異世界無宿

ゆきねる

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第二十三章 独自の調査

第三百七十五話 キマイラ討伐の報酬

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イズミは太陽の光を浴びながら、寝ぼけた身体を目覚めさせる為に柔軟運動をしている。

井戸から組み上げた水の入った桶から必要分の飲水を確保し、残りは寝汗を拭く布用に使う。
背筋を伸ばしながら馬車置き場に入ると、マスタングの近くにある木箱の上で野良猫が丸まっているのが見える。

「おはようマスタング」

「マスター、おはようございます」

朝のルーチンであるコーヒーを淹れようとしたが、先日無くなってしまった事を思い出し、代わりとして白湯を準備する。

「マスタング、魔力残量はどのくらいだ?」

「走行用が70%、戦闘用及びその他用の合算が30%です」

「よし、今のうちに補給しておこう。その他用ってのは?」

「マスターの武装や飲食物の実体化用と考えて戴ければ」

「良く分かった、必要不可欠だな」

白湯の入ったコップを持ちながら運転席へ乗り込み、マスタングへ魔力補給をする。

「…魔力補給完了しました」

「今ふと気になったのだが、魔力の補給スピードに制限ってあるのか?」

「特にはありませんが、早ければ早いほど肉体的に疲労が溜まりやすいかと」

「何事もバランスなんだな」

白湯をまったりと飲み終えたイズミは、野良猫用のご飯を実体化してからマスタングを降りる。

「野良猫さんや、ご飯ですよ」

「うむ、今日のご飯はなんだ?」

小皿に盛ったご飯を食べる野良猫の質問に、マスタングが回答をする。

「今回は鰹と言う海に居る魚を使っております」

「海の生物か、この地では希少な食べ物だな」

ガツガツと食べている野良猫の事は置いておいて、イズミは広げていたコーヒーセットを片付ける。

「いたいた、イズミ!」

「おはようベリア、どうした?」

右手を振りながらやって来たベリアが、馬車置き場に入ってからアイテムボックスより布袋を取り出した。

「朝一番で冒険者ギルドに顔を出したら、キマイラ討伐の報酬と素材の一覧の準備が出来たってんで受け取ってきたんだ」

「仕事が早いな」

イズミはメガネを掛けると、近くの木箱の上に布袋と素材一覧を置いた。

「これはキマイラ討伐の報酬分だ。衛兵隊や他の冒険者達も戦闘を見ていたから、報酬の8割はアタイ等の所得になった」

「残りの2割は?」

「キマイラのファイアブレスを何度も防いだ、『燃えゆる明星』の分だ」

布袋を開けると、大量の金貨が入っている。
10枚1セットにして数えると640枚だったので、あのキマイラは金貨800枚相当の魔物だった事になる。

「これは凄いな」

「Sランクの魔物ってのは、そうそうお目にかかれないレベルだからな」

「取り敢えず、分前を考えるか…キマイラに止めを刺したのはベリアだから、ベリアの取り分が多い方が良い。ベリアが7割、俺が3割でどうだ」

「えぇ!?ここは半々だろ?」

ベリアが驚いたような反応をするので、イズミは当然のように言った。

「俺の攻撃では倒せなかった、これが事実なんだ。ベリアが居てくれたからこそ、俺は無事だし町の被害も少なく済んだ。ベリアの取り分が多いのは当然だろ」

「いや…でもなぁ」

ベリアが頭を掻きながら迷っているようだ。
このまま受け取って良いものなのか、冒険者パーティーに所属していた時の経験則か何かがあるのだろう。

「今は俺とベリアの二人旅だろ?俺はこれで良いと思ってる」

「…じゃあ、今回はその言葉に甘えるぞ」

イズミは金貨を7:3の割合で分けると、自分の分をマスタングに収納しベリアの分を布袋に戻す。

「ありがと」

布袋をアイテムボックスに仕舞ったベリアが、一度マスタングへと顔を向けると口を開いた。

「あのさイズミ、素材一覧を確認する前に、ちょっといいか?」

「どうした」

「昨日の夜…アタイの寝てた部屋にウィンニル様が来てさ」

「ウィンニル様って、確か風の女神様だったか」

「そう!それでさ、2つ程頼まれ事をされて…」

何時もハキハキとした口調のベリアが、少し申し訳なさそうな感じにしていたので、イズミから切り出す。

「ケーキでも所望されたか?」

「何で分かったんだ!?」

ベリアが驚愕の表情をすると共に、耳がピンとなり尻尾がブワッと膨らむ。
少し表情を緩めたイズミは、早速種明かしをした。
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