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第2章 幼年編
291 42階層回廊
しおりを挟む「しかしすごい嵐だったよな」
「私飛ばされそうでした」
「僕もです」
「オイもだ」
「「「マジか!」」」
ワハハハ
フフフフ
ガハハハ
わははは
「オニールのせいで雨風の音がうるさくて眠れなかったの」
「えー!どうして俺のせいなんだよ!」
ワハハハ
フフフフ
ガハハハ
わははは
嵐から解放されたというだけでみんなの気持ちがホッとしたんだ。
「アイゼンはめちゃくちゃアリだったな」
「足が地面にピッタリ吸いついたからな」
「ああ軽い俺はとても助かったよ」
41階層対応のアイゼンは装備してよかったよ。
「アイゼンはそのままつけていてください。たぶん次の42階層は地面が熱くて戦闘靴のゴムが溶けるかもしれませんから、お願いします」
「「「了解」」」
▼
「「じゃあ行ってくる」」
「よろしくねタイガー、キム」
「「「いってらっしゃい」」」
キム先輩とタイガー先輩。2人の先輩が斥候として回廊の先まで偵察をしてきてくれた。
「直線の距離はやっぱり1エルケ(1㎞)。魔獣は1体もいなかったぞ」
「ああ気配もまったくなかったな」
「やっぱり1回だけとはいえ過去の記録は間違いなかったんだね」
「じゃあこっからは階層探索を頑張って終わったら回廊はゆっくり休憩できるって考えればいいんじゃねぇか」
「ん。たまにはオニールはいいことを言うの」
「たまにはかよ!」
ヨシヨシと頭を撫でるリズ先輩。嬉しそうにしながら顔を紅潮させるオニール先輩だ。
「僕もオニールの言うことがたぶん正解だと思うよ。
もうみんなも気付いていると思うけど、『学園ダンジョン』は探索する学生のレベルにあわせて対応してくるし、なおかつ進化してると思うんだ」
「「「うんうん」」」
「そうなのか!?」
「やっぱりオニールはオニールなの」
「ん?それは褒めてるのか?」
「褒めてないの」
そう言いながらリズ先輩は大人がよく俺に向かってやるような生暖かい顔をしながら両手を上げて降参のポーズをしてみせた。
「フッ」
「あっ!シャンクてめー!」
「痛い、痛い。ごめんなさい、ごめんなさい」
オニール先輩がシャンク先輩の首を押さえ込んでいた。
ハハハハ
ギャハハ
フフフフ
最初に比べたらずいぶんみんなの仲が良くなった。ボル隊もブーリ隊もあわせてみんなお互いをすごく信頼している。まるで家族みたいな関係性だよ。
「1階層ごとに時間もかかるし難易度も一気に高くなるんだ。オニールが言ったようにここでは各階層が階層主戦で、回廊がその後の休憩室みたいなものだって考えたらいいんだろうね」
「ビリー先輩の話はすっごくよくわかります!」
「俺じゃわかんねぇのかよセーラ!」
「はいわかりません!」
ハハハハ
ギャハハ
フフフフ
「じゃあお楽しみの食事の前に。明日以降のことを考えようか」
「タイガー、出発はどうがいいと思う?」
「もちろん明朝でも可能だが、かなりみんな疲労したからな。体調を万全にするにはもう1日休んでから行くといいんじゃないか」
「やっぱりそうよね」
「じゃあ次の42回へは明後日の出発にするわ。みんなそれでいい?」
「「「了解(はい)」」」
「これからは1階層ごとに対策会議をしていくからね。じゃあビリーお願い」
「休憩室でも話をしたように次の42階層は高低差のある火山帯だよ。旧道はずっと続いているからリアカーが通れないことはないかと思う。
だけど最悪道がなくなって尚且つ通れなくなったら、リアカーはその場に放置していくことも考えられるからね」
「てことはうまいメシが昔みたいに元に戻るのか?!」
「当然そうなるだろうね」
「それは困るの!」
「そのとおりです!」
「リズ、セーラみんな一緒だぞ。あんだけうまいものを作ってもらってたんだ。俺も今さら干し肉のスープには戻れないな‥‥」
「まだ決まったわけじゃないからね。あくまでも可能性があるだけだからね」
「ビリー他には?」
「やっぱり暑さだね。戦闘靴の靴底対策はアレク君の作ってくれたアイゼンをそのまま装着していくんだよね?」
「はいそれでお願いします」
