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第二十章 火山地帯で小休止
第三百五話 能力限界
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グラテミアの計らいで昨日はしっかりと身体を休ませる事が出来た。
屋敷には浴室があり、それを利用させて貰えたのだ。
旅路では汗や汚れを落とす程度しか出来ない事が多いので、かなりの気分転換にもなった。
イズミはマスタングを駐車している馬車置き場に向かうと、朝の儀式と化しているコーヒー作りをしながら今日の予定を確認する。
ベリアは朝一番で単身冒険者ギルドへ連絡に出掛けたと、屋敷の従者から聞いたので戻り次第フラウリアと共に武器屋に行きたい所である。
「イズミ、先に冒険者ギルドへの連絡を済ませて気たぞ」
「早いな」
「当然!ドワーフの武器屋が待ってるからな。滞在期間は未定で連絡してる」
武器屋への期待からなのか、尻尾をブンブンと振っているベリアを見てい
たら待たせるのは良くないと判断して、コーヒーを飲み切りフラウリアを呼んだ。
「フラウリア、今は大丈夫か?」
「えぇ、ベリアさんは戻ってきたの?」
「ついさっきな。フラウリアの都合が良ければ、武器屋への案内を頼みたい」
「分かりました、今から向かいますね」
魔法通信を切ったイズミが片付けをしていると、マスタングがトランクを開けた。
「マスター、この地にも女神様が居られます。捧げ物が必要かと」
「そうか。何処で捧げられるのかも、聞いてみないとな」
トランクで実体化されていたのは、2本の酒瓶だった。
1本はジーヴルへ渡した事のある酒だったが、もう1本が分からなかった。
モニターで確認すると、元いた世界の北欧で作られるプレミアムなウォッカの記載されている。
「超軟水の天然水に、グルテンフリーか。普通に気になるから俺が飲みたいくらいだ」
「最初は女神様へ捧げるべきかと」
「勿論、そのつもりだ」
瓶をショルダーバッグに仕舞うと、丁度フラウリアが到着した所だった。
「お待たせしました」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
フラウリアの先導で屋敷の門を抜けると馬車が用意されており、ドワーフ達の工房がある地域へ走り出した。
「この馬車は?」
「屋敷内にある別の馬車置き場から用意しました。イズミさんの乗り物がある馬車置き場の物は、現在メンテナンスに出してまして」
「そう言う事ですか」
マスタングを停めた事で、他の馬車に影響があるかと心配したが杞憂だったようだ。
「ここからは徒歩での移動です。工房も複数ありますので、気になる工房がありましたら言って下さい」
「…奥にある工房が気になる」
「入ってみます?」
フラウリアの話を聞いたベリアが、冒険者の嗅覚なのか感なのか、導かれるようにある工房の前で立ち止まった。
「…何か入り用か?ラミア族の嬢ちゃんも一緒とは」
「私達の賓客ですわ」
「儂が生きている内に、あのフラウリアが賓客を呼ぶとはな…世の中は面白いのぉ」
「ちょっと、どう言う意味よ!」
「そのまんまの意味じゃ…」
頬を赤くしたフラウリアを見て笑うドワーフが、ベリアの腰にあるナイフを見た途端、表情が一変した。
「獣人のお嬢ちゃん、そのナイフは」
「あぁ、コレか?」
「ちょっと見せてくれんか」
ベリアはナイフをゆっくりと抜くと、ドワーフの男へ渡した。
「間違い無い、魔法剣に成っている。しかしこれでは…」
「これでは?」
ドワーフの言葉を確認するように、ベリアが尋ねる。
「お嬢ちゃん、名前は?」
「ベリアだ」
「ベリア、良い名前だ。このナイフは既に能力限界に到達している」
「能力限界?」
ナイフを返されたベリアが鞘に仕舞うと、ドワーフが説明を始めた。
「見た限り作りは通常のナイフだが、何かがあって魔法剣と成っている。魔法剣に成る条件は不明だから何とも言えん…だが、ナイフに使われている鋼材自体の許容出来る魔力量と耐久力が低いのだ」
ドワーフは工房の奥から、似た形状のナイフを持って来た。
「能力の限界、それは極限状態と同義。ちょっとした事で崩壊しかねない危うさを秘めている。このナイフは斬れ味を極限まで研ぎ澄ましたが、耐久力が低下した。ベリア、お前さんのナイフで斬ってみな」
「…分かった」
ベリアが軽くナイフで斬ると、いとも簡単に折れてしまった。
「斬る事の極限を目指すと、斬られる事に弱くなる。武器に使われる鋼材のランクが低ければ低い程、そのバランスが大切になる。その魔法剣は砕ける直前、ギリギリの状態なんだ」
「そんな感覚は、使っていても無かったけどな」
「崩壊は一瞬だ。同時に数種類の魔力を込めた瞬間、砕け散るかもしれん。魔法剣の問題と言うより、鋼材が耐えられなくて砕け散るんだ」
説明を聞いたベリアが、ナイフをまじまじと見つめる。
マスタングが魔改造したナイフは、既に極限状態に達していたのだ。
「…マスタング、今の説明はどうなんだ?」
「正しいです。ベリア様が風の女神から加護を頂いた時点で最適化はしたのですが、ベリア様自身の能力向上の結果、ナイフ自体の限界が来ています」
「そうなると、戦闘中に砕けたりするのか」
「それは無いように調整してますが、使用者本来の実力は出せない…いわゆる武器のステータスがカンスト状態になったと考えて頂ければ」
