イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛

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イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が、俺

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 もはやうむをいわせない、「帰りに迎えに行きます」メッセージの強制力よ……。

 俺はとりあえずウサギがバスケットボールをダムダムするイラストの「了解」スタンプを返しておいた。
 でも、時間が近づくにつれ、なんとなくそわそわとして時計ばかりをみてしまう。
 うーん。どうしよう。ロック画のことといい、多分俺このまま告白の事も話題に出しそびれたまま、ずっとあいつと波風立てずにいようとするかもなあ。
 だけどさ、自分に置き換えてみたとして、好きだって告った相手の返事、普通聞きたいよな。
 え、今のままでいいって思ってたら、聞きたくないか? わからん……。
 それで……。俺は、あいつになんて返事をしよう。いつもならもっとうまく立ち回れるぐらいにはさ、大人になったって思ってたんだけど。
 全然、ダメ。俺はただのクソガキのまんまだ。

「トンマ!」
「えっ? ああ……」

 大声で叫ばれて背中をバシって小学生に叩かれた。
 おお。また、たぼーっとしてしまった。 

「 スリーオンスリーやろうぜ」

 諦めの悪い小5の可愛いクソガキにTシャツの背中を引っ張られる。
 今は寺子屋ではなくバイト中だから隣の公園にはいけない。それにもう18時半を過ぎるところだった。ああ、あいつがくるまできっと、一時間もない。

「暗くなったぞ。そろそろ家帰らないと駄目だろ」
「俺、鍵忘れたから、姉ちゃんがここで待ってろって。もうすぐ来るよ」
「そっか。じゃあ、あっちで宿題やれば? みてやるよ」
「えー。やだよ~」
 
 カランって扉が開いて、冷たく湿った風が店内に吹き込んできた。新メニューの張り紙がかさかさと揺れる。扉の前、黒い折り畳み傘の雫を払っている背の高い姿、数日ぶりの再会なのになんだかとても久しぶりに感じる。

「いらっしゃいませ」

(ああ、俺こいつにすごく会いたかった)

 そう自然と思えた。自分で避けたくせにな。
 こちらを向いた今日の北門は、湿気で少しだけ癖の出た前髪を後ろに流してる。いつもよりさらに大人びて見えて新鮮だ。
 白目が青く澄んだ大きな瞳、お互いに少し笑顔を浮かべられたことにほっとした。

「雨で部活早く終わったんです」
「ああ、うん。なんか、飲む?」
 
 俺たちにとって雨はお互いを惹きつける呼び水みたいだなって思って、なに恥ずかしいこと考えちゃってんだ。

「はい」
「じゃ、カウンターでいい?」

 下げた食器の乗ったトレイが傾き、コップが落ちそうになったら、すかさず北門が手を伸ばして支えてくれた。

「わあ! あぶない!」

 オーナーが叫んで、つられてまた俺は飛び上がりそうになった。今は常連さんばかりだったからいいけど、みんながびっくりするような大声だ。

 北門はその間もずっとトレイに手をかけてくれてた。

「ありがとな」
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