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第二十章 火山地帯で小休止
第三百六話 ベリアを呼ぶ声
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ドワーフは遠い目をして、ベリアに話しかける。
「この地で魔法剣を作れる者はおらん。魔法剣とは成るものだからな…」
「結構気に入ってるだけどなぁ」
「これは伝えておかねばならんのだが…魔法剣を持った者が現れたら、大親方へ連絡する事になっておる」
目を閉じたドワーフが、工房同士の取り決めを教えてくれた。
「大親方は、過去に魔法剣に成った剣を作り上げた御方だ。扱いに関しての知識もある」
「それで?」
「自分以外の者が作った武器が魔法剣に成っていて、鋼材の都合で限界が来ていると知ったら…間違いなくこう言われるな」
ドワーフがそこまて言うと、フラウリアが代わりに言った。
「儂らが魔法剣に成り得る武器を拵えるから、その魔法剣を譲渡してくれないか。ですね?」
「そうだ…魔法剣に関する研究は進んでいない。現存数も少なく、あっても研究の為に借用を許す者はいない」
ベリアは理由を理解したのか、ナイフを仕舞うと腕を組んだ。
「新たな武器を拵えて貰っても、それはまだ魔法剣に成っていない。そんな状態で戦闘になったら…ヘタをすれば死ぬ」
「そうやって研究は進まず、戦場で魔法剣が限界を迎えて砕け失われる。分かっている限りで現存数は6本、全て王族クラスの者達の厳重管理の元、王宮で保管されている」
そこまで言うと、ドワーフは大きなため息をついた。
「魔剣は?」
イズミがふと疑問を投げかけると、ドワーフが笑いながら答えてくれた。
「魔剣なんて見た事も無いな!伝承では魔剣が主と決めた者が現れるまで、何処かに消えてしまうと言う」
「…そうなのか」
イズミはチラっとフラウリアを見ると、『魔剣の事は秘密にしていろ』と言うメッセージを視線から感じたので、それ以上は口にしなかった。
「ベリア、その大親方からの提案が来たら、どうする?」
「どうするって…難しい話だぞ。コイツはアタイの命綱だからな」
「条件次第では、悪く無い話だと思うけどな」
その言葉を聞いた全員が、イズミの顔を見つめる。
「金や納期の絡みもあるし、オーダーメイドの特注品対応にしてもらうとか、新しい武器が手に馴染むまではナイフを譲渡はしないとかな」
そこまで言うと、イズミは小さく息を吐いた。
「何時までも限界寸前の武器では戦えないしな」
「そうだけど…」
ベリアも少し引っ掛かりがあるようだ。
マスタングが魔改造したのもあるかもしれないが、新たな武器もマスタングに魔改造してもらう事になるだろうから、そこまで気にする事では無い。
「まぁそんな提案が来たら、その時に改めて考えれば良いのさ」
「…そうする」
ベリアはそう言うと考え込んでしまった。
「明日また来てくれ。大親方と話せるように手配しておくから」
ドワーフの挨拶をして工房から出た途端、旋風がイズミ達の前に吹いた。
ベリアが風の通り抜けた方角を見つめると、細い小道を指差した。
「…呼んでる」
「ベリア?」
イズミの声に反応する事無く、ベリアは小道へと進んでゆく。
移動スピードはゆっくりだったので2人も離れる事無くついて行けたが、小道は途中で途切れていた。
「うーん…この辺りなんだよな」
「ベリア、何に呼ばれたんだ?」
考え込むベリアの肩を叩くと、ベリアがハッとした顔をしてイズミの両肩を掴んだ。
「イズミ、あのメガネってやつは持ってるか?」
「メガネか、ほいよ」
ショルダーバッグからメガネを出してベリアに渡すと、周囲をキョロキョロと確認し始める。
「…見えないか」
シュンと尻尾が下がり肩を落としたベリアに対して、イズミは酒を用意しだした。
「酒の力は偉大だからな、頼ってみましょうかね」
そう言ってグラスに注いだのは、白ワインをベースに作られたブレンド。
イズミは詳細を知らないが、エレナとジーヴルが王国を巻き込んで生産しようとしている酒だ。
「…美味だが、物足りぬ」
皆で祈りを捧げた途端、そんな声が聞こえてきた。
「お主達が来るのを首を長くして待っておったのだ。もう少しサービスしてくれても良いのではないか?」
グラスに注がれた酒は空になっており、何者かが飲んだ事が分かる。
ならば、マスタングが用意したウォッカの出番だ。
「世界中にあるドワーフ酒でも、ここまでこだわっている酒はそうそう無い代物だ」
グラスを一度水で濯ぎ、ウォッカをショット1杯分注いだ。
「口に合えば良いですが」
「酒精の強さも良いが、なんと素晴らしい口当たり。まろやかに喉元を通り過ぎ身体を火照らす、優しくも情熱的な酒…気に入った」
イズミ達の目の前で突然、炎に触れたかのような熱を感じて反射的に目を閉じる。
すぐに熱源が消えたのか、ゆっくりと目を開けると、グラスを持ったグラマラスな女性が立っていた。
髪はウルフカットに見えるが炎のように揺らめき、その姿には陽炎が映っている。
「ジーヴルの奴が、近々酒の出どころの男が来るから宜しく、とか言うものだから、柄にも無く待っていたのだ」
女がグラスを差し出して来たのでウォッカを注ごうとした時、フラウリアが氷を用意してくれた。
ウォッカはストレートも良いが、ロックで飲むのも乙なものである。
