アレク・プランタン

かえるまる

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第2章 幼年編

618 仲間と囲むメシ

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 「じゃあ最初のお皿がバンダルスコーピオンのマヨネーズ炒め、通称エビマヨです。
 あっ、名前は古代人が付けてた名前をそのまま使ってます。あはははは‥」

 「「「ウマッ!」」」

 「なにこれ、すごい弾力ね。とっても美味しいわ!マヨネーズの塩味も少なめ?見た目ほどコッテリしてないし、くどくないのね」

 「はい。味つけはマヨネーズと少量のお酢だけですからね。旨みはバンダルスコーピオンの肉です。バンダルスコーピオンは味自体が濃いですね。最高級食材っていうのもわかりますね」

 「「「へぇ~」」」

 「バンダルスコーピオンは高級食材なんだよな、ルシウスのおっさん?」

 「そうじゃ。わしも2、3度しか食ったことはないがの。
 それにしてアレクよ、マヨネーズはやはり旨いのぉ」

 もぐもぐしながらおっさんが言ったんだ。

 「おっさん、エビマヨに追いマヨすんなよ‥‥」

 みんなでワイワイと話をしながら食事会が進んだんだ。

 「食パンに挟んでサンドイッチで食べても旨いですよ。まだまだお料理が続きますから、女性の方は食べすぎないでくださいね」

 「大丈夫よアレク君。女性騎士団員はそのへんの男より胃袋も鍛えてるんだから」

 「メリッサの言うとおりよねー。モグモグ‥」

 口いっぱいにエビマヨで頬を膨らませた第2分隊のメリッサさんが言った。
ジュディさんも口が頬袋のあるリスみたいになってるよ!大人の女の人の子どもみたいな姿ってかわいいよなぁ。

