アレク・プランタン

かえるまる

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第2章 幼年編

562 武闘祭出場校

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 【  ●●●●side  】

 「くそっ!思い出すだけで腹が立つ!」

 「そうだよビックスさん。あんたほどの男がなんで騎士団をやめされられるんだよ」

 「そうだろ。そのとおりなんだよ。なんで俺ほどの男が‥‥‥‥‥‥」

 「眠ったな。ヨシ。この調子だ。どんどん怒りを膨らませろ」

 「へい」

 「なんでなんでなんで。違う、違う、違う‥‥。くそっ、くそっ、くそっ、くそっ、くそっ!憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い‥‥」

 「まだだ。まだまだだよビックスさんよ。クックック」


――――――――――


 【  アレク・フリージアside  】

 「フリージア目線だよ、目線」

 「目線がなにアレク君?」

 「フリージアはさ、いい意味でもそうでない意味でも素直なんだよ。だから狙う対象をじっくり見てレイピアを振るうだろ。それは強くなった相手にとって御しやすくなるだけだぞ」

 「ん?」

 「右向いてて左狙われたらどうだ?」

 「あっ!たしかにそうだわ」

 「明後日向きながらこっち突いてくる奴なんかふつうにいるぞ。逆にフリージアもそうならなきゃダメだぞ」

 「ハァハァ‥‥ホントねアレク君!
 あ~疲れた。汗びっしょりよ」

 そう言いながら何気に胸元の汗を拭うフリージア。

 じーーーーーっ

目線どころか身体が固まるアレクにアリサの短刀の柄が頭を襲う。

 ガーーーンッッ!

 「お兄ちゃんどこじっと見てるのよ!」

 「痛っ!すいません‥‥」

 3人のその様子を影から見守るローズがまたしても呟いた。

 (なにタラタラやってるのよ‥‥)







 「フリージア、最初に比べたら格段によくなったわ。アレク坊のおかげだね」

 「うん。ローズお婆ちゃん!」

 「フリージアはまだアレク坊に勝つつもりなのかしら?」

 「うーん‥‥たぶん、いいえ、絶対にアレク君には勝てないわ。
 でもねローズお婆ちゃん、私アレク君と決勝を闘いたいわ」

 「そうねフリージア。がんばりなさい」

 「うん!」


――――――――――


 わーわーわーわー
 ワイワイワイワイ
 ワーワーワーワー
 わいわいわいわい


 ロイズ帝国帝都スタッズ内。
 凡そ2週間。未成年者武闘祭の予選が始まった。

 先に開催されたヴィヨルド領の武闘祭に倣い、1日1戦は未成年者の身体を気遣ってのものである。

 聖職者に冒険者。回復職のサポート体制は万全。ハイポーションからエリクサーなど。高価な回復薬の準備も十分。

 わーわーわーわー
 ワイワイワイワイ
 ワーワーワーワー
 わいわいわいわい
 

 帝都スタッズの円形闘技場。

 収容人数50,000人ともいわれたローマのコロッセオよりもひと回り大きなそれは収容人数も75,000人ほど。予選から既に満席である。

 この世界の人々の視力が良いことはもちろんなのだが、娯楽に飢えた人々にとって未成年者といえど、武闘祭は格好の娯楽を提供するものだった。


 「「ハチ!」」

 「「ハチ!お前家業を忘れて何してやがる!」」

 「家業は兄ちゃんたちががんばればいいんす。僕は僕で狂犬団が儲かれば巡り巡ってミカサ商会も儲かるからそれでいいんす!」

 ピューっと家から走り去る末っ子の後ろ姿を恨みがましく見つめる兄2人。

 「イチ、サン。ハチの好きにやらせればいいんだ」

 「だって父ちゃん!?」

 「ハチの言うとおりだ。狂犬団が組織として確立すればミカサ商会にとっても大きな得意先様になるんだからな」

 (あの子狸、いったい誰に似たのやら‥‥)


