異世界無宿

ゆきねる

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第二十五章 オブリビアダンジョン

第四百四十八話 焼却処理

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腕時計を確認すると、時刻は15時を過ぎたところである。
イズミは見張り塔の前にマスタングを駐車すると、探索用ライトで塔内を照らしながら上へと登ってゆく。

階段や踊り場には鳥やネズミなどの小動物の死骸が散見され、不快な臭いが風に流されずに留まっているので衛生的によろしくない。

「酷い臭いだな、此処で寝泊まりは御免だぞ」

「俺も同意見だが、高所からの景色は良好だ。誰かが目印の煙を炊いても、直ぐに確認出来るのは利点だろう…ほら」

見張り塔からの景色は、ベリアにとっても確かに利点に感じられるものがあった。
そうは言っても、此処で仮眠を取りたいとは思わないようだが。

「ベリア、風魔法で動物の死骸を塔の外に纏めて出して、火魔法で焼却処分したりは出来るか?」

「そんな手間をかけてまで、ここを拠点にするのか…出来るけど」

「ではよろしく頼む。動物の死骸に見られてるってのは、どうも気分が悪いからな」

探索用ライトで塔内を見て回っている際に、何度も死骸の腐った目玉と目が合っている気がしており、ゾワリとした寒気を感じる時があったのだ。

「分かったよ、一旦塔の外に出よう」

塔から出ると、早速ベリアが風魔法で塔内にあった動物の死骸を風魔法で掃除してくれた。
広い所に一纏めにすると、かなりの数の死骸があった事に驚きを隠せない。

「念の為に皆に事前連絡しておくわ、突然火魔法を使うと驚かれるかもしれないし」

「了解だ」

ベリアが一度死骸の溜まり場から離れると、イズミはメガネを使い死骸をスキャンしてみる。
燃やす事で何か悪影響が無いか、用心のために確かめたかったのだ。

「マスター。死骸の目から微弱な魔力を検知しました」

「目からねぇ、用途は?」

「監視かと」

マスタングが言うには、動物が見ている視界を透視…視界ハック…をする魔法やスキルは実在するので、その類では無いかと判断したようだ。

「それは人間の視界も視れるのか?」

「不可能ではありませんが、上級者しか扱えないかと」

「今のところは気にしなくても大丈夫そうだな」

ベリアは光の教会の人間と共に戻って来た。
教会の人間はイズミにとっては初対面だが、中々にダンディな顔をしている御老体だった。

「動物の死骸を燃やすと言うので、一度見ておこうと思ってな…ほう、悪趣味な事をする輩も居るようだ」

御老体は一目確認しただけで、何かを悟ったようだ。

「ちと懲らしめてやるとしよう…待っておれ」

御老体はそう言うと、年齢を感じさせない足取りで拠点へと歩いてゆく。
もしかすると、顔がダンディで老け込んで見えるだけで実年齢は若いのかもしれない。
少し待っていると、御老体はセリーヌを連れて戻って来た。

「セリーヌよ、あの死骸の山にアレを仕掛けてくれないか…ええと、アレだ、女湯の覗き対策に仕掛けておる『お仕置き魔法』だったか。確かセリーヌが1番上手かっただろう」

「仕掛ける事は出来ますけど…まさか覗き、してませんよね?」

「勿論じゃよ。解除しようにも…3重にも編み込まれておるものを悟られずに解除するのは、老体にはキツくてな」

セリーヌの圧にも決め顔で言い切った御老体を冷たい目で見つめるセリーヌだったが、小さなため息をついて魔法を仕掛け始める。

「まず大前提として、解除する選択肢を放棄して頂きたいのですけれども。確かに、最近はしてないようですね。今は4重にしてますので」

セリーヌが動物の死骸に向けて魔法を展開していると、その後ろで御老体がホッと胸をなで下ろしている。
イズミは特に何も言う事はせずに、準備が整うのを待った。

「魔法の展開が完了しましたよ」

「ありがとうございます」

セリーヌに礼を言うと、ベリアと共に燃やすタイミングの確認に入る。

「ベリア、俺は見張り塔に登って確認したい事があるから、準備出来たら魔法通信を繋ぐよ。そしたら一気に燃やしてくれ」

「分かった」

イズミは単身で見張り塔に入ると、探索用ライトで改めて周囲を状況を確かめつつ上まで登る。
動物の死骸やゴミや埃も粗方片付いており、嫌な感覚もしてこないので一応は安心して遠くの様子見も出来るだろう。

腕時計を外し塔の入り口側を6時位置になるように調整して床に置くと、ショルダーバッグからボルトアクションライフルを取り出した。

「マスタング、遠くの敵さんに動きがあったら、この腕時計のインデックスを基準にして位置関係を教えてくれ」

「…かしこまりました」

ライフルのボルトを操作しカスタムされているらしい弾を装填すると、一度構えてスコープを覗いてみる。
狙撃に関する知識がほとんど無いため、このスコープの凄さがイマイチ分からないが、かなり遠くにある廃墟の扉が鮮明に見える。

「ベリア?此方の準備完了だ」

「おう、じゃあ燃やすぞ」

魔法通信でイズミからのゴーサインを聞いたベリアは、火魔法と風魔法を同時に使うと、死骸の山が瞬く間に灰へと変わってゆく。
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