異世界無宿

ゆきねる

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第十九章 暴力の嵐

第二百八十四話 証拠品の受け渡し

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イズミはベリアの元につくと、持っていた衣服を保護した4人に渡した。

「夜は冷える。コレを着ておきなさい」

着方が分からない者にはベリアが手助けをしていた。
建物の残骸からちょうど良い大きさの火種を用意すると、イズミは焚き火をつくって食事の準備に入った。

先程まで戦場だった場所の隅で、懐かしのコーンポタージュを実体化させて作り始める。
良い香りが辺りに漂う。

「マスタング、今回の戦闘での敵の死傷者はの数は?」

「…死者102名、重傷者8名、軽傷者12名、逃走者3名です」

「生き残りは片付けないとな」

イズミはメガネで情報を確認すると、一人一人を確実に無力化して回る。
敵は重軽傷者問わず戦闘どころでは無く、武器すら持っていなかったが容赦なくマグナムで処理をしてゆく。

「…敵陣地内の戦力0を確認。お疲れ様でした」

「あのミサイルは強過ぎるな」

「インパクトは絶大です」

残党処理を済ませたイズミは、マスタングのルーフを優しく撫でてからメガネを外した。

「…マスター、魔法反応の接近を確認しました。先日の監視者と同系統です」

「ミレニアの部下の?」

ドワーフ酒を取り出していたイズミが、瓶を持ったままモニターで反応の位置を確認する。
真夜中でも割と速い移動スピードだ。

「一応、備えてはおくか」

ショルダーバッグからアサルトライフルを取り出し弾倉を確認する。

…残り半分だろうか。
クラシックな弾倉なので残弾数の確認は出来ないと言って良い。

ライフルベストに残っているフルの弾倉は1つだけだった。
その弾倉へと交換し、半分程の弾倉を取り出しやすい位置に収めた。

「イズミ、聞こえる?」

ソフィアから魔法通信が来たので、直ぐに繋げて返事をする。

「聞こえるぞ」

「知り合いに頼んで人を送ってもらいました。それで、合図を送って欲しいのよ」

「合図?」

「何でも良いわ。遠くからでも見えて、間違い難いヤツが良いわね」

「合図ねぇ」

イズミは腰に付けている戦闘用のライトを取り出し、テール部分に触れ点灯確認をする。

「そうだな…今から光を点滅させるから、ソレを目印にしてくれ」

「光の点滅?」

「点滅のスパンを3回毎に変える。短時間での点滅3回、長時間の点滅3回。それの繰り返しだ」

「成る程。それは1カ所だけ?」

「そうだ」

ソフィアがこの目印についてを連絡する為に、一度魔法通信を切る。
アサルトライフルをマスタングに立て掛けてから、ライトで魔法反応のある方角へ合図を送り始めた。

少し時間を置くと、相手から動きがあった。
手でライトの光が目に入るのを防ぎながら、暗闇から男が現れたのだ。

「…貴方がイズミか?」

「そうだ」

「ソフィア様直筆の免状の提示を」

男の声を聞いたイズミはライトをポケットに仕舞うと、ショルダーバッグから免状を取り出して広げて見せる。
男の視線がライトへ向いていたが、免除を提示するのが先だ。

「…確かに」

確認をし終えた男が右手を上げると、遠くで待機していた者達がやって来る。
それは2体のケンタウロスに引かれた黒い馬車だった。

ケンタウロスの視線がマスタングに向くと、イズミに話しかける。

「あの馬車はお主のか?」

「そうだが」

「素晴らしい馬車だ。一度共に走りたいくらいに」

「どうもありがとう」

ケンタウロスの賛辞を素直に受け取ると、馬車は焚き火の近くでコーンポタージュを食べている4人の元へゆっくりと進んでゆく。

腕時計を確認すると1時を過ぎている。
まだ日をまたいでいないと思っていたが、戦いのせいでアドレナリンが出過ぎて時間の感覚がズレていたようだ。

「…逃げた奴等を捕まえないとな」

保護された4人を見ながら、イズミは呟いた。

自分達の戦いを見た敵が生き残っていると、対策を練られる可能性が高い。
自由気ままな旅を続けるならば、派手な戦闘の目撃者かつ敵の生存者は少ない方が良い。

「逃げた奴等を追いかけるのか?」

ベリアが馬車から降りてきた者に保護を任せると、イズミの元へやって来た。

「だな。もしかすると、俺達の戦術なら色々を魔法通信で仲間に流してるかもしれん」

「…殺すんだろ?」

「死人に口なしってやつだ。例外はあるかもだが」

そう言うとマスタングの後部座席で寛いでいるフラウリアを見た。
人間の常識は魔族相手には通じない。
死人からも情報を聞き出す魔術があっても可怪しくはないのだ。

「イズミと言ったな。証拠資料の回収と言うのは?」

「そうだった…アイテムボックスはあるかい」

「無論」

男の言葉を聞いて思い出したイズミは、ベリアと一緒に回収していた証拠品の全てをポンポンと男のアイテムボックスへ入れ込んでゆく。

「俺達は単に回収しかしてないから、精査はそちらで頼むと伝えてください」

「…分かった。必ず伝えよう」

証拠品を渡し終えた2人はマスタングへと乗り込み、逃げた連中の魔法反応と現在位置を調べる。
モニターに表示させると、アクセルを踏み込み走り出した。
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