183 / 722
第2章 幼年編
184 2階層
しおりを挟む2階層に入った。
さっきの1階層と同じような草原なんだけど、ちょっぴり違う。植生からもう少し高地を登った感じかな。登るっていってもここ、地下階層なんだけどね。
ここでもやはり石畳の通路から逸れないように進んで行く。
サクッ‥
サクッ‥
ギャギャ‥
左右の藪の中から微かに魔獣の声がする。おそらくゴブリンアーチャーだろう。
前方にも3、4体潜んでいそうだ。
「シルフィ?シンディ?」
「「ええアレク」」
2人とも頷く。
俺の索敵は合っているようだ。
俺は手を後方に開き、仲間に止まれとハンドサイン。
と同時に、おもむろに矢を番え、左右の藪の中を射る。
ギャーーーッ!
ギャーーーッ!
左右に潜んだ緑の藪と同系色に擬態をしたゴブリンアーチャーが、ハッキリとした断末魔の叫び声を上げて倒れる。
ギャギャギャギャ!
同時に前方の藪からとびだしてきたゴブリン3体を弓矢の連射で仕留める。
ヒュンッ! ギャッ!
ヒュンッ! ギャッ!
ヒュンッ! ギャッ!
聴くことに強く意識を保つようになったせいか、これまで以上に魔獣の位置や数も判ってきた気がする。なんとなくだけど気配も感じられるようになってきた。
よーし、このままもっとがんばるぞ!
「セーラ、障壁を薄く、コンパクトにできる?」
「はい?」
「そしたらさ、もっと長く発現し続けるだろ?」
「やってみます」
マリー先輩とシャンク先輩も笑顔で頷いている。
マリー先輩にゴブリンアーチャー如きの弓矢なんて当たらないだろうし、シャンク先輩の
肉厚な身体なら当たっても大したことなさそうだ。
やっぱりセーラの安全が何より担保されないとな。いずれは聖魔法でしか太刀打ちできなくなる事態が訪れるだろうから。
限りある魔力の無駄遣いは避けなきゃいけない。
セーラの聖魔法の魔法障壁も、さらに薄くコンパクトに出来れば、魔力の節約に繋がる。強力な魔獣に遭うまでは障壁も節約モードでいってもらわなきゃな。
俺も矢尻用の鉄を多めに持ってきてるけど、うん、これからはもっと節約しよう。
放ったあとは回収してこようかな。
▼
ドッドッドッドッドッドッドッ‥
ワォーンワォーンワォーンワォーンワォーン・・・
「アレク、来るわ」
シルフィの索敵。
「判ったシルフィ」
「アレク後ろからも来るわ!」
シンディの索敵。
「判ってるよ!シンディはマリー先輩について」
「解ったわ!」
「マリー先輩は後方正面からと、左からのブッシュウルフを。シャンク先輩はセーラを護ってください。セーラは姿勢を低く。前方及び右手は俺が闘ります」
「「「了解(です)!」」」
ドッドッドッドッ‥
ガウガウガウガウ‥
ブッシュウルフの襲来。今度は前後左右、全方位からの攻撃だ。
これもまた新パターン。
探索者を次の段階へ進化するよう促してるのかな。
総数30頭ほど。全方位から数の暴力。
数への対抗はやはり数だ。
俺1人で相手にするんじゃないよ。セーラを中央に守りつつ俺、マリー先輩、シャンク先輩の3人で全方向からの敵に対応だ。
矢を番えた俺は、右手の藪の中に潜んでいるゴブリンに向けて連射。
ギャッ!
ギャッ!
ゴブリンアーチャーを2体を片付けて、憂いを排除。
数を武器に、駆け寄ってくるブッシュウルフを迎え撃つ。
左から後ろはマリー先輩に任せたから、俺は前と右のみに集中すればいい。
もう1度、意識を全方位に向ける。
聴力に集中。
うん、ゴブリンアーチャーなど潜んでいる魔獣はいないはずだ。
背の刀を抜き迎撃。
ガルルルッー!
ザンッ!
ギャンッ!
飛びかかってくるブッシュウルフを一刀両断に切り捨てる。
ガルルルッー!
ザンッ!
ギャンッ!
ガルルルッー!
ザンッ!
ギャンッ!
ガルルルッー!
ザンッ!
ギャンッ!
刀を振るう毎に倒れるブッシュウルフ。
目線はしっかり全体を視てるよ。油断はしない。
ガァーッ!
セーラに向けて歯を剥いて飛びかかってくるブッシュウルフ。
「させないよ!」
ブンッ!
シャンク先輩、上からの爪一閃。
ギャンッ!
ブッシュウルフがぼろ雑巾のように切り捨てられた。
マリー先輩の精霊魔法。
ガウガウガーッ!
ガウガウガーッ!
「エアカッター!」
ギャッ‥ギャッ‥ギャッ
後方から駆け寄るブッシュウルフも、左から飛びかかるブッシュウルフも、その数10頭余りが。
マリー先輩を起点とする半円10mに近づくことなく、断末魔の叫びさえも許されず、カッターで切り離された紙のように裁断された。
「みんな大丈夫だよね?」
「ええ」
「うん」
「はい」
「行くよ」
タタタタタタターーッ
俺を先頭にみんなが小走りで先を急ぐ。
草原エリアの2階層が唐突に終わった。
またしても薄暗い回廊に突入だ。
回廊はある意味有利に闘える。
なぜって?
前からの魔獣にさえ気をつければいいからだ。もちろん後ろから来ないとは限らないけど、魔獣はほぼ前からのみだ。
回廊を経て
3階層は山地に近かったよな。
11
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~
さとう
ファンタジー
生まれながらにして身に宿る『召喚獣』を使役する『召喚師』
誰もが持つ召喚獣は、様々な能力を持ったよきパートナーであり、位の高い召喚獣ほど持つ者は強く、憧れの存在である。
辺境貴族リグヴェータ家の末っ子アルフェンの召喚獣は最低も最低、手のひらに乗る小さな『モグラ』だった。アルフェンは、兄や姉からは蔑まれ、両親からは冷遇される生活を送っていた。
だが十五歳になり、高位な召喚獣を宿す幼馴染のフェニアと共に召喚学園の『アースガルズ召喚学園』に通うことになる。
学園でも蔑まれるアルフェン。秀な兄や姉、強くなっていく幼馴染、そしてアルフェンと同じ最底辺の仲間たち。同じレベルの仲間と共に絆を深め、一時の平穏を手に入れる
これは、全てを失う少年が最強の力を手に入れ、学園生活を送る物語。
完結 シシルナ島物語 少年薬師ノルド/ 荷運び人ノルド 蠱惑の魔剣
織部
ファンタジー
ノルドは、古き風の島、正式名称シシルナ・アエリア・エルダで育った。母セラと二人きりで暮らし。
背は低く猫背で、隻眼で、両手は動くものの、左腕は上がらず、左足もほとんど動かない、生まれつき障害を抱えていた。
母セラもまた、頭に毒薬を浴びたような痣がある。彼女はスカーフで頭を覆い、人目を避けてひっそりと暮らしていた。
セラ親子がシシルナ島に渡ってきたのは、ノルドがわずか2歳の時だった。
彼の中で最も古い記憶。船のデッキで、母セラに抱かれながら、この新たな島がゆっくりと近づいてくるのを見つめた瞬間だ。
セラの腕の中で、ぽつりと一言、彼がつぶやく。
「セラ、ウミ」
「ええ、そうよ。海」
ノルドの成長譚と冒険譚の物語が開幕します!
カクヨム様 小説家になろう様でも掲載しております。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる