331 / 624
第二十一章 武器が出来るまで
第三百二十一話 明日ですか、そうですか
しおりを挟む
マスタングに乗り込み馬車置き場に向かうと、野良猫とベリアがまったりと談笑していた。
「ベリア、話は聞けたのか?」
「バッチリだ。2つの加護を持っていても、基本的には感覚として感じる事は無いって」
「女神様からアプローチがあったら?」
「その時は声が聞こえるし、なんなら姿を見せてくれたりもするって」
ベリアの膝の上で丸まっている野良猫を見ると、当のベリアは困惑気味だった。
「ご飯も美味しいし言葉も通じるし、アンタらは良い奴だニャ」
呑気に欠伸をしている野良猫を見ていると、少しだけ心が和んだ気がする。
「そうだベリア、さっきフラウリアから話があったんだけど…」
先程の話をベリアにも伝えると、ベリアも大きなため息をついた。
イズミは面倒くさいと思ってのため息で、ベリアのは気を落ち着かせるかののようなため息だった。
「加護の話は冒険者ギルドにもしてないけど、あのナイフはバレてるしなぁ」
「そのナイフも、ドワーフ工房の手に渡るな」
「色々と聞かれそうだ」
2人してため息をつくと、馬車置き場にエレノアがやって来た。
「お二人さん、グラテミア叔母様が来て欲しいって」
「分かりました」
イズミは掃除セットをマスタングに収納してから、ベリアと一緒に馬車置き場を出る。
野良猫は近くにあった木箱へ飛び乗ると、そこで丸くなっていた。
「イズミ様。この地の領主を務めている人間、ガーネディアン公爵家から貴方に会いたいとの話がありました」
「ガーネディアン公爵家と言うは初耳ですが、領主が会いたいと言っていた旨は聞いております」
ガーネディアン公爵家は、ハルハンディア共和国内で2番目と言われる実力のある家系との事だった。
他種族や魔族にも他の貴族より遥かに寛容的であり、ヒュミトールがここまで大きな町になったのも、公爵家の力添えがあったからこそだと言う。
「私と話をしたとしても、何も得るものは無いと思うのですが」
「実績は得られます。ラミア族から賓客として扱われている人間と、正式な話をする場を設ける事が出来たと言う、国内の他の貴族達には現状実現が出来ない実績です」
「そうだとしても、あまり旨味が無いような」
「旨味となるかどうかは、相手の出方とイズミ様の対応次第です」
話をしている最中、ふとソフィアとの捜査協力の事を思い出したので、グラテミアに免状を確認してもらう。
「これは少し前に、ソフィアよりある犯罪組織に対する捜査協力として戴いた免状なのですが」
「拝見しますわ…確かにソフィア嬢の直筆ですね。旅の道中にかなり暴れたとは聞いていましたが、少々張り切り過ぎではありませんか?」
「成り行きでこうなりまして。恥ずかしながら私はこの文字が読めなくてですね、ソフィアは貴族との事ですが派閥関係として見ると、ガーネディアン公爵との仲は問題は無いのでしょうか」
「…問題は無いですね。ソフィア嬢のフルネームはご存知無くて?」
「はい。ソフィアも言わなかったので、此方も聞きませんでした」
グラテミアはイズミの目を見てから、ならば私も言わないでおきますとだけ言った。
知らなくて済むならば、知らないままでも良い事があるのだ。
「それで、肝心の予定は」
「明日の午後に決まりました」
「直ぐですね」
「フラウリアを同行させますので、ご安心を。それと、公式な場になりますので武器の持ち込みは出来ません。屋敷に入る際に渡す事になります」
今までみたいに武器を渡すくらいなら帰る、とかは無理なようだ。
「武器は最初から全て持ち込まないのが最善か」
「イズミのは特殊過ぎるからな」
一度ベリアと一緒に持ち物の確認をしていると、フラウリアから提案があった。
「私なら分身を出せば直ぐに武器の回収が出来ますよ」
「それだったら、マスタングの所に分身を出して貰えれば武器の実体化と回収が出来ますね」
名案なので採用させてもらい、次はベリアの魔改造ククリナイフだ。
「アタイのナイフは…多分だけど、持って行かないと文句を言われるな」
「魔法剣だっけか、一度は手に持ってみたいと思う代物だからな。気持ちは分からなくもない」
ベリアのナイフは直接公爵家の屋敷まで持ち込む事にして、取り敢えず今日の午後は明日の準備に費やした。
「ベリア、話は聞けたのか?」
「バッチリだ。2つの加護を持っていても、基本的には感覚として感じる事は無いって」
「女神様からアプローチがあったら?」
「その時は声が聞こえるし、なんなら姿を見せてくれたりもするって」
ベリアの膝の上で丸まっている野良猫を見ると、当のベリアは困惑気味だった。
「ご飯も美味しいし言葉も通じるし、アンタらは良い奴だニャ」
呑気に欠伸をしている野良猫を見ていると、少しだけ心が和んだ気がする。
「そうだベリア、さっきフラウリアから話があったんだけど…」
先程の話をベリアにも伝えると、ベリアも大きなため息をついた。
イズミは面倒くさいと思ってのため息で、ベリアのは気を落ち着かせるかののようなため息だった。
「加護の話は冒険者ギルドにもしてないけど、あのナイフはバレてるしなぁ」
「そのナイフも、ドワーフ工房の手に渡るな」
「色々と聞かれそうだ」
