イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛

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イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が、俺

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 本当なら店から最寄り駅までの間に俺の家があるんだけど、それはあえて言わない。
 こいつと歩く帰り道、なんか心が弾む。なんだろうな。欲しいものが手に入った時のあの感じに似てる。
 だから俺はあえて自宅のある道を選ばず、通り越して北門に乗る予定の駅前のバスターミナルに向かって歩いた。
 今日の俺はせっかちさを封印して、ちょっとだけのんびり、そぞろ歩くっていう気分になってる。北門もそんな俺の歩幅に合わせてくれているみたいだ。
 春の空気は温くて心地よく、歩いていると腹もちょうどいい感じにこなれてきた。

「なんか風が気持ちいいな」
「そうですね」

 ほとんど初対面の後輩と並んで一緒に歩きながら、ほわあって思う。本当に不思議な日だ。今朝、こんなことが起こるなんて思いもよらなかった。人生ってたまにこういう急な別ルートみたいなところに入っていくから面白いと思う。
 どこからか桜の花びらが飛んでくる。少し向こうに大きな桜の木がある。空気にまで花の淡い色が溶け込んでる感じの、甘い夜だ。

「おし、キャッチ」

 翳した掌の間を幾つもの桜の花びらが抜けた。開いた掌には何も残ってない。

「逃げられた」

 北門が俺の隣で続けて長い腕を伸ばして、ぐっと掴む。そのまま大きな拳を俺の前に翳す。

「あげます」
「ありがと」

 俺は掌を開いた。北門が載せようとした花弁はまた風に攫われた。

「ああ、とんでっちゃったな」

 二人して顔を見合わせて笑った。こんな感じでだらだら歩いて、ようやく北門が使うバス停についた。夕方のピークが過ぎたから、待っている客がいない。ベンチに並んで座った。別にここですぐさよならでもいいのに、なんだろうか。俺はまだ今日のこの奇妙な感覚を、まだまとったままでいたいのかもしれない。
 隣に座っている友達とも後輩ともまだ名前がしっかりつかない人。この距離感がなんだか心地よい。北門とはどんな自分として接してもいいんだ。俺はうーんと大きな伸びを一つした。
 隣で北角がブレザーのポケットからスマホを取りだした。

「先輩、まだ連絡先聞いてなかったんで、繋がってください」
「あ、そうだったな」
(おおっ! チャンス! きたあ!)

 あんなに気になってたのに、色々楽しくて、すっかり忘れてた。よし、今こそ。ロック画のことをさりげなく指摘しよう。
 俺がドキドキしながら北門の動作を固唾を飲んで見守ってたのに、俺の目の前に晒されたのは友達追加の画面だった、くそう。 
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