「それなら良く分かった」
こっそりとマスタングに確認したイズミは、カンスト状態と聞き1人納得したのだった。
屋敷には浴室があり、それを利用させて貰えたのだ。
旅路では汗や汚れを落とす程度しか出来ない事が多いので、かなりの気分転換にもなった。
イズミはマスタングを駐車している馬車置き場に向かうと、朝の儀式と化しているコーヒー作りをしながら今日の予定を確認する。
ベリアは朝一番で単身冒険者ギルドへ連絡に出掛けたと、屋敷の従者から聞いたので戻り次第フラウリアと共に武器屋に行きたい所である。
「イズミ、先に冒険者ギルドへの連絡を済ませて気たぞ」
「早いな」
「当然!ドワーフの武器屋が待ってるからな。滞在期間は未定で連絡してる」
武器屋への期待からなのか、尻尾をブンブンと振っているベリアを見てい
たら待たせるのは良くないと判断して、コーヒーを飲み切りフラウリアを呼んだ。
「フラウリア、今は大丈夫か?」
「えぇ、ベリアさんは戻ってきたの?」
「ついさっきな。フラウリアの都合が良ければ、武器屋への案内を頼みたい」
「分かりました、今から向かいますね」
魔法通信を切ったイズミが片付けをしていると、マスタングがトランクを開けた。
「マスター、この地にも女神様が居られます。捧げ物が必要かと」
「そうか。何処で捧げられるのかも、聞いてみないとな」
トランクで実体化されていたのは、2本の酒瓶だった。
1本はジーヴルへ渡した事のある酒だったが、もう1本が分からなかった。
モニターで確認すると、元いた世界の北欧で作られるプレミアムなウォッカの記載されている。
「超軟水の天然水に、グルテンフリーか。普通に気になるから俺が飲みたいくらいだ」
「最初は女神様へ捧げるべきかと」
「勿論、そのつもりだ」
瓶をショルダーバッグに仕舞うと、丁度フラウリアが到着した所だった。
「お待たせしました」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
フラウリアの先導で屋敷の門を抜けると馬車が用意されており、ドワーフ達の工房がある地域へ走り出した。
「この馬車は?」
「屋敷内にある別の馬車置き場から用意しました。イズミさんの乗り物がある馬車置き場の物は、現在メンテナンスに出してまして」
「そう言う事ですか」
マスタングを停めた事で、他の馬車に影響があるかと心配したが杞憂だったようだ。
「ここからは徒歩での移動です。工房も複数ありますので、気になる工房がありましたら言って下さい」
「…奥にある工房が気になる」
「入ってみます?」
フラウリアの話を聞いたベリアが、冒険者の嗅覚なのか感なのか、導かれるようにある工房の前で立ち止まった。
「…何か入り用か?ラミア族の嬢ちゃんも一緒とは」
「私達の賓客ですわ」
「儂が生きている内に、あのフラウリアが賓客を呼ぶとはな…世の中は面白いのぉ」
「ちょっと、どう言う意味よ!」
「そのまんまの意味じゃ…」
頬を赤くしたフラウリアを見て笑うドワーフが、ベリアの腰にあるナイフを見た途端、表情が一変した。
「獣人のお嬢ちゃん、そのナイフは」
「あぁ、コレか?」
「ちょっと見せてくれんか」
ベリアはナイフをゆっくりと抜くと、ドワーフの男へ渡した。
「間違い無い、魔法剣に成っている。しかしこれでは…」
「これでは?」
ドワーフの言葉を確認するように、ベリアが尋ねる。
「お嬢ちゃん、名前は?」
「ベリアだ」
「ベリア、良い名前だ。このナイフは既に能力限界に到達している」
「能力限界?」
ナイフを返されたベリアが鞘に仕舞うと、ドワーフが説明を始めた。
「見た限り作りは通常のナイフだが、何かがあって魔法剣と成っている。魔法剣に成る条件は不明だから何とも言えん…だが、ナイフに使われている鋼材自体の許容出来る魔力量と耐久力が低いのだ」
ドワーフは工房の奥から、似た形状のナイフを持って来た。
「能力の限界、それは極限状態と同義。ちょっとした事で崩壊しかねない危うさを秘めている。このナイフは斬れ味を極限まで研ぎ澄ましたが、耐久力が低下した。ベリア、お前さんのナイフで斬ってみな」
「…分かった」
ベリアが軽くナイフで斬ると、いとも簡単に折れてしまった。
「斬る事の極限を目指すと、斬られる事に弱くなる。武器に使われる鋼材のランクが低ければ低い程、そのバランスが大切になる。その魔法剣は砕ける直前、ギリギリの状態なんだ」
「そんな感覚は、使っていても無かったけどな」
「崩壊は一瞬だ。同時に数種類の魔力を込めた瞬間、砕け散るかもしれん。魔法剣の問題と言うより、鋼材が耐えられなくて砕け散るんだ」
説明を聞いたベリアが、ナイフをまじまじと見つめる。
マスタングが魔改造したナイフは、既に極限状態に達していたのだ。
「…マスタング、今の説明はどうなんだ?」
「正しいです。ベリア様が風の女神から加護を頂いた時点で最適化はしたのですが、ベリア様自身の能力向上の結果、ナイフ自体の限界が来ています」
「そうなると、戦闘中に砕けたりするのか」
「それは無いように調整してますが、使用者本来の実力は出せない…いわゆる武器のステータスがカンスト状態になったと考えて頂ければ」
「それなら良く分かった」
こっそりとマスタングに確認したイズミは、カンスト状態と聞き1人納得したのだった。
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