2人してため息をつくと、馬車置き場にエレノアがやって来た。
「お二人さん、グラテミア叔母様が来て欲しいって」
「分かりました」
イズミは掃除セットをマスタングに収納してから、ベリアと一緒に馬車置き場を出る。
野良猫は近くにあった木箱へ飛び乗ると、そこで丸くなっていた。
「イズミ様。この地の領主を務めている人間、ガーネディアン公爵家から貴方に会いたいとの話がありました」
「ガーネディアン公爵家と言うは初耳ですが、領主が会いたいと言っていた旨は聞いております」
ガーネディアン公爵家は、ハルハンディア共和国内で2番目と言われる実力のある家系との事だった。
他種族や魔族にも他の貴族より遥かに寛容的であり、ヒュミトールがここまで大きな町になったのも、公爵家の力添えがあったからこそだと言う。
「私と話をしたとしても、何も得るものは無いと思うのですが」
「実績は得られます。ラミア族から賓客として扱われている人間と、正式な話をする場を設ける事が出来たと言う、国内の他の貴族達には現状実現が出来ない実績です」
「そうだとしても、あまり旨味が無いような」
「旨味となるかどうかは、相手の出方とイズミ様の対応次第です」
話をしている最中、ふとソフィアとの捜査協力の事を思い出したので、グラテミアに免状を確認してもらう。
「これは少し前に、ソフィアよりある犯罪組織に対する捜査協力として戴いた免状なのですが」
「拝見しますわ…確かにソフィア嬢の直筆ですね。旅の道中にかなり暴れたとは聞いていましたが、少々張り切り過ぎではありませんか?」
「成り行きでこうなりまして。恥ずかしながら私はこの文字が読めなくてですね、ソフィアは貴族との事ですが派閥関係として見ると、ガーネディアン公爵との仲は問題は無いのでしょうか」
「…問題は無いですね。ソフィア嬢のフルネームはご存知無くて?」
「はい。ソフィアも言わなかったので、此方も聞きませんでした」
グラテミアはイズミの目を見てから、ならば私も言わないでおきますとだけ言った。
知らなくて済むならば、知らないままでも良い事があるのだ。
「それで、肝心の予定は」
「明日の午後に決まりました」
「直ぐですね」
「フラウリアを同行させますので、ご安心を。それと、公式な場になりますので武器の持ち込みは出来ません。屋敷に入る際に渡す事になります」
今までみたいに武器を渡すくらいなら帰る、とかは無理なようだ。
「武器は最初から全て持ち込まないのが最善か」
「イズミのは特殊過ぎるからな」
一度ベリアと一緒に持ち物の確認をしていると、フラウリアから提案があった。
「私なら分身を出せば直ぐに武器の回収が出来ますよ」
「それだったら、マスタングの所に分身を出して貰えれば武器の実体化と回収が出来ますね」
名案なので採用させてもらい、次はベリアの魔改造ククリナイフだ。
「アタイのナイフは…多分だけど、持って行かないと文句を言われるな」
「魔法剣だっけか、一度は手に持ってみたいと思う代物だからな。気持ちは分からなくもない」
ベリアのナイフは直接公爵家の屋敷まで持ち込む事にして、取り敢えず今日の午後は明日の準備に費やした。
31
あなたにおすすめの小説
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
僕だけ入れちゃうステータス欄 ~追放された凄腕バッファーは、たまたま出会った新人冒険者たちと真の最強パーティーを作り上げる~
めでめで汰
ファンタジー
バッファーの少年カイトのバフスキルは「ステータス欄の中に入って直接数字を動かす」というもの。
しかし、その能力を信じなかった仲間からカイトは追放され迷宮に置き去りにされる。
そこで出会ったLUK(幸運)値の高い少女ハルと共にカイトは無事迷宮から生還。
その後、カイトはハルの両親を探すため地下迷宮の奥へと挑むことを決意する。
(スライム、もふもふ出てきます。女の子に囲まれるけどメインヒロインは一人です。「ざまぁ」もしっかりあります)
不死身のボッカ
暁丸
ファンタジー
逓信(ていしん)ギルドに所属する甲殻人ボッカ。歩荷(ぼっか=運搬人)だからボッカと素性を隠す特急便の運搬人。
小柄な身体に見合わぬ怪力、疾風のスピードと疲れ知らずのスタミナで、野を越え山越え荷物を運ぶ。
逓信ギルドの運搬人になったのは、危険な迷宮には入りたく無いから。面倒と危険を避けてすんなり仕事を終わらせたいのに、時にギルド支部長に命じられ行きたくも無い魔獣狩りの運搬人として駆り出される。
割とチートな身体能力を持ちながら、戦闘能力はからっきしで過剰な期待はされたく無い。こんな殺伐とした異世界生活なんかとっとと終わらせて眠るように死にたいと願う、そんな<不死身の歩荷>のお話。
※種族名とか用語は前作と共通にしてますが、別の世界の物語です。世界観も若干違います。
※「歩荷」とは一般的にいう「ポーター」のことですが、長距離運送も兼任しています。
※作者が設定厨なので、時々本筋に関係ない解説回が入ります。
※第16回ファンタジー小説大賞にエントリーしてみました。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる