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第二十三章 独自の調査
第三百九十話 暗く静かな屋敷
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実体化された探索用ライトがトランクに用意されたので、イズミは1つを手に取り明かりを付けてみる。
カチンと音がしてライトが点くと、トランク内をしっかりと明るくしてくれた。
全長は30cmも無いだろうライトは、元々の探索用ライトよりは若干明るいように感じるが、その点はマスタングが改良してくれているようだ。
「ヘッドを回転させるとスポット照射とワイド照射の調整が可能です」
「俺はスポット照射が好きだな。ダークスポットは無いみたいだ」
「スイッチはオンとオフのみ、半押しにも対応しております」
「古き良き懐中電灯って感じだな」
腕時計を確認すると、14時を過ぎた所である。
屋敷内を探索する余裕はある。
もう1つのライトを持つと、ソレをベリアに手渡した。
「ベリア、改良版の探索用ライトだ」
「改良版?この魔石を押すと点けたり消したり出来るのか、ヘッドってのを回すよりは楽だな。片手で操作が完結するのが便利だ」
「この前教えた構えでも使えるぞ」
「おぉ…この照らし方が好きだな」
ベリアはワイド照射の方が好みらしい。
「そのライトはベリアが使ってくれ」
「イズミ、今から屋敷内を調べるのか?」
「まだ夕方までには時間もあるし、そのつもりだが」
また敷地内に入ろうとするイズミに向かい、ベリアは少し乗り気では無い返事をする。
「あの屋敷さ、なんか気味が悪くて嫌なんだよな」
「そう言われてもな、調べないと話が進まないからなぁ」
「今日は一階部分だけ調べるとかでどうだ?二階は明日で」
ベリアはイズミの後を追い、敷地内に入ってから提案をする。
「そうだな。それで行こう」
イズミも頷くと雑草だらけの花壇の脇を通り抜け、屋敷の扉の前までやって来た。
ゆっくりと扉を開けると、屋敷内の傷み具合が更に良く分かった。
階段の木材も傷み、抜けている場所もある。
花瓶が置かれていただろう台は分厚い埃が溜まっている。
壁面も傷んでおり、所々に小さなヒビ割れも確認出来る。
「コレは…思った以上に傷んでるな」
「イズミ、此処は変だ…静か過ぎる」
イズミがベリアの方を向くと、ベリアの尻尾がブワッと膨らんでいる。
それどころか、全身の毛がゾワっと逆立っているようだった。
「何か感じ取ったのか?」
「物凄い違和感だ。敷地内に入ったときはそこまでだったけど、此処は何と言うか…沈黙を以って拒絶してる感じ?」
「拒絶ねぇ」
場の空気が自分達を拒絶していても、兎に角調査はしなければならない。
先ずは挨拶や来た目的でも声に出して告げてみようと思い付いたので、驚かせないようにベリアに一声掛けてから実行する。
「私の名はイズミ、隣に居るのは挨拶のベリアだ。突然の訪問で恐縮だが、過去にこの屋敷で働いていた者の娘シンシアの依頼で此処に来た。両親の思い出の品だと言う翡翠のブローチを探しているのだが、屋敷内を探しても良いだろうか?」
声の反響が消えたのを確認していると、ベリアが小声で反応する。
「誰の気配も無いから、返事は来ないと思うぞ」
「それならそれで良いのさ」
そう言って笑おうとした時、遠くからパキンと乾いた木が折れたような音が聞こえ、ベリアが大きくビクついた。
「イズミ、今のは?」
「俺に聞かれても困るぞ…」
2人はどちらかとも無く顔を見合わせると、音のした方に探索用ライトを向ける。
しかし特に気になる物は無い。
音の鳴りそうな物も見当たらない。
ゴクリと息を呑んだイズミはライトで前方を照らしつつ、近くの部屋から調査すべく静かに歩き出す。
応接室のような部屋、厨房とそれに続く食料庫、従者用の部屋らしき所、洗濯室や御手洗。
不思議な事にどの部屋の扉も破壊されていなかった。
「廃墟になって長いから、扉くらい壊されてると思ったのだが…」
「荒らされてる感じもほとんど無いし、綺麗すぎるのが寧ろ怖いぞ」
ベリアはイズミが開けた扉が勝手に閉まらないように、何処かで拾ったのだろう木材をナイフで削りストッパーを作り差し込んだ。
ベリアなりの用心なのかもしれない。
薄暗い建物内に隙間風も入って来てはいないものの、勝手に扉が閉まりなどしたら、確かに自分も怖い。
「イズミ、此方に別館への通路があるぞ」
「まだ時間もあるし、そっちも見ておこうか」
