異世界無宿

ゆきねる

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第二十四章 暴走を止めろ

第四百十二話 魔法の練習

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翌日。
イズミは筋肉痛がそんなに来ていない事にちょっとした恐怖心を抱きつつ、マスタングの側で朝食を食べている。
屋敷で食べても良いと言われてはいるが、マスタングの近くで食べる方が性に合っているのだ。

「イズミか。ご飯くれ」

「はいよ」

こうしていつもの野良猫も来るので、ついでにご飯を用意する事も出来る。

マスタングの用意する猫用フードを食べる野良猫を横目に、マスタングの魔力残量を確認する…少し減っている。

「マスタング、何かに魔力をつかってるのか?目盛りが減っているが」

「魔力は走行用、戦闘用、実体化用、予備の四種類に振り分けております。余剰分は全て予備に蓄えておりますが、容量が膨大につき現時点でも無尽蔵に貯蔵が出来ておりまして」

「他用で貯めていた魔力も移動させたりして、色々と試してたって事か」

「そうです」

「なら、暫くは魔力補給をコンスタントにやってくとしよう」

「助かります」

朝食を食べ終え運転席に乗り込んだイズミは体調を崩さない範囲でマスタングに魔力補給を行うと、念の為に屋敷の敷地外の索敵だけしてから中庭へ向かう。

中庭に到着すると何時ものメンバーと一緒にグラテミアとガーベラが居た。
リコの遊び相手としてでは無さそうである。

「イズミ様、本日は娘のリコに魔法のを練習をしたいと思いまして」

ガーベラはリコの頭を撫でると、少し距離をとってから魔法の説明を始める。

「リコ、まずは火属性からです」

火打石を取り出し枯葉に着火させると、リコは興味深そうに観察している。

「これが通常の着火方法です。リコもやってみなさい」

「はい!」

リコも火打石での着火に成功すると、ガーベラはリコの頭を撫でて次の説明をする。

「今の感覚を忘れずに、今度は火打石で着火させた工程…火のつけ方を魔力でやってみるの。身体強化をする時と同じ魔力の使い方で大丈夫よ」

「こんな感じ?」

リコが右手を伸ばし魔力を込めると、バスケットボールサイズの火球が出現する。

「戦闘用ならばそれでも良いでしょう。しかし、焚き火や火入れには大き過ぎますね…この大きさにしてみなさい」

ガーベラは指先にジッポライターの炎サイズの火を作る。
リコは火球を一度消すと、ガーベラのように指先に炎を出そうと集中する。

自身の規格外な魔力のせいなのか出力調整に慣れていないのか、中々に思うようなサイズの炎が出せないみたいだ。

「…むずかしい!」

「リコ、魔力の調整はとても大切な事です。間違って何かを壊したり、誰かを傷付ける事だってあるのです。難しいからと言って、中途半端に覚えるのはいけません」

ガーベラが丁寧に教えている姿を見たベリアは、イズミの隣で水を飲むとしみじみと言った。

「ああやって魔法の使い方を教わるってのは、なんだか懐かしいな」

「そうなのか?」

「狩りの方法と一緒に教わるんだけど、下手をするとその日の料理にありつけないからさ。そりゃもう子供の頃から必死に練習したさ」

ベリアは子供の頃から生きる為の狩りを学んでいたらしい。
それを冒険者ギルドに登録してからも、スキルの1つとして活用出来ているのだから大したものである。

「俺は魔法が使えないからな」

「そんな事言ってたな、本当に何も出来ないのか?」

「恐らく」

「そっか。アタイはコレから冒険者ギルドに顔を出してくるわ」

「はいよ」

冒険者ギルドへ向かったベリアを見送ってから魔法の練習を続けるリコを見守っていると、グラテミアが屋敷から中庭へとやって来た。
トレットとカーネリアを見つけると、リコがガーベラの魔法練習中なのを確認してから話しかける。

「トレット、カーネリア。貴方達も魔法の練習をするのよ。理論は教えたのですから、後はモノにするまで練習あるのみです」

「それはそうなのですが…」

どうやらトレット達も何かしらの魔法を会得すべく練習中らしいが、思うように進んでいないようだ。

「そうね…何か実戦的な緊張感があった方が良いわね。イズミ様」

「なんでしょう?」

グラテミアが急に話を振ってきたので、柔軟運動を止めて話を聞く。

「トレット達の練習に少し付き合っては戴けませんでしょうか?」

「私に出来る事でしたら」

「そうですね…イズミ様の使う武器で、トレット達を攻撃して欲しいのです。勿論、威力は抑えてになりますが」

それを聞いたトレット達は顔を真っ青にしているが、グラテミアさんの頼みを無碍にするのは良くない。

「分かりました、一度マスタングに確認をしてみますね」

イズミはそう言うと、馬車置き場に居るマスタングの元へ向かった。
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