イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛

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イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が、俺

56 ある雨の日 side 北門

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 中一まで俺の身長は155㎝ぐらいしかなかった。中学生女子の平均身長だそうだ。その上顔は母親に似て派手め、女子からは美少年とかアイドルみたいと言われて、色々としつこくされ、男子からは女の子みたいな顔だと、それはそれで揶揄われた。

 サッカー部でもそれは同じだった。俺の容姿や体格で周りにひけをとりたくなくて、負けたくない一心で、時には周囲にたいして生意気な態度をとったと思う。
 一年生ながらレギュラーに選ばれたが、俺の奢った態度とひがみや嫉妬から部内の連絡網からはぶかれてしまった。
 あの日は運動部が参加する駅前清掃活動の日だった。朝駅前に集まって清掃活動が終わってから学校に戻って部の活動をするというスケジュールで、駅にいく途中でもう雨が降り出したが、俺のところには中止になったという連絡は来なかった。

 リュックを背負い、傘はない。そんな俺を構う人はいなかった。父親は休日は寝てばかりで、母親は年の離れた妹と実家に帰っていてこちらにはいなかった。
 自分で買ってきた軍手をつけてビニール袋を手に持って立っていたけど、駅前には誰も来なくて、多分嫌がらせをされたのだろうと早々に悟った。同じクラスにもサッカー部のやつはいたけど連絡はなかった。
 濡れながら意地になってゴミを拾った。でもすぐに馬鹿馬鹿しくなって袋を腕に下げた状態で駅前広場のベンチに座り、激しさを増すばかりの雨に打たれていた。

 惨めだった。悔しかった。だけど絶対に嫌がらせをしてくる奴らに負けたくはなかった。でもまだ中一だった俺には、あの仕打ちは相当に応えた。
 ちょうど家もがたがたしていた時期だった。元々良くなかった両親の仲は壊滅的で、俺が中学を卒業するまではしないとか、そんな理由をつけて離婚を先延ばしにしたくせに、顔を合わせたら口論ばかりだ。
 家に居場所がなくて、部活にも居場所がなくて、そんな時にこんなことになった。

 この状態で家まで逃げ帰ったらあいつらの思うつぼだ。このまま学校に行って堂々と部活に参加してやる。悪いのはあいつらだ。そんな風に自分を奮い立たせようと膝に置いた拳を握った。
 でも立ちあがる気力がでない。世界中が敵に思えて、情けなくて、辛くて、雨じゃない、温い水が頬を伝ってきた。
 こらえたかったのに、こらえきれない。でも、もういいかと思った。これだけずぶ濡れなら、俺が泣いていることなんて誰にも分らないだろう。 
 嗚咽を漏らしそうになって、両手で口を覆う。だけど下を向いていたら急に雨が当たらなくなった。
 忘れもしない、あの時の光景。差し出された傘の色は青、あの人のユニフォームは鮮やかな赤。

「なあ、お前。今日清掃活動、ないぞ。誰も教えてくれなかったのか?」

 変声期直前の高い声は、少女めいていたが意志の強そうな力強さを秘めていた。
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