屋敷の一階をさらっと見て回るイズミに、ベリアがライトで別館への通路を照らす。
イズミは一度ライトを構え直すと、別館へと足を進ませた。
カチンと音がしてライトが点くと、トランク内をしっかりと明るくしてくれた。
全長は30cmも無いだろうライトは、元々の探索用ライトよりは若干明るいように感じるが、その点はマスタングが改良してくれているようだ。
「ヘッドを回転させるとスポット照射とワイド照射の調整が可能です」
「俺はスポット照射が好きだな。ダークスポットは無いみたいだ」
「スイッチはオンとオフのみ、半押しにも対応しております」
「古き良き懐中電灯って感じだな」
腕時計を確認すると、14時を過ぎた所である。
屋敷内を探索する余裕はある。
もう1つのライトを持つと、ソレをベリアに手渡した。
「ベリア、改良版の探索用ライトだ」
「改良版?この魔石を押すと点けたり消したり出来るのか、ヘッドってのを回すよりは楽だな。片手で操作が完結するのが便利だ」
「この前教えた構えでも使えるぞ」
「おぉ…この照らし方が好きだな」
ベリアはワイド照射の方が好みらしい。
「そのライトはベリアが使ってくれ」
「イズミ、今から屋敷内を調べるのか?」
「まだ夕方までには時間もあるし、そのつもりだが」
また敷地内に入ろうとするイズミに向かい、ベリアは少し乗り気では無い返事をする。
「あの屋敷さ、なんか気味が悪くて嫌なんだよな」
「そう言われてもな、調べないと話が進まないからなぁ」
「今日は一階部分だけ調べるとかでどうだ?二階は明日で」
ベリアはイズミの後を追い、敷地内に入ってから提案をする。
「そうだな。それで行こう」
イズミも頷くと雑草だらけの花壇の脇を通り抜け、屋敷の扉の前までやって来た。
ゆっくりと扉を開けると、屋敷内の傷み具合が更に良く分かった。
階段の木材も傷み、抜けている場所もある。
花瓶が置かれていただろう台は分厚い埃が溜まっている。
壁面も傷んでおり、所々に小さなヒビ割れも確認出来る。
「コレは…思った以上に傷んでるな」
「イズミ、此処は変だ…静か過ぎる」
イズミがベリアの方を向くと、ベリアの尻尾がブワッと膨らんでいる。
それどころか、全身の毛がゾワっと逆立っているようだった。
「何か感じ取ったのか?」
「物凄い違和感だ。敷地内に入ったときはそこまでだったけど、此処は何と言うか…沈黙を以って拒絶してる感じ?」
「拒絶ねぇ」
場の空気が自分達を拒絶していても、兎に角調査はしなければならない。
先ずは挨拶や来た目的でも声に出して告げてみようと思い付いたので、驚かせないようにベリアに一声掛けてから実行する。
「私の名はイズミ、隣に居るのは挨拶のベリアだ。突然の訪問で恐縮だが、過去にこの屋敷で働いていた者の娘シンシアの依頼で此処に来た。両親の思い出の品だと言う翡翠のブローチを探しているのだが、屋敷内を探しても良いだろうか?」
声の反響が消えたのを確認していると、ベリアが小声で反応する。
「誰の気配も無いから、返事は来ないと思うぞ」
「それならそれで良いのさ」
そう言って笑おうとした時、遠くからパキンと乾いた木が折れたような音が聞こえ、ベリアが大きくビクついた。
「イズミ、今のは?」
「俺に聞かれても困るぞ…」
2人はどちらかとも無く顔を見合わせると、音のした方に探索用ライトを向ける。
しかし特に気になる物は無い。
音の鳴りそうな物も見当たらない。
ゴクリと息を呑んだイズミはライトで前方を照らしつつ、近くの部屋から調査すべく静かに歩き出す。
応接室のような部屋、厨房とそれに続く食料庫、従者用の部屋らしき所、洗濯室や御手洗。
不思議な事にどの部屋の扉も破壊されていなかった。
「廃墟になって長いから、扉くらい壊されてると思ったのだが…」
「荒らされてる感じもほとんど無いし、綺麗すぎるのが寧ろ怖いぞ」
ベリアはイズミが開けた扉が勝手に閉まらないように、何処かで拾ったのだろう木材をナイフで削りストッパーを作り差し込んだ。
ベリアなりの用心なのかもしれない。
薄暗い建物内に隙間風も入って来てはいないものの、勝手に扉が閉まりなどしたら、確かに自分も怖い。
「イズミ、此方に別館への通路があるぞ」
「まだ時間もあるし、そっちも見ておこうか」
屋敷の一階をさらっと見て回るイズミに、ベリアがライトで別館への通路を照らす。
イズミは一度ライトを構え直すと、別館へと足を進ませた。
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