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第二十四章 暴走を止めろ
閑話 遂にバレた
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あくる日の事である。
「ゴメン!アレの存在がバレた」
「…ユノア、私の聞き間違いかしら?アレって秘密にしてたコレの事よね」
アーリアの研究室にて、申し訳なさそうな表情をしつつも元気な声の女ユノアが、部屋に飛び込んでくると同時に謝罪の言葉を告げた。
「そう!」
「なんでバレたのか、事の経緯を教えなさい」
「皇国からの依頼で精鋭部隊との訓練戦をした時にさ、勢い余ってつい…」
「張り切って戦ってたら相手も本気で仕掛けて来たから、ついうっかり使ったのね…おバカ!」
アーリアのチョップがユノアの頭に直撃する。
ユノアが咄嗟に防御魔法を発動したが、アーリアのチョップは何事も無かったように貫通している。
左手に腕時計は着けていないのにかかわらず。
「あた!」
「まったく。アレは本当に規格外な代物なんだから、使う時と場所は考えなさいって口酸っぱく言ってたでしょ」
「しょうがないじゃん、相手は皇国の精鋭部隊だし、あのミシェルも居たんだよ」
「だからって…過ぎた事はしょうがないわね。で、勝ったの?」
手にしていた書物を片付けたアーリアが聞くと、ユノアは笑顔で答えた。
「当然!アタシ1人で圧勝」
「…相手の数は?」
「うーん。完全武装で100人くらい?」
「戦闘時間は?」
「初めて1分切ったよ」
「やり過ぎよ、訓練にならないじゃない」
大きなため息をついたアーリアは近くの椅子に座ったユノアを見つめる。
「誰にバレたの?観察眼の鋭い方はミシェルくらいしか知らないけど」
「そのミシェルに。魔法返しを使ったら、速攻でバレました」
「…そりゃそうよ。彼女は魔術師協会に所属していないだけで、実力は本物よ」
ユノアは左手に着けている腕時計を見ると、スムースに動く秒針が十二時位置を通過する。
魔法返しのチャージは無いのか、人差し指を伸ばしても特に反応は無い。
「ミシェルも腕を上げてるから、アタシも特訓しないと」
「…ソレがあの攻撃の仕掛けかしら?」
何処からか聞こえた声に驚いたユノアが周囲を確認するが、アーリア以外の人の姿は見えない。
「ミシェル、人の研究室に隠匿魔法を使って入るのはマナー違反じゃないかしら?」
アーリアが丸い玉のようなもの…ラムネの瓶から苦労して取り出したガラス玉…を軽く投げると、何もない空間にぶつかり床に落ちた。
「声の聞こえる位置まで変えたのに、貴方にはお見通しなのね。久し振り、アーリア」
隠匿の魔法を解除したミシェルが姿を見せると、ユノアの向かい側にある椅子に座った。
「去年の豊穣祭以来かしら、元気そうね」
「元気だったわよ、ユノアに負ける前までは」
ミシェルは笑顔のままユノアを見つめる。
その目は一切笑っていない。
「ミシェル、もしかして…怒ってる?」
「いえ全然。折角の訓練戦が秒で終わってしまったので、時間に幾分かの余裕が生まれたくらいですよ」
「ミシェルが参加した訓練戦はそうだけど、連日やってたんだから良いでしょ」
「もう少しやれると思ったのよ…で、あの魔法について、お話をお聞かせ願おうかしら?」
蛇に睨まれた蛙のようになったユノアは目でアーリアに助けを求めると、アーリアは静かに息を吐いて研究室内に遮音魔法を発動する。
「これから話す事は秘密よ、まだ調査途中だから。家族にも話さないと約束して」
「分かったわ」
アーリアは立ち上がるとアイテムボックスに収納していた腕時計を取り出し、背筋を正しているミシェルに渡した。
「元々は精密に時を刻む機械よ。この個体には訳あって、効果付与が施されてるけど」
「こんなの反則よ反則!初見殺しにも程があるわよ…それにしてもコレ、何処かで似たような物を見た事があるような」
