異世界無宿

ゆきねる

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第二十四章 暴走を止めろ

第四百八話 教会からの依頼

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3日後。
リコの面倒を見るトレット達と共にリコの遊びに付き合っていたイズミは、全身の筋肉痛と向き合いつつ、リーベルトが手配した馬車に乗っている。

「イズミ様…何処か体調が優れないのですか?」

「いや、大した事じゃないさ」

ベリアやアヤとは違い動きのぎこちない姿を訝しんでの言葉だったが、ベリアは何事も無かったかのように答えた。

「イズミの運動不足が原因だから、特に問題は無いぞ」

「運動不足、ですか?」

リーベルトが疑問形で返すも、イズミが言える事はほとんどない。

「全く、何も言い返せない。只の筋肉痛なんですよ」

「あ…成る程」

どう理解したのかは不明だが、リーベルトはそれ以上聞いては来なかった。

奉納の儀以来の教会だったが、常に信者なのか参拝客かで賑わいを見せている。
そんな教会の裏手に停められた馬車から降りると、イズミ達は広めの部屋に案内された。

部屋には先客がおり、見るからに上質な衣服を身に纏っている。
白髪の老人がのそりと立ち上がると、席に案内されたイズミ達に一度礼をした。

「始めまして、私はパニドーレと申します」

「イズミです。同席するのは獣人のベリアと、ラミア族のアヤです」

握手をするには距離があるので省略し、木製の椅子に腰掛ける。

「まず最初に、皆様に感謝します…本当にありがとう御座います」

「ペンダントやストールを見つけ、回収しただけですが」

「そう、あのペンダントです。あのペンダントは、私をこの教会へと導いて下さった恩師の物なのです」

テーブルに置かれていた木箱からペンダントを取り出すと、リーベルトを通じて渡される。

丁寧に磨いたのか、発見した時は読めなかった刻印や文字がハッキリと分かる。
眼鏡を掛けていないので読めはしないが。

イズミがペンダントをベリアに渡して確認して貰っていると、パニドーレはジッとベリアを見つめる。

「…これは珍しい、貴方は女神様の加護を2つお持ちのようで」

「え?まぁ、旅の道中に色々ありまして」

「女神様が気にかけて下さっているのですよ」

そう言われはしたが、元々は酒目的だったような気がする。
面白ければ女神様の目的は関知しない事にしているので、イズミは何も言わなかった。

その後イズミ達がオブリビアで経験した事を話した。
冒険者ギルドにベリアが報告した内容と大差は無く、ほとんどありのまま伝えただけである。

「グールは最初に屋敷から出て来ましたが、屋敷に入った時には一体も居なかった。代わりに白装束の何者かが見えたので追跡したら、その先で手紙とペンダントとストールを回収した」

「そうです、回収したら屋敷内にもグールが出現しました」

「その日の夜ですが、冒険者ギルドの報告ではオブリンド町から見えた月は黄色だったそうです。オブリビアは青白く染まり、屋敷の敷地内に入ったら赤黒く見えたと言う事ですので…恐らく屋敷の何処かに変異が発生していると考えられますね。リーベルト、資料をこちらに」

リーベルトが羊皮紙のような紙を取り出すと、テーブルに広げる。
それは屋敷の見取り図のように見えた。

「この資料はオブリビア当時の領主に仕えていた、現在もご存命の方々から話を伺い作成した見取り図です。所々に差異はあるかとは思いますが、見て何か違いはありますでしょうか?」

イズミとベリアは見取り図を凝視するも、違いと言えるようなものは感じなかった。

「…いや、特に何も。ベリアはどうだ?」

「うーん…アタイもそんなだな」

一度椅子に座り直すと、改めて回答した。

「そうですか…我々は赤黒い月が出ている時のみ、屋敷内に異変の原因が発生していると断定し、調査の手配をしております」

リーベルトが見取り図を仕舞い椅子に座るのをみたパニドーレは、イズミ達の目を見て話を続ける。

「出来ればで構いません、オブリビアの調査に同行しては戴けませんでしょうか?」

予想していた通りの展開だ。
イズミは小さく呼吸を整えると、詳細を聞き出すべく質問をする。
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