イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛

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イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が、俺

59 ある雨の日 side 北門

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 部長同士も友人。仲のいい部員同士もいる。俺が春から夏の終わりまで悩んでいたことを、先輩はあっという間に解決した。
 その場で二度とこういうことを部員にさせないようにしろと、サッカー部部長に皆の前で啖呵を切って約束させたのだ。
 それは痺れる格好良さで、怒りに震えた小さな顔は同時にとても美しいと思った。
 
 「こいつも生意気なところがあるからやっかまれたんだろ」

 サッカー部部長がと俺の方を見ながら言った。そうしたら何人かの部員が頷いた。腹のあたりがもやっと重くなる。俺は下を向いた。

(女の子みたいに可愛い顔だとか、北門なら付き合えるかもとか言われたのがしゃくで、その女の子みたいな顔の奴に負けたんだぞって思わせたかった、なんていえるかよ)

「そうなのか?」

 先輩はわざわざ屈んで、俺の顔を覗き込んできた。ぐっと唇を切れそうなほどに噛む俺の肩を、先輩は一度激励するみたいに掴む。まだ濡れたままの前髪から雨の雫が落ちる。先輩は無造作にそれを拭って、俺にだけ聞こえる声で尋ねてきた。

「言いたくないか?」

 こくん、と素直に頷く。そんな俺の様子が普段よりずっと素直だと思ったのか、部長もいつもみたいに俺にくどくどと説教をすることはなかった。

 先輩は身体を起こすと、部長に振り返った。

「それならどこが嫌だったか、そのことを本人に伝えればいいでしょう? なにか誤解があったのかもしれないじゃないか。こんな風に一人に対して陰で嫌がらせをする理由になるんですか?」

 部長は三年生。先輩は二年生だ。だけど一歩も引かない。

(見ず知らずのやつに、なんでこんなことまでしてくれるんだ)

 俺は顔を上げた。俺はその細い背に庇われ護られていた。
 圧倒的な安心感と慕わしさが同時に押し寄せ胸が苦しい。今まで、家でも居場所がなくて、部活でも苦しくて、誰かに助けてって言いたかった。
 でも誰にも言えなくて、あがいてとげとげとした態度で自分も相手も刺しつづけるほか、自分を守るすべがなかった。
 だけど、今。声に出せなかったのに、こうして俺の事を見つけ出し、助けてくれる人と出会えた。
 神様がいるなら、それはとても気の利く神だと思った。
 燈真先輩は俺を振り返って、やっと輝くような笑顔を見せた。それは優しくて、飾り気がなくて、でもものすごく可愛いといっていいぐらいのあどけない笑顔だった。あの激しさを見せた人とはまるで別人みたいに思えた。
 かっこいいと可愛いは両立できるものなんだ、とかこんな今まで思ってもみないような考えが頭にふわっと浮かんできた。その時にはもう、俺は運動部の男たちがぎゅうぎゅうにひしめく教室の中で、この人の事しか見えなくなっていた

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