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第二十四章 暴走を止めろ
第四百三十二話 聖魔法の練習
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「教会で聖魔法を学んだ時、どう教わったのかしら?」
「ええと…まず対象者の癒やしたい場所に適した光魔法をイメージして、聖魔法の祝詞を唱えて、対象者の癒やしたい場所に手を沿えて魔法を発動する」
「…かなり簡略化されてるわね。場所に依存していると言い換えても良いかも」
精霊はため息をついて葡萄ジュースを飲むと、テレジアの左手に乗った。
「聖魔法と言うのを物凄くザックリ簡単に説明するとね、『光の女神様の御力の一部を借りる魔法』よ。試しに聖魔法で光の球を作ってみて、治癒の聖魔法で構わないわ」
精霊に促されるままにテレジアは祝詞を唱えて聖魔法を発動すると、右手にピンポン球サイズの光の球が現れた。
「テレジア。聖魔法を発動してもらっているけど、今は光の女神様の気配を感じるかしら?」
「…いいえ、教会で使っている時の感覚は無いです」
「そうよね。今のテレジアは自分の魔力を祝詞を使って、聖魔法に変換しているだけだもの。女神様の御力を借りていないの…私が少しだけ力を注ぐわね」
精霊がテレジアの背後へ移動し両手を背中に押し付けると、ピンポン球サイズだった光の球が野球のボールサイズに大きくなった。
「触れられている所に、温かさを感じますね」
「私が女神様の代わりに魔力を注いだのよ」
精霊が手を離すと、大きくなっていた光の球も小さくなる。
「もう少し女神様の存在を身近に感じる練習が必要ね…旅人さん?」
「何でしょうか」
「女神様の姿をあしらった道具はお持ちかしら」
「女神像とかメダイとかですか…此方には無いのか?」
考え込んだイズミがヴィラードに聞くと、すんなり返事が来る。
「女神様をあしらった商品を扱えるのは教会が認めた者だけだ。絵画も同様にな。総じて高額なので御子であっても個人所有の物は無い」
「メダイもか?」
「メダルの事か?メダルの大きさに女神様を彫れる技術者は居ても、精密作業かつ教会の認定者となるが故に高額になる。支払いも金貨50枚では足りないだろう」
この世界の法律に疎いので技術料も分からない。何とも言えない表情をしたイズミだったが、試しにマスタングに頼みメダイを実体化してもらう事にする。
「マスター、過去にエレナ様が作った氷像を元に作成しました。真鍮製です」
「有り難うな」
「効果は付与しておりませんが、必要に応じて後付けは可能です」
真鍮製のメダイは直径が3cmも無い楕円形で、表面には祈りを捧げる女神様の横顔があり、裏面は網目模様になっている。
「こんなのでどうでしょうか?」
「…良いと思うわ。理想は心に女神様を思い描くだけで御力を借りれるようになる事ですが、最初は依り代があった方が感覚を掴みやすいので」
精霊のお墨付きを頂いたので、メダイをテレジアに渡す。
「ほいよ」
「有り難う御座います。ペンダントになっているのですね…綺麗」
メダイの出来栄えに感動しているテレジアだったが、現在は精霊のレクチャー中である。
気を取り直して練習を再開したので、イズミは夜営の準備に戻る。
まだ焚火の用意が終わっていないのだ。
ライターで木屑に火をつけようとしたが、オイルが切れていて駄目だった。
そんな姿を見兼ねたベリアが、魔法で火をつけてくれた。
「水臭いぞ、アタイに一声掛けてくれれば良いのに」
「すまんな、精霊の話を真剣に聞いてたから邪魔したくなくて」
慣れない事をすると時間がかかるのだ。
イズミは温かいスープを作るべく、マスタングから具材を取り出して調理を始めた。
スープが完成しても尚、精霊のレクチャーは終わっていなかった。
