アレク・プランタン

かえるまる

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第2章 幼年編

534 思惑

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 「姫様、ゴーム泥棒を取り締まるつもりが大きく変わりまして‥‥」

 猫仮面のお姉さんがそう言って、これまでの流れを報告したんだ。
 
 会議室にはコジローさん、レベちゃん、マル爺を含めたグランドの最高意思決定者が揃っている。
 デーツ、ドンも社会見学的に参加してるよ。
 
 アリアナ姫が海人族のボス、ジョングに声をかけたんだ。
 こうして見るとジョングはガタロみたいなんだけど、ちょっと違うんだよな。うん、確かに獣人だ。海人族って言うんだな。

 「えーっとジョングさん、私はアリアナ。海洋諸国人で、このグランドの代表よ」

 「海人族のジョングだ。ここでは女が頭なのか!」

 「ジョング、なんも珍しくないぞ。力があれば男も女も、歳も、種族も関係ないと思うよ」

 「そうなのだなアレク」

 「フフフ。狐ちゃんの言うとおりね。
 あとここにいるのがコジロー、ドワーフのマル爺、レベちゃん。現在のグランドの決定権者よ」

 「(レベちゃん‥‥)」

 なぜかジョングがレベちゃんに熱視線を送っていたけど……。まさかジョングもそっち系なのかな。

 「まっ!アタシの魅力にまた1人捕まってしまったのねん」

 「「「レベちゃん‥‥」」」


 「ジョングさん、海人族が本島だけじゃなくってグランドにまで来てたとは知らなかったわ。しかも脅されてたなんて」

 「俺たちはグランドの海洋諸国人を討てと命令されてここまでやって来た。その点に関してはお詫びをしたい」

 「そう‥‥」

 「その上であらためてお願いだ。奴らの船に繋がれている子どもたちを救ってはくれまいか」

 「人質というわけね」

 「そうだ‥‥」

 「なぜ捕まったの?」

 「それがわからないんだ。気づいたときには村の過半数の者が殺された。生き残ったのは予め避難していた女子ども。わずかばかりの者たちも子どもを人質に取られたと知ってからは抵抗もできなくなったんだ」

 「えっ過半数?!」

 「元々海人族は数が少ないんだ。力も弱いからな。その上に襲撃を受けたからな。もう我ら一族は50人足らずとなった‥‥」

 「お気の毒に‥‥」

 アリアナ姫としたらまるで他人事には思えないだろうな。

 「でどうしたいの狐ちゃん?」

 「ワハハハハどうしたいってアレクなら1択だよな?」

 「そうじゃの。アレク君なら聞くまでもないかの」

 「いやあぁぁん。あの船にもぶっといのを突き刺すのね!」

 なにか勘違いしてないか、レベちゃん……。
 でも、、、やっぱりジョングはレベちゃんに熱視線を送ってるよ……。コワッ!


 「「団長(アレク)」」

 この場に来ているデーツもドンも俺を見た。俺の答えは変わらない。1択だよ。

 「子どもを人質にして言うことを聞かせるってやり方がエグいんだよ。俺はガキだからそんな奴は許したくないってか許さない!」

 「フフフ。そうなるよねー」

 「「「そうだなぁ」」」

 ところが。大慌てで草さんが飛び込んでいたんだ。現場で待機してた草さんだな。

 「たいへんです姫!」

 「どうしたの?」

 「あの船が、王国旗を掲げてます!」

 「王国旗?!どういうこと?!」

 「そのままかと‥‥」

















 「かぁーっ。そうきたかぁ」

 さも残念と項垂れるコジローさん。

 「「なんと卑怯な‥‥」」

 憤慨するマル爺とドン。

 「許さないわぁ」

 プンスカ怒るレベちゃん。

 「?」

 事態を飲み込めないデーツ。


 「狐ちゃん‥‥残念だけど船への攻撃は王国への攻撃とみなされるわ。だから悪いんだけど私たちとしては‥‥」

 「ははは。そうなるよね。でもさ‥‥」

 「そうよぉ狐ちゃん!なんなら狐ちゃんと私の2人だけで潜りこむぅ?」

 「いやいやレベちゃん。いくらレベちゃんが強くても王国旗上げてんだぞ。見つかったらどうするよ?」

 「アタシが?か弱いアタシが見つかるわけないじゃない!」

 「「「(いやいやレベちゃん‥‥)」」」

 「少し様子をみるかの‥‥」

 「そうね。マル爺の言うとおりね‥‥」

 そこにデーツが声を上げたんだ。

 「レベちゃん師匠。アレクを含めてみんな強いのになんで助けないんだよ?」

 「バカかデーツ!」

 ゴーンッ!

 「痛っ!」

 デーツの頭に拳骨を落としてやった。

 「いいかデーツ。海人族の子どもを捕まえてるとはいえ王国旗を揚げてるんだぞ。そこに踏み込んだらどうなるよ?」

 「だって!それでもお前は強いじゃないか!師匠も強いじゃないか!」

 「じゃあなデーツ、ここから王都なんか目と鼻の先なんだぞ。こっちから仕掛けといていや知りませんで通るかよ!
 それでもし王都騎士団が攻めてきたら闘えるのか?」

 「お、俺だって少しくらいは‥‥」

 「だからお前はバカなんだよ!」

 ゴーンッ!

 「痛っ!」

「ロイズ帝国の先代皇帝の息子も居たとわかったらどうなる?国と国の間で何もなかったと言えるのか?
 それより今のお前に何ができる?」

 「ううっ‥‥」

 「あのなぁデーツ、オヤジが言った言葉をよく噛みしめてみろよ。この旅で俺かお前、あるいは2人が死んだり行方不明になってもオヤジは一切関与しないって言ったよな?」

 コクコク  コクコク

 「それはそういう意味なんだよ」

 「‥‥」

 「狐ちゃん、そこまで言わなくてもいいんじゃないかしら。デーツちゃんがかわいそうよぉ」

 「いやレベちゃん。コイツは甘過ぎなんだよ。俺も相当甘いけど、コイツの甘さは話にならないくらい底なしなんだよ」

 「クッ‥‥」

 「「「‥‥」」」





 









 「姫、たいへんです!あの船から遺体が2体投げ捨てられました!

 「まさか‥‥」

 「はい。身体が紫色の遺体が2体です」

 「それって船員名簿に‥‥」

 「はい。こちらで捕縛中の男たちを含めて船員名簿には該当しそうな人物は記載されておりません」

 「「「‥‥」」」

 「意味はわかるデーツちゃん?」

 「ワカラナイデス」

 「船長以下主なクルーの名前は提出してあるのよ。だから名簿に犯罪の関与が疑われる者が含まれてたら海洋諸国としてあの船に臨検できるわけ。
 飛び地とはいえここは海洋諸国だからね。
 だけど名簿に疾しい人物はおそらく含まれてないから‥‥船に乗りこめば逆に王国からの不法侵入に問われるわ」

 「じゃあ師匠どうしたら?アイツらのほうが悪いじゃないか‥‥そんなのっておかしいよ。なんでなんだよ‥‥」

 デーツの頬に涙が伝った。

 「デーツお前‥‥」




―――――――――――――――


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