マジマジと腕時計を観察していたミシェルだったが、魔法で腕時計を宙に浮かせながら考え込む。
「アタシは初めてだったけど。アーリアは?」
「私もよ」
アーリアは懐中時計の存在は伏せ、椅子に座ってから答える。
「思い出した、お祖父様の別荘!」
ミシェルは椅子から立ち上がると、姿勢を崩して寛ぐアーリアの手を取り転移魔法を発動して消えてしまった。
「あのさぁ…なんでアタシを置いていくかね?面白そうな話なのに」
1人残されたユノアはため息をつくと追跡魔法を使い、2人の向かった先を特定すると転移魔法で移動をした。
お祖父様の別荘と呼んだ建物へ到着した3人は、ミシェルの案内である部屋に入る。
「確かこの辺に仕舞っておいたのよね…あった!」
アーリアとユノアは広間の窓から見える景色を眺めていると、別の部屋からミシェルが小さな木箱を持って来てテーブルの上に置いた。
「お祖父様の遺品整理をしていた時に見つけたのよ」
「生前に何か話しはなかったのかしら?」
「えぇ、誰も知らないって。お祖母様も使い方は分からなくて」
木箱の中には複数の小物が入っている。
その内の1つが、確かに腕時計に似ていた。
手元にある腕時計よりサイズが大きく、針は大小合わせて6つもあるのだ。
「確かに似てるけど…右側にあるこのボタンは何かしら?」
「分からないのよ、押してみても何の反応もしなくて」
「…知り合いに聞いてみるしかないわね」
アーリアはミシェルから少し距離を取り、イズミへ魔法通信を繋いだ。
「イズミ、今話せるかしら?」
「アーリアか久し振り…今はちょっと手が離せなくてな、明日の昼間でどうだ?っぶねぇ」
「忙しそうね」
「だな!慣れない事をすると、ろくなことが無い…ではまた明日…マスタング、自動運転だ!トランクを開けてくれ」
魔法通信を切る直前に、イズミの切羽詰まった声が聞こえた。
「…何してるのかしら?」
アーリアはアイテムボックスから水晶を取り出すと、マスタングと呼ばれるアーティファクトに取り付けた転移魔法陣の魔力を探す。
水晶に映し出された映像では、ダンジョン内と思われる場所を猛スピードで走っているのが分かる。
視点を切り替えたアーリアは、映っている映像を見て噎せた。
「なになに、どうしたのさ?」
興味を持ったユノアとミシェルが、アーリアの持つ水晶を覗き込む。
そこには、人間程度なら丸呑みに出来るだろう巨大な魔物から逃げる男女と、それを乗せて走るアーティファクトの姿があった。
「ゴメン!アレの存在がバレた」
「…ユノア、私の聞き間違いかしら?アレって秘密にしてたコレの事よね」
アーリアの研究室にて、申し訳なさそうな表情をしつつも元気な声の女ユノアが、部屋に飛び込んでくると同時に謝罪の言葉を告げた。
「そう!」
「なんでバレたのか、事の経緯を教えなさい」
「皇国からの依頼で精鋭部隊との訓練戦をした時にさ、勢い余ってつい…」
「張り切って戦ってたら相手も本気で仕掛けて来たから、ついうっかり使ったのね…おバカ!」
アーリアのチョップがユノアの頭に直撃する。
ユノアが咄嗟に防御魔法を発動したが、アーリアのチョップは何事も無かったように貫通している。
左手に腕時計は着けていないのにかかわらず。
「あた!」
「まったく。アレは本当に規格外な代物なんだから、使う時と場所は考えなさいって口酸っぱく言ってたでしょ」
「しょうがないじゃん、相手は皇国の精鋭部隊だし、あのミシェルも居たんだよ」
「だからって…過ぎた事はしょうがないわね。で、勝ったの?」
手にしていた書物を片付けたアーリアが聞くと、ユノアは笑顔で答えた。
「当然!アタシ1人で圧勝」
「…相手の数は?」
「うーん。完全武装で100人くらい?」
「戦闘時間は?」
「初めて1分切ったよ」
「やり過ぎよ、訓練にならないじゃない」
大きなため息をついたアーリアは近くの椅子に座ったユノアを見つめる。
「誰にバレたの?観察眼の鋭い方はミシェルくらいしか知らないけど」
「そのミシェルに。魔法返しを使ったら、速攻でバレました」