「そうよ、このメダルを教会にいらっしゃる女神様だと思うのよ。女神様に見守られている時の感覚を思い出して」
絶賛練習中のテレジアとそれを見守るヴィラードを残し、ベリアが焚火までやって来た。
「もう少し続きそうだぞ」
「だろうな」
「練習が終わったら、また何かせびられるんじゃないか?」
「それはもう、仕方の無い事だと思うしかないな」
半分諦めの入ったイズミの返事を聞いたベリアが、自分用の食器を取り出して食事を始める。
ベリアが食事を終えると周囲の警戒に入ると言うので、次はイズミが夕食を摂る。
それでも食べ終えた時点ではテレジアの練習は終わっていなかった。
「皆様、もう日も暮れましたしお開きで良いのでは?」
イズミは練習事にはメリハリが必要と言って夕食に入るように促すと、精霊がレクチャーを切り上げた。
「私のレクチャーはこれでおしまいね」
「本当に有り難う御座いました」
「最後に1つだけ。聖魔法を使い誰かを助けたならば、ちゃんとお礼をする事。日々の祈りだけでは駄目だし、教会として感謝の祈りを捧げるだけでも駄目よ」
精霊はテレジアの前に立つと、ハッキリと言った。
「貴方が女神様の御力を借りるのだから、貴方が直接お礼をするの。毎回は難しくても、月の周り1回につき1度でも良いの。力を貸すのだって結構疲れるのよ?」
精霊はそう告げると帰ると言ったので、イズミは精霊を呼び止める。
「何かしら?」
「まだお菓子とジュースに余りがあるけど、持って行くかい」
「良いの?」
「勿論」
精霊は弾けるような笑顔を見せると竹製のような籠を何処からか取り出し、イズミから菓子とジュースの瓶を受け取る。
「ありがとう!皆にも伝えておくね。助けてあげると美味しいお菓子と飲み物をくれるって。じゃあね!」
「お手柔らかに頼みたいのですがね」
フッと消え去ってしまった精霊は、恐らくイズミの言葉を聞いてはいないだろう。
小さくため息をついたイズミはミニテーブルを片付けようと近付く。
用意していたお供え物は、綺麗さっぱり完食されていた。
「ええと…まず対象者の癒やしたい場所に適した光魔法をイメージして、聖魔法の祝詞を唱えて、対象者の癒やしたい場所に手を沿えて魔法を発動する」
「…かなり簡略化されてるわね。場所に依存していると言い換えても良いかも」
精霊はため息をついて葡萄ジュースを飲むと、テレジアの左手に乗った。
「聖魔法と言うのを物凄くザックリ簡単に説明するとね、『光の女神様の御力の一部を借りる魔法』よ。試しに聖魔法で光の球を作ってみて、治癒の聖魔法で構わないわ」
精霊に促されるままにテレジアは祝詞を唱えて聖魔法を発動すると、右手にピンポン球サイズの光の球が現れた。
「テレジア。聖魔法を発動してもらっているけど、今は光の女神様の気配を感じるかしら?」
「…いいえ、教会で使っている時の感覚は無いです」
「そうよね。今のテレジアは自分の魔力を祝詞を使って、聖魔法に変換しているだけだもの。女神様の御力を借りていないの…私が少しだけ力を注ぐわね」
精霊がテレジアの背後へ移動し両手を背中に押し付けると、ピンポン球サイズだった光の球が野球のボールサイズに大きくなった。
「触れられている所に、温かさを感じますね」
「私が女神様の代わりに魔力を注いだのよ」
精霊が手を離すと、大きくなっていた光の球も小さくなる。
「もう少し女神様の存在を身近に感じる練習が必要ね…旅人さん?」
「何でしょうか」
「女神様の姿をあしらった道具はお持ちかしら」
「女神像とかメダイとかですか…此方には無いのか?」
考え込んだイズミがヴィラードに聞くと、すんなり返事が来る。
「女神様をあしらった商品を扱えるのは教会が認めた者だけだ。絵画も同様にな。総じて高額なので御子であっても個人所有の物は無い」
「メダイもか?」
「メダルの事か?メダルの大きさに女神様を彫れる技術者は居ても、精密作業かつ教会の認定者となるが故に高額になる。支払いも金貨50枚では足りないだろう」