 じーーーっつ

 「(ジュディ、アレク君が見つめてるわよ。かわいいって)」

 「(アレク君ってなんでもできるのに可愛いのよね。食べちゃおうかしら)」

 「(やめなよ。フリージアに怒られるわよ)」

 フフフフフ
 ふふふふふ

 救助された第7分隊と第8分隊の人たちはただただ面食らってたみたい。

 「さっきまで死を覚悟してたんだぞ?!」

 「それなのに‥‥」

 「椅子も机もある。しゃわぁもある。冷たい水も温かいお茶もある。さらに‥‥」

 「なんでパンが堅くないんだよ!?」

 「カビもなくて白くて柔らかいパンだわ!?」

 「パン甘~い!」

 「パンおいし~い!」

 救助された第7、第8分隊の騎士団員さんたちが目を見張ってたよ。

 「(ねえ救助隊のあなたたちってここに来るまでもこんな食事をしてたの?)」

 コクコク
 こくこく

 「(まさかシャワーもなの?)」

 「(ええ、そうよ)」

 「(どうしてよ!私たち死にかけてたのよ!羨ましすぎるわ!)」

 「だって‥‥アレク君だもの」

 「「「ね~♪」」」

 俺が焼いたパンを初めて食べた人は、例外なく同じ反応をするんだ。こんな柔らかいパンは食べたことないって。

 ふつうのダンジョンでは、最初に持っていったカチカチのパン(バゲット)を食べ続ける。カビが生えたパンでさえ当たり前に食べるもんだという刷り込みがあるからね。

 「次はエビマヨのカレー味です」

 「「こっちも旨い!」」

 「「美味すぎる!」」

 「「カレー味サイコー!」」

 「アレク君、騎士団本部も海軍に倣って金曜日はカレーの日にするよ」

 メイズさんがそんなことを教えてくれたよ。

 「はい!」

 「帰ったら1度騎士団本部の司厨長にもカレーの作り方を教えてやってくれるかい?」

 「はい、喜んで」

 「メイズ団長、うちの司厨長も大喜びでしょうな。しぇふに直接教えてもらうのですから」

 「そうだね」

 「あははは」

 わははははは
 ワハハハハハ
 あははははは

 「(ねぇ『しぇふ』ってなに?)」

 「(知らないの?アレク君、料理の世界では知らない人はいないのよ。その世界ではもう
頂点に立ってる人だそうよ)」

 「「「(ねぇ?アレク君って何者なの?!)」」」

 「(えーっとフリージアが大好きな男の子
?)」

 「(じゃなくって‥‥)」










 「「「「「何者なんだろう?」」」」」


 2種のエビマヨは大好評だったよ。
 
 そうそうルシウスのおっさんには塩胡椒してグリルしただけのバンダルスコーピオンも用意してあげたよ。

 「アレクよ、やはりマヨネーズは神じゃの」

 「はいはい‥‥」

 
 「じゃあここからはメインの粉もの3品が続きますからね。まずは焼きそば。麺料理です。フォークに巻きつけるか掬って食べてください」

 「「「はーい」」」

 ああ、お姉さんたちが喜んでくれるのってめちゃくちゃうれしいな。ルシウスのおっさんが喜ぶのよりももっとうれしいよ!

 (焼きそば出して)

 ガマ口に手を入れると、自然と手にお皿がつかめる。
 脳内カウンターも焼きそば6皿→5皿→4皿と変わってくよ。すげえなマジックバックは。

 「次はお好み焼き、最後はたこ焼きです」

 「「焼きそばうめー!」」

 「マヨネーズは神じゃのぉ」

 「「お好み焼き美味しーいっ!」」

 「マヨネーズは神じゃのぉ」

 「「ハフハフたこ焼き、アツアツだけどウマッ!」」

 「マヨネーズは神じゃのぉ」

 「ルシウスのおっさん‥‥」

 わいわいがやがや
 ワイワイガヤガヤ

 もうみんな夢中になって食べてくれてたよ。

 「アレクよ、マヨネーズはもっとないのか?」

 「もうねぇーわ!てかおっさん、やっぱかけすぎだっつーの!」

 「うまいから仕方なかろう!」

 「だからかけすぎだって」

 「もっとよこせ!」

 「もうねぇーわ!」

 「(なにあの2人?とっても仲良くなってるわ)」

 「「「(本当‥‥)」」」








 「アレク君、助けてくれてありがとう」

 柔和な顔をした中高年のおじさんが俺の近くに来たんだ。

 「私はケビン、第2分隊の回復魔法士だ」

 「あっ、フリージアが言ってた、おやっさんですね」

 「はははは。そうだよ。本当にありがとう。君はすばらしく強いね。そして料理も旨い」

 「あははは。あざーす」

 年配の人から真正面向いて褒められると照れるんだよな。まぁ子ども相手に褒めて育てよう作戦だよな、きっと。

 「アレク君、君のことはフリージアからいっぱい聞いていたよ」

 「あははは‥‥」

 (どうせ変態だって言ってたんだろうなフリージアは。くそっ!)



 「「「おやっさん、フリージアの言ってたとおりよね」」」

 「ああ。そのとおりだよ」

 フフフフフ
 わはははは
 ふふふふふ

 (くそー!フリージアめ!どんだけ変態って言ってたんだよ!)

 「アレク君、わしからも礼を言いたい。第8分隊回復魔法士のラースだ」

 「あははは。いえラースさん、こちらこそです。わざわざありがとうございます」

 「君は所作がとても丁寧だね。さぞや生まれも良いところなんだろうね」

 「いえ、違います。俺はサンダー王国最北の辺境ヴィンサンダー領1の荒れた開拓村出身の農民の息子ですから」

 「では、さぞご両親の教育が良かったんだろうね」

 「はい。今の俺があるのは両親や村の神父様、シスターのおかげです。村はみんな良い人ばかりですから。あとヴィンサンダー領都の‥‥」

 あーなんでだろ。年配のおじさんたちとは気兼ねなく喋れるんだけどな。


 こうしてのんびりと食事会ができるのは、無事目的を果たせたからだ。残念ながら全員救うことは出来なかったけど。
 
 今はこうしていられる。それがなによりだ。







 「ルシウスのおっさん。頼みがあるんだ」

 「ん?なんじゃ?」

 「俺ん家の長女アリサを鍛えてやってくれないか」

 「俺ん家?ああ前帝アレクサンダー陛下の娘か?」

 「うん」

 「それは構わんが‥‥」

 「引き受けてくれるのか!ありがとうなルシウスのおっさん!」

 「まずは近々に1度魔法軍のところまで来い。それからじゃ」

 「わかったよ!」



 「じゃあ今夜は最後だからデザートも出しますね」

 「「「デザート?」」」

 「はい。お腹いっぱいでも甘いものは別腹って言いますからね」

 キャー
 きゃー


――――――――――


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