異世界無宿

ゆきねる

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第二十一章 武器が出来るまで

第三百二十三話 推理を聞きましょう

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「貴方達の旅路については、冒険者ギルドから資料を提示して貰った」

グラントは執事だろう男を近くに呼ぶと、数枚の資料に目を通して読み上げる。

「中々の経歴だ。グリフォン討伐やクラーケン討伐、下位のドラゴン討伐に関与している。新ダンジョン発見及びダンジョン内に現れたサイクロプスまで討ち取っているとは、並み大抵の人間では成し得る事は出来ぬ偉業と言っても差支えない」

時系列はバラバラではあるが、冒険者ギルドも様々な記録を確認しファイリングしているようだ。

「運が良かっただけです。良い味方がいたお陰で、こうして生きています」

「そうかね。ハルハンディアに入国してからも、多々活躍しているようだが?」

「それは、運が悪かっただけです。どうも私は悪目立ちしているようでして、降りかかる火の粉を振り払おうとした結果、そのように見えるだけです」

イズミはグラントが聞きたいだろう話をせず、在り来りな回答をしておく。
グラントは暫く無言でイズミを見つめると、執事を部屋から出るように指示を出した。

「会話が外に聞こえぬように、魔法を使っても良いかね?」

「どうぞ」

部屋内にグラントと騎士が1人、イズミ達3人が残った。
騎士は扉の前に立ち、部屋内での会話が外に漏れ出ないようにする。

「…ここからの話は、少し重くなる。儂よりも上が動いているとの情報があってな。」

「グラント公爵より上、ですか?」

フラウリアが怪訝そうな表情を一瞬したものの、グラントの真剣な眼差しを見て嘘ではないと判断した。

「ハルハンディア共和国内では裏が取り切れていない話ではあるが…隣国の貴族に不治の病とまで言われた御令嬢が居てね、足が不自由で1人では歩く事すら出来ないと言われていた」

どう考えてもエレナの事である。
足の不自由な貴族の御令嬢が、大勢いるような国でも貴族でもないのだ。

「それがどう言う訳か、儂とも親交の深い子爵が隣国主催の劇を観に行った所で、その御令嬢が普通に歩き観劇していたのを見たと言う報告があった」

「…私にその話をする意味が分かりませんね」

エレナはしっかりと自らの足で歩き、貴族令嬢として活動をしているようだ。
それはそれとして、重要な情報は少しづつ他国へ流れて来ているようだ。
今はしらばっくれて、相手の様子を伺った。

「冒険者ギルドの持っている情報をまとめても、気になる記載はあれど重要な点についてはほとんど穴開きだった」

当然である。
自分は冒険者ギルドに登録されていない、登録拒否をされた人間なのだ。
過去に質問された事もあったが、ある程度しかまともに回答はしていない。

「資料を見るからに隣国の貴族との交友関係もあり、その事実を王家も把握しているだろうが、儂等は推理する事しか出来ぬ…」

「明確な答え合わせなら、丁重にお断り申し上げます」

イズミはグラントから何か言われる前に、先んじて言い切った。
マスタングに頼んで色々やりましたと言っても信じてもらえるとは考えにくく、実演するにしても自分へのダメージが多過ぎるのだ。

「ふむん。では、儂の推理を聞いてはくれぬか?」

グラントはそう言うと、テーブルに両肘をついた。

「儂が注目したのは、カレンなるエルフ族から聴取したと言う資料と、イズミから直接聞き取りをしたと言う資料だ。照らし合わせると、儂の目にはこう映る」

イズミは表情1つ変えず、グラントを風景の一部であるかのように見ている。
ベリアとフラウリアは、イズミと出会う前の話になるので興味があるようだ。

「アーティファクト、会話の出来る馬の要らぬ馬車だと言うアーティファクトだ、そこに秘密がある。何か大きな、特別な能力を秘めている」

グラントは一呼吸置いて話を続ける。

「手元にある資料の穴開きはアーティファクトの能力、これで全て埋められるのではなかろうか。資料内の受け答えにはこうある…『上手く説明出来ない、自分はサポートしただけ、自分にそんな能力は無い』これはつまり自分単身では出来ないが、条件を満たせば可能になる。そう答えているように映る」

イズミは無言のまま、グラントの推理を聞いている。

「最も、イズミと冒険者ギルドとの関係性を鑑みれば…聴取時の関係は友好的とは口が裂けても言い難い。聴取の際に虚偽の回答をしている可能性も考えたが、一目会ってみて分かった。嘘は付いていない」

「何故嘘はついていないと?」

「説明が出来ないと言うのは、理解しきれていない、分からないという事だ。それ以上の追求をさせず、要らぬ事を口走る可能性も無くせる。ならば嘘では無く事実として『説明出来ない』と言うのはらば、理解出来る」

そこまで考えていた記憶は無いが、説明出来ないからそれ以上は何も言いようがない、そんなニュアンスで答えたような気がして来た。

「儂がここまでの推理が出来たならば、上も同様の事を推理していても不思議では無い。確かな実績と不確かな関係性、ラミア族から賓客として扱われている事実を含めて、興味関心を持つなと言われても流石に無理な話だ」

グラントがそこまで言った所で、フラウリアから無言の圧があった。
それは扉の前にいる騎士やベリアですら身体が凍り付くような、凄まじい圧だった。

「そろそろ、本題に入って頂けますか?」

フラウリアはそれだけ言うと、鋭い眼光でグラントを睨みつける。
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