「ほぉ、酒を冷やして飲むのか」
「氷が溶けると飲みやすくなり、味わいにも変化があります」
珍しげに氷を揺らし少しづつ飲んでいる姿を見て、イズミは馬車置き場で休んでいるマスタングに感謝した。
「この地で魔法剣を作れる者はおらん。魔法剣とは成るものだからな…」
「結構気に入ってるだけどなぁ」
「これは伝えておかねばならんのだが…魔法剣を持った者が現れたら、大親方へ連絡する事になっておる」
目を閉じたドワーフが、工房同士の取り決めを教えてくれた。
「大親方は、過去に魔法剣に成った剣を作り上げた御方だ。扱いに関しての知識もある」
「それで?」
「自分以外の者が作った武器が魔法剣に成っていて、鋼材の都合で限界が来ていると知ったら…間違いなくこう言われるな」
ドワーフがそこまて言うと、フラウリアが代わりに言った。
「儂らが魔法剣に成り得る武器を拵えるから、その魔法剣を譲渡してくれないか。ですね?」
「そうだ…魔法剣に関する研究は進んでいない。現存数も少なく、あっても研究の為に借用を許す者はいない」
ベリアは理由を理解したのか、ナイフを仕舞うと腕を組んだ。
「新たな武器を拵えて貰っても、それはまだ魔法剣に成っていない。そんな状態で戦闘になったら…ヘタをすれば死ぬ」
「そうやって研究は進まず、戦場で魔法剣が限界を迎えて砕け失われる。分かっている限りで現存数は6本、全て王族クラスの者達の厳重管理の元、王宮で保管されている」
そこまで言うと、ドワーフは大きなため息をついた。
「魔剣は?」
イズミがふと疑問を投げかけると、ドワーフが笑いながら答えてくれた。
「魔剣なんて見た事も無いな!伝承では魔剣が主と決めた者が現れるまで、何処かに消えてしまうと言う」
「…そうなのか」
イズミはチラっとフラウリアを見ると、『魔剣の事は秘密にしていろ』と言うメッセージを視線から感じたので、それ以上は口にしなかった。
「ベリア、その大親方からの提案が来たら、どうする?」
「どうするって…難しい話だぞ。コイツはアタイの命綱だからな」
「条件次第では、悪く無い話だと思うけどな」
その言葉を聞いた全員が、イズミの顔を見つめる。
「金や納期の絡みもあるし、オーダーメイドの特注品対応にしてもらうとか、新しい武器が手に馴染むまではナイフを譲渡はしないとかな」
そこまで言うと、イズミは小さく息を吐いた。
「何時までも限界寸前の武器では戦えないしな」
「そうだけど…」
ベリアも少し引っ掛かりがあるようだ。
マスタングが魔改造したのもあるかもしれないが、新たな武器もマスタングに魔改造してもらう事になるだろうから、そこまで気にする事では無い。
「まぁそんな提案が来たら、その時に改めて考えれば良いのさ」
「…そうする」
ベリアはそう言うと考え込んでしまった。
「明日また来てくれ。大親方と話せるように手配しておくから」
ドワーフの挨拶をして工房から出た途端、旋風がイズミ達の前に吹いた。
ベリアが風の通り抜けた方角を見つめると、細い小道を指差した。
「…呼んでる」
「ベリア?」
イズミの声に反応する事無く、ベリアは小道へと進んでゆく。
移動スピードはゆっくりだったので2人も離れる事無くついて行けたが、小道は途中で途切れていた。
「うーん…この辺りなんだよな」
「ベリア、何に呼ばれたんだ?」
考え込むベリアの肩を叩くと、ベリアがハッとした顔をしてイズミの両肩を掴んだ。
「イズミ、あのメガネってやつは持ってるか?」
「メガネか、ほいよ」
ショルダーバッグからメガネを出してベリアに渡すと、周囲をキョロキョロと確認し始める。
「…見えないか」
シュンと尻尾が下がり肩を落としたベリアに対して、イズミは酒を用意しだした。
「酒の力は偉大だからな、頼ってみましょうかね」
そう言ってグラスに注いだのは、白ワインをベースに作られたブレンド。
イズミは詳細を知らないが、エレナとジーヴルが王国を巻き込んで生産しようとしている酒だ。
「…美味だが、物足りぬ」
皆で祈りを捧げた途端、そんな声が聞こえてきた。
「お主達が来るのを首を長くして待っておったのだ。もう少しサービスしてくれても良いのではないか?」
グラスに注がれた酒は空になっており、何者かが飲んだ事が分かる。
ならば、マスタングが用意したウォッカの出番だ。
「世界中にあるドワーフ酒でも、ここまでこだわっている酒はそうそう無い代物だ」
グラスを一度水で濯ぎ、ウォッカをショット1杯分注いだ。
「口に合えば良いですが」
「酒精の強さも良いが、なんと素晴らしい口当たり。まろやかに喉元を通り過ぎ身体を火照らす、優しくも情熱的な酒…気に入った」
イズミ達の目の前で突然、炎に触れたかのような熱を感じて反射的に目を閉じる。
すぐに熱源が消えたのか、ゆっくりと目を開けると、グラスを持ったグラマラスな女性が立っていた。
髪はウルフカットに見えるが炎のように揺らめき、その姿には陽炎が映っている。
「ジーヴルの奴が、近々酒の出どころの男が来るから宜しく、とか言うものだから、柄にも無く待っていたのだ」
女がグラスを差し出して来たのでウォッカを注ごうとした時、フラウリアが氷を用意してくれた。
ウォッカはストレートも良いが、ロックで飲むのも乙なものである。
「ほぉ、酒を冷やして飲むのか」
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