イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛

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イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が、俺

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 街灯の下、真顔になった北門の綺麗な目が、じっとこちらを見つめ返してきた。真剣な雰囲気に、無性に照れる。

「こんな話、誰にもしたことなかったのにな」

 照れ隠しも手伝って、両手の指を組んで手持ち無沙汰で握りながら、俺は独り言を呟いてしまった。車道に目をやったら、ちょうどバスがついてドアが、プシューと開いた。

「どうしてそんな大切なところに俺のこと連れて行ってくれたんですか?」
「それは……」

 お前がついてくるっていうからって言いかけて、それは違うと思って黙った。
 あの場所には、今まで中学の部活の仲間も、高校からできた友人も連れていったことはなかったし、あえて連れて行こうとも思わなかった。
 父も兄もバスケ部、小中とバスケ一筋で来た俺にとって、あそこはそれ以外の俺が生まれた大切な場所だ。俺はふーっと息を吐いて、長く吸い込んだ。

「あそこはさ、全てが俺の日常に溶け込み切れていない、新鮮な空気感があって、それを俺はまだ、俺だけのものにしていたかった気がするんだ」

 あの場所にいる俺は、今までのどの俺とも違う。本来の俺自身があの場所にはあるような。そんな気がして……。
 でもどうしてだろう。どうして北門をあそこに連れてきたんだろう。なんだろな。理由を聞かれても直感としか言いようがない。

「でも。なんか、お前はあそこに連れて行ってもいいかもって思ったんだ」

 部活でもクラスでもない、いまいちの出来の弟でもない、まっさらな素の自分の居場所。
 立ち上がって、まだベンチに座ったままの北門を見下ろす。

「多分だけど。俺にとって。北門はあの場所と同じで、今まで周りになかった、新しい刺激ってやつなのかも。なんかお前と一緒にいたら、楽しいことが起こりそう」

 何かを変えてくれそうな、何かが変わりそうな。そんなワクワクする出会いを感じたんだ。

「先輩は俺と一緒にいて、楽しいんだ」
「なんかあらためて言われると照れるだろ」

 答えを催促するような顔つき。俺はわざとぶっきらぼうに言った。

「楽しい」
「俺も先輩といると楽しいよ」

 北門がバスに乗り込もうとベンチから立ち上がる。北門を見送るため、俺も立ち上がる。
 スラリと背が高い。相棒にしたら頼もしいサイズ感だ。

「あそこは俺たちだけの秘密の場所ですね」
「そうだな。そういうの、なんかいいな」

 北門と並んで立つとわくわくして、自然と頬が緩んだ。

「先輩の大事な場所に、俺を連れて行ってくれてありがとうございました」

 日は落ちて、別れ際、なんだか少しもの寂しい。気持ちが静まっていく。
北門は立ちすくむ俺を残してバスに乗り混んでいく。だけど何故か北門は俺の元へと逆戻りにタラップを一段降りた。

「どうした?」
「先輩……。高校はなんでバスケ部に入らなかったんですか?」
「え……」

 プシューっと音がしてバスの扉が閉まる。扉の向こうは薄暗く、もう北門の表情は探れなかった。
 動き出すバスから距離を取ろうと、俺はよろけるように数歩後ろに下がった。
 不意打ちに食らった、ジャブのような台詞だ。

「あいつ……、やっぱ俺がバスケ部だって知ってたんだ」

 じゃあなぜ、北門は俺の写真をロック画にしたんだろう。なんで……。
 

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