この世界の法律に疎いので技術料も分からない。何とも言えない表情をしたイズミだったが、試しにマスタングに頼みメダイを実体化してもらう事にする。
「マスター、過去にエレナ様が作った氷像を元に作成しました。真鍮製です」
「有り難うな」
「効果は付与しておりませんが、必要に応じて後付けは可能です」
真鍮製のメダイは直径が3cmも無い楕円形で、表面には祈りを捧げる女神様の横顔があり、裏面は網目模様になっている。
「こんなのでどうでしょうか?」
「…良いと思うわ。理想は心に女神様を思い描くだけで御力を借りれるようになる事ですが、最初は依り代があった方が感覚を掴みやすいので」
精霊のお墨付きを頂いたので、メダイをテレジアに渡す。
「ほいよ」
「有り難う御座います。ペンダントになっているのですね…綺麗」
メダイの出来栄えに感動しているテレジアだったが、現在は精霊のレクチャー中である。
気を取り直して練習を再開したので、イズミは夜営の準備に戻る。
まだ焚火の用意が終わっていないのだ。
ライターで木屑に火をつけようとしたが、オイルが切れていて駄目だった。
そんな姿を見兼ねたベリアが、魔法で火をつけてくれた。
「水臭いぞ、アタイに一声掛けてくれれば良いのに」
「すまんな、精霊の話を真剣に聞いてたから邪魔したくなくて」
慣れない事をすると時間がかかるのだ。
イズミは温かいスープを作るべく、マスタングから具材を取り出して調理を始めた。
スープが完成しても尚、精霊のレクチャーは終わっていなかった。
「そうよ、このメダルを教会にいらっしゃる女神様だと思うのよ。女神様に見守られている時の感覚を思い出して」
絶賛練習中のテレジアとそれを見守るヴィラードを残し、ベリアが焚火までやって来た。
「もう少し続きそうだぞ」
「だろうな」
「練習が終わったら、また何かせびられるんじゃないか?」
「それはもう、仕方の無い事だと思うしかないな」
半分諦めの入ったイズミの返事を聞いたベリアが、自分用の食器を取り出して食事を始める。
ベリアが食事を終えると周囲の警戒に入ると言うので、次はイズミが夕食を摂る。
それでも食べ終えた時点ではテレジアの練習は終わっていなかった。
「皆様、もう日も暮れましたしお開きで良いのでは?」
イズミは練習事にはメリハリが必要と言って夕食に入るように促すと、精霊がレクチャーを切り上げた。
「私のレクチャーはこれでおしまいね」
「本当に有り難う御座いました」
「最後に1つだけ。聖魔法を使い誰かを助けたならば、ちゃんとお礼をする事。日々の祈りだけでは駄目だし、教会として感謝の祈りを捧げるだけでも駄目よ」
精霊はテレジアの前に立つと、ハッキリと言った。
「貴方が女神様の御力を借りるのだから、貴方が直接お礼をするの。毎回は難しくても、月の周り1回につき1度でも良いの。力を貸すのだって結構疲れるのよ?」
精霊はそう告げると帰ると言ったので、イズミは精霊を呼び止める。
「何かしら?」
「まだお菓子とジュースに余りがあるけど、持って行くかい」
「良いの?」
「勿論」
精霊は弾けるような笑顔を見せると竹製のような籠を何処からか取り出し、イズミから菓子とジュースの瓶を受け取る。
「ありがとう!皆にも伝えておくね。助けてあげると美味しいお菓子と飲み物をくれるって。じゃあね!」
「お手柔らかに頼みたいのですがね」
フッと消え去ってしまった精霊は、恐らくイズミの言葉を聞いてはいないだろう。
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※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
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