異世界無宿

ゆきねる

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第二十章 火山地帯で小休止

第二百九十三話 試飲会

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「お母さま、外に護ってくれていた人?乗り物?があったの!」

リコはガーベラの膝の上で丸まると、有り余る元気な声で話し始めた。

「そうなの?」

「うん!」

ふとリコがイズミの顔を見る。
つぶらな瞳と言えば聞こえは良いが、見つめられたイズミは何故か不安に駆られた。

「いっしょだ!」

「リコ、何が一緒なの?」

「乗り物?と、その人!」

リコの言葉からガーベラは察したのか、目を閉じて魔力を確かめる。

「…確かに。リコ、どうして分かったの?」

「うん!同じ色と模様なの!」

ガーベラに頭を撫でられたリコが目を閉じて尻尾を揺らしている。

「ベリア、魔力に色とか模様ってのがあるのか?」

「さっぱり分からない」

イズミはマスタングの情報をメガネに反映させている都合で、魔力反応の色に違いが出ていると思っていたのだ。
マスタング基準の魔力反応と敵味方識別とは違う、魔族特有の能力なのかもしれない。

後でアーリアに確認でもしようと思いつつ、話し合いは一旦お開きとなった。


ガーベラ達の計らいにより、今日はこの屋敷で一泊する事になった。
割り当てられた個室は1人用にしては随分広く、畳で考えると少なくとも20畳はあるだろう。

「イズミ、部屋が凄いぞ!ベッドが凄くてヤバいんだ」

ベリアは部屋の広さに豪華なベッドに大興奮といった感じだった。
安宿や冒険者ギルド運営の宿屋も経験しているベリアがそこまで言うのだ、かなり高級なベッドなのかもしれない。

1人になったイズミは脚に装飾のある木製テーブルの上に布を敷くと、ジャケットを脱ぎマグナムを取り出しテーブルへ置いた。
ショルダーホルスターも脱いでテーブルに置くと、身体をゆっくりと伸ばす。

ふと腕時計を確認する。
あの戦闘以降、ずっと付け替えていなかった腕時計を外すと、竜頭を引っ張る。
インデックスが6個紫色に光る。

「呪い返しねぇ…」

今この効果を発動させるべきか悩んでいると、部屋の扉が叩かれたので発動をキャンセルして扉へと向かう。

「イズミさん、ガーベラ様がお時間を頂けないかと申させれております」

「分かりました、直ぐに」

マグナムとショルダーホルスターをショルダーバッグに収納すると、ジャケットを羽織り扉を開ける。

広間にはガーベラ、トレット、カーネリアにベリアが揃っていた。
皆が囲む高級そうなテーブルの上には、数本の瓶が置かれている。

「これは皆様お揃いで」

「イズミ様、確認して頂きたい物が御座います」

ガーベラがそう言うと、瓶を綺麗に並べる。

「グラテミアから話を聞きまして、色々と作らせていた試作品です」

ガラス製のグラスに注がれた液体は炭酸の用で、グラスの中で泡が出ている。

「こちらは確か…トニックと言っていました」

「もう製品化を?」

「今はまだ出来ても少数生産です。一度イズミ様にも試飲をお願いしたく」

差し出されたグラスを受け取り、一口飲んでみる。
独特の苦味と炭酸、そして仄かな甘みも感じる絶妙なバランスに仕上がっているように思える。

「…美味しいです。これならトニック単体でも需要があるかと」

「それは良かったです。では次はコチラのトニックを…」

次に渡されたトニックウォーターは、かなり苦味が強く炭酸と甘みは控えめだった。

「これは…苦味が強いですね。でも美味しく飲めます」

「やはりそうですか。これはある素材の分量を多めにしてみたのです。炭酸は控えめにしました、その方がまとまりが良いと感じたので」

グラスをゆっくりとテーブルに置くと、他の者達も試飲して各々の感想を言葉にした。

「それとですね…」

ガーベラは別の瓶を取り出した。

「トニックに触発された部下がこんなものを独自に作ったのですが、一緒に試飲して頂けませんか?」

そう言ってグラス注がれた液体は、淡い茶色で微かな炭酸があるのか泡も見える。
香りは酒の感じはせず、僅かにスパイシーさがある。

イズミは口に含むと直ぐに正体に近い飲み物が浮かんで来た。
ジンジャエールに近かったのだ。
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