イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛

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イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が、俺

82 今までの俺、これからの君と side 北門

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 サッカー部に入ることにして、校庭をランニングしていた時、沢山の友人と帰っていく先輩の姿を見かけた。

 部活の最中でなければ追いかけて行って、中学の後輩でしたとかなんとかいって、連絡先を聞き出すことだってできたのに。

 俺は当然、スマホを持っていなかった。桜の花びらだけが舞う中で、友達と帰っていく先輩の背中をただ立ちつくして見送ることしかできなかった。
 
 先輩の去年のクラスメイトだという、女子の先輩が燈真先輩との接点になってくれると言われた。
 少しでいいから先輩への道筋をつけたかった俺は、その先輩とやり取りを続けた。カフェに行こうと言われたら行ったし、一緒に帰ろうと言われたら帰った。
 一向に先輩との連絡を繋いでもらえず、そうしているうちにその先輩から告られた。
 もちろん断った。彼女からの連絡は当然なくなり、ブロックされて、俺はまた色々が嫌になってきた。

 授業中、同じ校舎のどこかに先輩がいるというのに、会おうと思えば数分で抱きしめることだってできるだろうに。
 俺と先輩の距離は遠い。俺と繋がりたい、仲良くなりたいという相手も何人もいた。
 もちろんクラスメイトどまり、サッカー部の友人どまりだったら歓迎した。先輩も周りの人を大切にするから、俺もそういう風に生きてみたかった。
 だけど、どうしても見返りを求めてくるような接し方をさせると、過去の記憶が蘇って、俺は人間を嫌いになってしまいそうになった。
 
 人の温もりや人を信じることの素晴らしさを教えくれたのは先輩で、先輩に近づきたいのに近づこうとすればするほど、俺は人の暗い側面も嫌でも目にすることになる。
 
(助けて。燈真先輩)

 俺の英雄ヒーロー
 
 あの日怒りに震えながら周りの人を正して、俺を勇気づけてくれた貴方なら、また暗い所へ沈んでいこうとする俺を明るい方へ引っ張り上げてくれるんじゃないか。
 
 だからあの日。
 
(美化委員会の教室に先輩が入ってきた時、俺がどれほど嬉しかったか、どれほど興奮したか。先輩には分かる?)
 
 どうしても先輩の傍に行きたかった。どうしても先輩に俺を見つけてもらいたかった。

(どうする、どうしたらいい?)
 
 美化委員会なんて外れの委員を引き受けて、みんなやる気もなくスマホを手にしている。でも先輩はいつも通り、堂々と背筋をピンと伸ばした姿勢で、みんなに呼びかけている。

「改めまして。委員長になった2年7組の南澤燈真です。これから一年間よろしくお願いします」

 中学生の時、ベリーショートだった先輩は形がよくつり上がった直線眉毛にくりくりと大きな瞳がはっきりと見えてた。
 すごく綺麗な顔なのに、今は何故か髪型がいまいちなせいか、生意気な一年生に明らかに格下に見られて絡まれていた。
 そいつらは先輩がどんな人なのかわかっていないから、言いたい放題だ。
 先輩は怒ることもなく、鷹揚に話を聞いている。
 口元には微笑みさえ浮かべていて、目は気力が漲っている。そいつらをしっかりと睨みつけた美しい目にぞくぞくとした。

(ああ、俺の知っている先輩のままだ)
 
 この目、厳しくも温かいこの強い眼差し。
 
 俺を勇気づけてくれる、世界でたった一人の人。


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