「他に暑さ対策は何かある?」
「暑さの原因が火山活動だけなら服を脱いで水着でもいいと思いますが、もし太陽の暑さがあるのなら肌の露出はあまりよくないかと思います」
「日焼けは火傷だからね」
「ん。日焼けは女の子に大敵なの」
「そのとおりです」
「男にも火傷はよくねぇからな」
「何か対策はあるかなアレク君?」
「ココナッツで作った日焼け止めのオイルを作りました。べたべたするかもしれませんが全身にこれを塗ってください。かなり違うと思います」
「アレク、いいものを作ったね!」
「ん、よくやったの」
「日焼け止めはいいわね」
いつの時代も世界も共通なのは女子のスキンケアだよな。
「ヘルハウンドの毛皮で作った耐熱耐火に対応した服を作りました。これを着てください。サイズは全員に合うようにセーラが作ってくれました」
「「「セーラありがとうな」」」
「はい!」
「服の背中の首元にポケットがありますよね」
「ああ。なんだ?」
「たまらなく暑くなったらここにガタロの魔石を入れてください」
「「「??」」」
「ちょうどいいや。オニール先輩、先に人体実験をやってみせてください」
「お前らなんでも俺に人体実験させるよな」
「あはは」
そうは言いつつ、オニール先輩がヘルハウンドで作った服を着てくれる。
「秋ならいいけど真夏だったら暑いぞこの服」
「でも火山地帯ですから火の熱からは守ってくれますよ」
「「「へぇー」」」
「じゃあ首元のポケットにこのガタロの魔石を入れてください。はいどうぞ」
「ん?」
あめ玉くらいのガタロの魔石をオニール先輩に手渡す。
「これを首のポケットに入れればいいんだな」
「はい」
オニール先輩が後ろ手を回して、首元のポケットにガタロの魔石を入れた。
「おおっ?!」
「おお~!背中が~!」
「どうしたオニール?」
しばらくしたら効果
が出てきたみたいだよ。
「なんだこれ!背中から水がでてくるぞ!」
「ん。アレク成功なの」
「「やったやった!!」」
思わずリズ先輩とハイタッチをする。
「リズ、アレク君どういう仕組みなの?」
「ん。アレクが服の裏の皮に魔法陣を描いたの。ガタロの魔石を入れたら水筒みたいに自然に水がでてくるの」
水を出すガタロの魔石は水筒にいれておけば自然に水が溢れだす。こんな感じで魔法陣と組み合わせて首元のポケットからじわじわと水がでるような魔法陣を描いたんだ。服に滲み出す水自体もちろん冷却効果がある。でもそれ以上に水が蒸発する気加熱で服が冷たく感じるんだよ。
「ガタロの魔石は半日で1個使い切ると思います。1日2個使ってください」
「これは明日が楽しみだよアレク君」
「はい僕も楽しみです!」
「フフ。次に魔獣、魔物はどう?」
「出てくる魔物はゴーレムのみのようだね。これまでと同じゴーレムなら楽なんだけどね、たぶん違うかな」
まさかまた黄金太陽男かよ!
「ダンジョンが進化していることを考えれば簡単には倒さないってことも考えておこうか」
「うーんわかんないわね」
「ああどんなゴーレムなんだろうな」
太陽男がでてきたから次はやっぱり将軍のマスクかな。ダイヤモンド。筋肉男シリーズってどうなったっけ?
でもなんだかんだでゴーレムだからあまり怖くないよ。だって穴開けたらすぐ倒れるんだからね。
「アレク君食事をお願いできる?」
「はい」
じゃあ今日も美味しいご飯を作ってみんなに食べてもらおう!
▼
この日の夜ご飯は焼きそばを作ってみた。それは保存用の干し肉が心配だったからスープ以外の調理法を考えたからなんだ。シートの中だけど大雨の中を過ごしたから湿気たっぷりの干し肉になってたからね。干し肉をお水で戻してタマネギーや人参、干しキャベツなどと炒めたんだ。塩味の焼きそばだけどけっこうおいしくできたよ。もちろん白ご飯もつけたよ。みんな焼きそばをおかずに白ご飯をおいしそうに食べていた。これで粉もんや焼きそばの横には白ご飯が定番になったな。
ーーーーーーーーーーーー
「じゃあ行くよ!」
「「「はい!」」」
頑張って42階層に挑むぞ!
――――――――――――――
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