場数が足りないと言ってるように聞こえるが」

「他の映画の戦闘データを活用し、臨機応変に使えているとは言えません。稀に出来ている時もありますが」

「イズミも大変だな」

ベリアがマスタングから降り、焚き火を消して眠る準備を始める。

「ベリア様。マスターへの援護をお願いします」

「援護って、イズミとマスタングが居れば大体は何とかなるだろ?」

「私は武装はマスターにとっての秘密兵器扱いです。基本的には使用しない想定でいます」

焚き火が消えたのを確認したベリアが、身体を伸ばしてから周囲の索敵をする。
反応は無い。

「ベリア様が今後もマスターの援護をして頂けるのであれば、私にはベリア様の戦闘能力を格段に向上させる用意があります」

「…例えば?」

「一万の敵勢でも一瞬で灰燼に出来る龍の炎を、ファイアーボール1回分の魔力で使えるように出来ます」

「聞いた事ない魔法だな」

マスタングはドアをロックすると、スリープモードに入る。

「他にも様々な魔法の参考になる情報もお渡し出来ますので、是非御一考を」

寝床に入ったベリアは、マスタングの言っていた話について思案する。
強くなれれば、夢であったSランク冒険者にもなれるかもしれない。

しかし強くなり過ぎると、イズミの旅の足枷になる可能性が高くなる。
そんな事を考えている内に、ベリアは眠りに付いた。
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