異世界無宿

ゆきねる

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第二十四章 暴走を止めろ

第四百十九話 意見の擦り合わせ

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「ルートの指定は無いけど、祈りの時間は確保して欲しいってさ」

「祈りの時間ねぇ、1日に祈る回数と各々の時間は?」

「ちょっと待っててくれ…大体は1日に1~2回で朝と夜、時間帯に指定は無いけど祈り始めたら5分は動けないみたいだ」

「その位なら許容出来はするな。1時間とか言われたら今すぐ冒険者ギルドに出向いて、俺が小一時間教会の人間を問い詰める所だった」

予想していた答えでは無かった事に安堵したが、面倒な事に変わりはない。
しかしそれすらも断って波風を立てるのもよろしくない。

「ベリア、俺達と同行する奴は同席してるのか?高身長だと後部座席は辛いからな、事前に確認しておきたい」

「いや今日は居ないな。1人は御子見習いで、もう1人は御子の護衛だって」

「車内では甲冑とかの装備は外してもらう事になるが、それで大丈夫か?」

「安全が保証されていると護衛が判断したら外すって」

「判断するタイミングは何時になる?一度事前確認をするとなると、教会にマスタングを持ち込んで直接見てもらうしかないな…面倒くせぇ」

マスタングを教会に持っていくとなると、教会の人間にマスタングがどんな存在なのかを探られてしまう。
能力を隠したとしても、その存在感から何かを感じ取るかもしれない。
自分が一目惚れして購入した車でありチートみたいな存在なのだから、ある意味当然かもしれないが。

イズミは渋い顔になっているのを自覚しつつ、深呼吸をしてから話をまとめる。

「2人までなら同行を許して馬車の用意は不要、乗る人間とは事前に直接会って話をする時間を作る事。移動ルートは俺達が設定して、祈る時と外部に魔法通信をする時は事前に一声かける事。コレが条件だな」

「自分達の食料も用意させた方が良いんじゃないか?」

「そうだな。マスタングのアイテムボックスがあるから、スペースの確保に関しては心配無いと伝えてくれると助かる」

「分かった。話し終えたらまた連絡する」

ベリアが魔法通信を切ったのを確認してからイズミはリコ達の元へ向かうと、これから魔法の練習をするとの事だったので練習用リボルバーを取り出してトレットに渡す。

東屋にある椅子に座ると、移動中に戦闘が発生した場合の事を考え始めた。

「マスタングの武装は見せたくない。マグナムは仕方が無いにしても、ショットガンとアサルトライフルは微妙な所だな…久し振りにボルトアクションでも取り出すか?」

腕を組んで独り言を呟いていると、向かい側の椅子にグラテミアが座っていた。

「いつの間に」

「つい先程、転移魔法で来たばかりです」

グラテミアは何処からか数本の瓶を取り出すとテーブルの上に置く。

「イズミ様、魔法陣作成用に血を少し頂きたいのですが」

「分かりました…どう採血を?」

そっと瓶の横に置かれたナイフに少しビクつきながら、恐る恐る確認をする。

「利き手の反対側の手にナイフを這わせ、少量の血を瓶へ注ぎます」

「…ですよね」

まだ注射器なんて道具は生み出されていないようなので、普通に考えてナイフでサクッと指先を切るなりするのだろう。

「回復魔法を使えますので、傷口はすぐに癒します」

「痛いのはどうも苦手でしてね…っ!」

慣れた手つきのグラテミアが掌にナイフを這わせる。
流れた血を瓶に回収すると、素早く回復魔法で傷口を治してくれた。

「…はい、ご協力ありがとうございます。今日一日は切った箇所がむず痒く感じるかもしれませんが、掻いても傷口が開く事は無いのでご安心ください」

瓶に入った血を凝視したグラテミアは、必要分が確保出来たと判断して片付ける。

「コレ面白い!」

そんな声が聞こえて来たので2人が声のする方へ顔を向けると、トレットが練習用リボルバーでリコを狙って撃ち込んでいた。

「イズミさん、全く当てられる気がしないのですが」

動体視力が良ければ避ける事が出来る弾ではあるので、至近距離で撃ってもリコはいとも容易く回避出来てしまうようだ。

「もう少し弾速を上げた方が良いな…リコが身体強化を使ってたら、通用しないと思うが」

そう呟いたイズミは、ベリアからの魔法通信を待ちながらため息をつく。
マスタングに弾速アップ用の弾の実体化を頼むと、回収の為に馬車置き場へと歩き出した。
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