 「みんないいっすね。この2週間ほどが狂犬団売り子部隊にとってかきいれどきなんすよ」

 「「「そうすねハチさん!」」」

 「2週間で半年分は稼ぐっす!」

 「「「おおー!」」」

 円形闘技場内にいつのまにか狂犬団販売店を設置させたハチがさらに数多くの売り子を前に陣頭指揮を執っている。

 「ドン様、トン様売り子部隊って‥‥」

 「おギン気にすんなよ。いいんじゃね、ねぇ兄ちゃん?」

 心配するギンを始めとする狂犬団の幹部連を前に、ドンは笑いながらハチを擁護した。

 「フッ。金儲けだけは俺らの誰よりできるのがハチだからな」

 「いいっすか。学園価格の3倍でも飛ぶように売れるはずっすよ。だから売りまくるっすよ」

 「「「おおーっ!」」」

 「しっかり稼ぐっすよー」

 「「「おおー!」」」


 円形闘技場に溢れる観客をターゲットにした売り子チームの編成。
 それは屋台を構える「待ち」の営業スタイルから観客席まで届ける「攻め」のスタイルの構築。
 しかも他店の肉串にはない豊富な品揃え。

 よって市中価格よりははるかに高い価格の商品、学園内購買価格の3倍でも十分に完売できると踏んだハチのそろばん勘定であった。
 

――――――――――


 「明日からの決勝戦。俺たちもいよいよ出番だな」

 「そうね」

 「決勝で会えるといいなフリージア」

 「ええアレク君」

 「今のお前なら油断しなきゃ結構やれるからな。がんばれよ」

 「がんばってねフリージアさん」

 「アレク君にアリサちゃん。本当にありがとうね。結局あの日から毎日のように修練に付き合ってもらったわ」

 「気にすんな。フリージアももう友だちだからな」

 「お兄ちゃんの言うとおりよ」

 「ありがとう!ハァハァ、でも疲れた。今日も汗でびっしょりよ」

 そう言いながら毎度のお約束のように胸元の汗を拭うフリージア。

 じーーーーーっ

 目線どころか身体が固まるアレクもお約束。
 そして。アリサの短刀の柄がアレクの頭を襲うのもお約束。

 ガーーーンッッ!

 「お兄ちゃん!毎日毎日どこ見てるのよ!」

 「すいません‥‥」

 (あの子ったら‥‥)

 ローズのぼやきもまたお約束である。


――――――――――


 「いよいよ出揃ったな。決勝戦の出場校が」

 「予選免除校は6校、予選会からの勝ち上がり4校だよな」

 「はい。まあ当然といえば当然ですね」

 「予選を勝ち抜いた4校の学校名は?」

 「えーっとですね、自治領アブルサムのアブルサム学校、辺境コートのコート学園、辺境ティティカカのティティカカ学園、ティンギュー村のティンギュー学園です」

 「合計10校だな」

 「はい。10校からの決勝トーナメントとなります」

 「①枠は帝都学園。これ以外は実行委員会立ち会いの下、抽選で決定だ」

 
 あとから聞いたんだけどね、帝都学園、つまり俺は準決勝不戦勝の枠に入ってたんだって。帝都学園とあたる学園は道を断たれるのがかわいそうっていのがその理由なんだって。それだけ帝都学園の武は広く認知されてたってわけなんだよね。


 未成年者武闘祭決勝出場校

    ①  帝都学園
 ②  帝都騎士団養成校
 ③  陸軍兵学校
 ④  帝都学校(アポロ校)
 ⑤  魔法軍学校
 ⑥  モンク僧養成学校
 ⑦  自治領アブルサム学校
 ⑧  北の辺境コートのコート学園
 ⑨  東の辺境ティティカカのティティカカ学園
 ⑩  ティンギュー村のティンギュー学園


 ④の帝都学校は帝都学園と紛らわしいことから、居住区アポロに在る学校ってことでアポロ校って呼ばれてるんだって。



 ◎  武闘祭ルール

 未成年者(~15歳)限定。
 剣術、体術、魔法術。どれを使ってもいい。武装具もなにを使用してもいい。
 
 勝敗は審判団(主審及び副審2名)の審判によるものとする。
 闘技場の敷地を離れた場合、続行不可と認められた場合、自身の申告等により決する。
 なお不幸にして死亡に至らしめた当事者の責は問わない。



 魔法衣の着用もない真剣勝負。
 唯一危険防止の胸あて装備は推奨されているけど、やっぱゾクゾクするようなガチ勝負だもんな。

 「楽しみねーアレク」

 「だよねーシルフィ」

 「がんばるぞー」

 「「おぉー!」」

 
 このときの俺は単純に武闘祭参加を楽しんでたんだ。のちにまさかの事態があることも知らずに。


――――――――――


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