イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛

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イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が、俺

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 北門は急に黙りこんで、なんだか神妙な顔つきで画面を凝視してる。
 下を向いて邪魔になったのか、前髪をかき上げた額が綺麗で、うっかり見惚れそうだ。鼻筋がすっと通ってる、睫毛が長い。でもなんだその表情。一体どういう感情なんだかよく分からん。

「まあ、またなんか困ったことあったら連絡してこいよ」

 とりあえずそう声をかけてみた。北門はスマホを弄り続けてる。

(あ、 なんか打ってる)

 てっきり誰かに連絡してるのかと思ったら、俺のスマホに通知が来た。

『今日は、ありがとうございました』
(シャイか! 可愛いかよ! 口で言え!)

 笑いがふき出しそうで、口元に手をやった。

『楽しかったな』

 俺も打ち返した。ちらっと北門の顔を盗み見る。北角、口角が上がってた。

『俺も楽しかった。次こそおごります。食べたいもの、考えておいて』

 お礼のどうこう、あれまだ生きてたのか。それもすっかり忘れてた。

『そういうの、いいって』
『でもまた先輩とどっか遊びに行きたいです」

 うんうん。頷きながらすぐ返事を打つ。

「そんなんいつでも誘えよ。今日楽しかったし』
『俺も楽しかったです。絶対に誘います』

 本当に、今日は楽しかった。また次もこいつとどこかいくのもいいな。
 横見たら、画面から顔を上げた北門こっちみて無邪気って顔で笑ってた。
 すごく嬉しそうで、俺も嬉しい。クールなだけじゃない、こいつのこういう顔を知っている人がどれだけいるんだろう。なんか得した気分だ。

「カレー旨かったな」
「旨かったです。今度、これ返さないと」

 北門がカレーが入った容器をレジ袋ごと持ち上げた。これを返しに来るようにとオーナーは念を押してたっけ。北門を次回も遠慮なく「陽だまり」にこさせようとしている、さりげなくも老練な作戦だ。
 俺はそういうのを、いい感じの大人たちから学んでいけたらいいなって思うんだ。

「……トーマ先輩、あそこによく人を連れて行くんですか」

 うむ。俺はちょっとだけ考えてから、さりげなく聞こえるように明るいトーンで応えた。

「あー、そういや。誰も連れてったことないな」
「誰も?」
「そっ。お前が初めて」
「そうなんですね」

 北門が嬉しそうに目を細めた。猫みたいな目だと思った。

「あそこは俺にとって、隠れ家みたいなもんだから」
「隠れ家?」
「そうだ。今までの自分とはちょっと違う自分になるための魔法の家、なんてな」

 言ってからしまったって思った。意味が分かんないって顔をされたり、茶化されるかと思って身構えたら、されなかった。

「隠れ家」

 口の中で飴玉を転がすみたいに、北門はそうおうむ返しに呟いた。
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