「…そりゃそうよ。彼女は魔術師協会に所属していないだけで、実力は本物よ」
ユノアは左手に着けている腕時計を見ると、スムースに動く秒針が十二時位置を通過する。
魔法返しのチャージは無いのか、人差し指を伸ばしても特に反応は無い。
「ミシェルも腕を上げてるから、アタシも特訓しないと」
「…ソレがあの攻撃の仕掛けかしら?」
何処からか聞こえた声に驚いたユノアが周囲を確認するが、アーリア以外の人の姿は見えない。
「ミシェル、人の研究室に隠匿魔法を使って入るのはマナー違反じゃないかしら?」
アーリアが丸い玉のようなもの…ラムネの瓶から苦労して取り出したガラス玉…を軽く投げると、何もない空間にぶつかり床に落ちた。
「声の聞こえる位置まで変えたのに、貴方にはお見通しなのね。久し振り、アーリア」
隠匿の魔法を解除したミシェルが姿を見せると、ユノアの向かい側にある椅子に座った。
「去年の豊穣祭以来かしら、元気そうね」
「元気だったわよ、ユノアに負ける前までは」
ミシェルは笑顔のままユノアを見つめる。
その目は一切笑っていない。
「ミシェル、もしかして…怒ってる?」
「いえ全然。折角の訓練戦が秒で終わってしまったので、時間に幾分かの余裕が生まれたくらいですよ」
「ミシェルが参加した訓練戦はそうだけど、連日やってたんだから良いでしょ」
「もう少しやれると思ったのよ…で、あの魔法について、お話をお聞かせ願おうかしら?」
蛇に睨まれた蛙のようになったユノアは目でアーリアに助けを求めると、アーリアは静かに息を吐いて研究室内に遮音魔法を発動する。
「これから話す事は秘密よ、まだ調査途中だから。家族にも話さないと約束して」
「分かったわ」
アーリアは立ち上がるとアイテムボックスに収納していた腕時計を取り出し、背筋を正しているミシェルに渡した。
「元々は精密に時を刻む機械よ。この個体には訳あって、効果付与が施されてるけど」
「こんなの反則よ反則!初見殺しにも程があるわよ…それにしてもコレ、何処かで似たような物を見た事があるような」
マジマジと腕時計を観察していたミシェルだったが、魔法で腕時計を宙に浮かせながら考え込む。
「アタシは初めてだったけど。アーリアは?」
「私もよ」
アーリアは懐中時計の存在は伏せ、椅子に座ってから答える。
「思い出した、お祖父様の別荘!」
ミシェルは椅子から立ち上がると、姿勢を崩して寛ぐアーリアの手を取り転移魔法を発動して消えてしまった。
「あのさぁ…なんでアタシを置いていくかね?面白そうな話なのに」
1人残されたユノアはため息をつくと追跡魔法を使い、2人の向かった先を特定すると転移魔法で移動をした。
お祖父様の別荘と呼んだ建物へ到着した3人は、ミシェルの案内である部屋に入る。
「確かこの辺に仕舞っておいたのよね…あった!」
アーリアとユノアは広間の窓から見える景色を眺めていると、別の部屋からミシェルが小さな木箱を持って来てテーブルの上に置いた。
「お祖父様の遺品整理をしていた時に見つけたのよ」
「生前に何か話しはなかったのかしら?」
「えぇ、誰も知らないって。お祖母様も使い方は分からなくて」
木箱の中には複数の小物が入っている。
その内の1つが、確かに腕時計に似ていた。
手元にある腕時計よりサイズが大きく、針は大小合わせて6つもあるのだ。
「確かに似てるけど…右側にあるこのボタンは何かしら?」
「分からないのよ、押してみても何の反応もしなくて」
「…知り合いに聞いてみるしかないわね」
アーリアはミシェルから少し距離を取り、イズミへ魔法通信を繋いだ。
「イズミ、今話せるかしら?」
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※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
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