イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛

文字の大きさ
63 / 105
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が、俺

61 ある雨の日 side 北門

しおりを挟む
 先輩が帰ってしまうことが寂しくて、もっと傍に居たくて、あの人の目に俺だけを映してもらいたくて、溢れる思いの何から手を付けていいのか分からない。
 ただひたすらに、堪らない気持ちになった。 
 仲間たちに囲まれながら燈真先輩が帰った後、部屋の中は光を失ったように色あせて見えた。先輩と親しそうだった人に聞いて、その時初めて先輩が『南澤燈真』という名前だと知った。
 その先輩は誇らしそうに、俺に燈真先輩の話をする。

「あいつ、いいやつだろ。面倒見がいいんだ。あいつの兄さんもバスケ部の部長でさ、でかくてイケメンで、頭も良くて、確か有名なバスケ部のある高校に進学してレギュラーとってる。まあ、あいつは父さんや兄さんみたいにでかくなるはずだったのにって、ぼやいてたけど。すげぇ美人のお母さん似で女子にモテそうな可愛い顔してるから、いいじゃんかって俺は思うけどな」

 燈真先輩の家族がすごいとか、俺にはどうでもいい。
 俺にとってのヒーローは燈真先輩だけだ。

 だけど俺の知らない先輩の事をたくさん知っているであろう、その人に対して、胸にちりちりと切ない複雑な疼きが生まれた。その人だけじゃない。燈真先輩を知っているサッカー部の先輩も、親し気に肩を組んでいたサッカー部の部長も、燈真先輩を取り巻く誰もかれもにムカついた。
 この気持ちは何なのか、あの時は分からなかった。だけど今は分かる。あれは嫉妬だった。

(なんで俺、今まであの人を知らずに生きてこられたんだろう)

 あの人の全てを知りたいのに、何も知らない自分が悔しかった。
 それから俺は一種の信仰のように、先輩の事を好きになった。
 SNSに誰かが上げていた公式戦の試合中の写真。画像は荒いけど先輩のところだけを切り抜いてひっそり持っていた。
 あれから両親は離婚して、元々無口だった父とは大して言葉を交わさない。母についてきなさいと言われたが、実家のある遠い県に引っ越す母についていったら、もう燈真先輩と会うことは出来なくなる。それは絶対に嫌だった。
 長い間かかって、沢山考えて、答え合わせができたのは、高校に入って先輩の姿を見かけた時。相変わらず友達と楽しそうにしている先輩の姿に、どうしてそこにいるのは自分ではないのかと、喉がヒリヒリ痛むほどの渇きを覚えた。
しおりを挟む
感想 78

あなたにおすすめの小説

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

兄貴同士でキスしたら、何か問題でも?

perari
BL
挑戦として、イヤホンをつけたまま、相手の口の動きだけで会話を理解し、電話に答える――そんな遊びをしていた時のことだ。 その最中、俺の親友である理光が、なぜか俺の彼女に電話をかけた。 彼は俺のすぐそばに身を寄せ、薄い唇をわずかに結び、ひと言つぶやいた。 ……その瞬間、俺の頭は真っ白になった。 口の動きで読み取った言葉は、間違いなくこうだった。 ――「光希、俺はお前が好きだ。」 次の瞬間、電話の向こう側で彼女の怒りが炸裂したのだ。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~

水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。 アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。 氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。 「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」 辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。 これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!

本気になった幼なじみがメロすぎます!

文月あお
BL
同じマンションに住む年下の幼なじみ・玲央は、イケメンで、生意気だけど根はいいやつだし、とてもモテる。 俺は失恋するたびに「玲央みたいな男に生まれたかったなぁ」なんて思う。 いいなぁ玲央は。きっと俺より経験豊富なんだろうな――と、つい出来心で聞いてしまったんだ。 「やっぱ唇ってさ、やわらけーの?」 その軽率な質問が、俺と玲央の幼なじみライフを、まるっと変えてしまった。 「忘れないでよ、今日のこと」 「唯くんは俺の隣しかだめだから」 「なんで邪魔してたか、わかんねーの?」 俺と玲央は幼なじみで。男同士で。生まれたときからずっと一緒で。 俺の恋の相手は女の子のはずだし、玲央の恋の相手は、もっと素敵な人であるはずなのに。 「素数でも数えてなきゃ、俺はふつーにこうなんだよ、唯くんといたら」 そんな必死な顔で迫ってくんなよ……メロすぎんだろーが……! 【攻め】倉田玲央(高一)×【受け】五十嵐唯(高三)

イケメン大学生にナンパされているようですが、どうやらただのナンパ男ではないようです

市川
BL
会社帰り、突然声をかけてきたイケメン大学生。断ろうにもうまくいかず……

僕の恋人は、超イケメン!!

八乙女 忍
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?

処理中です...