異世界無宿

ゆきねる

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第二十二章 一斉捜査

第三百七十話 弾薬の補給

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食堂に到着すると、既にベリアは夕食を取り終えた所だった。
周囲にはキマイラ討伐の話を聞きたいと、若手の冒険者や休暇の衛兵隊だろう男達も居る。

その近くには、少し申し訳なさそうな表情をしたマッコイが酒を飲んでいる。

「タイミングを見誤っちまった。アンタが感謝の言葉はベリアに伝えろってんで、ちゃん冒険者パーティーのリーダとして伝えたんだけどな…」

「夕食時で人がごった返してる食堂で言ったら、そりゃ人が集まるわな」

ベリアを見ると少し困惑気味ではあるものの、悪い気はしてないのかキマイラ討伐時の話をし始める。
戦闘開始時の状況も高所から見ていたのもあり、衛兵隊や冒険者の対応を褒めつつ、かなり臨場感のある話しっぷりである。

「そんな所まで見ていたのか」

「アンタは見てなかったのか?」

「自分の事だけで精一杯さ。キマイラに追われてる時はチビリそうだった」

「あの巨体に狙われたのだから、無理もない」

キマイラ防衛に関与した冒険者や衛兵隊には、関係各所から特別報酬が出たらしく酒を持参している者も居る。

その内の1人が、ファイアブレスを防いでいたマッコイの仲間であるヨルスだった。
ヨルスはイズミに気付くと、酒を片手にやって来た。

「キマイラ討伐おめでとう、生きてるのが奇跡だと思える位だ」

「それはお互い様だ。アンタが防御魔法を展開してなかったら、被害はもっと大きかっただろうな」

ジョッキに入った酒をグイッと飲んだヨルスは、真剣な表情でイズミに言う。

「今まで余り美味いと思わなかった酒が、美味しく感じるぞ」

「戦いで疲れた身体には、沁みるものがあるんじゃないか?」

「いや、絶対にあの魔力回復薬の影響だ。一度あの不味さを味わえば、他の全てが『アレよりマシ』に感じる」

それが良い事なのか否かの判断は出来ないが、美味く感じているならば良い事なのかもしれない。

「そうか。美味しく感じる有難さを再認識する為に、もう一度飲むか?」

「絶対に嫌だね。ティアも同意見の筈だ」

ヨルス曰くティアは昼飯をガッツリ食べた後で、疲労困憊を理由に寝ているそうだ。
その時もご飯が何時もより美味しいと言っていたそうだ。

そんな話を聞いていたら、気がつけば食堂は宴会場の如く盛り上がっていた。
酒盛りが始まったのだ。

イズミは酒盛りの場所から少し距離を取り、宿屋の夕食を受け取ると静かに食べだした。
まだやる事が残っているので、シラフでいたいのだ。

「アンタは飲まないのかい?」

洗い物をする際に井戸へと案内してくれた宿屋の店主が、他の客の食べ終えた皿を回収して歩いている時に聞いて来た。

「まだ飲めないかな。やり残した事があってね」

「日陰に干してた服は乾いてたぞ」

「それは良かった。食べ終えたら回収します」

夕食を食べ終え食器を戻すと部屋に戻りショルダーバッグを持ち、干していたジャケットを回収して馬車置き場へと向かう。

「マスタング、弾薬の補給をしておきたい」

「かしこまりました」

今回は手持ちの武器としてはグレネードランチャーとショットガンしか使っていないが、使った分は補給しておかないと不安なのである。

近くに野良猫が居るのか探していると、何処かの冒険者パーティーの馬車の側で丸まっていた。
装備の補給ついでに猫用のスープを実体化させ、一声かけてから小皿を置いた。

「野良猫さんや、スープ置いて置くぞ」

「うむ、良い心掛けだ」

野良猫は背伸びをすると、のそりと動き出してスープの匂いを確かめてから舐め始めた。

「マスター、補給分の実体化が完了しました」

「ありがとう。残弾数の少なさは、心の余裕の少なさに直結するからな」

ショルダーバッグに弾薬を入れ込むと、イズミはやっと一安心出来たのか背伸びをして大きなため息を溢した。
ジャケットを羽織り馬車置き場を後にすると、部屋へ戻り寝支度をして大変だった1日を終わらせる。
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