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episode 4
変わる関係
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代理アシということもあり、取引先が近づくにつれて緊張してくる。
できる限りの予習復習はしたつもりだが、やはり咄嗟のことに対応できるのかが不安だ。
しかし受付をすませて応接室に通されると、開き直りとでもいうのだろうか。
嘘のように落ち着きを取り戻した。
暫くすると五十代と思しき男性二人と、私と変わらないくらいであろう自女性が二人、応接室に入ってきた。
「いやぁ、待たせてすまんね、湯川さん」
そう言いながら小太りの男性が湯川さんに握手を求めてくる。
「お時間いただけて嬉しいです」
ガッシリと手を握り合うと、フレンドリーな会話が始まった。
「これまたべっぴんさん連れとるやないの」
「そうでしょ?僕のアシスタントの橘です」
いやいや、私がいつ湯川さんのアシスタントになったというのだろう。
「ご挨拶が遅れました。橘と申します」
臨時の、と言わなかったのは、臨時のアシスタントを相手がどうとるかが不安だったからだ。
昔言われたことがあるのだ。
『臨時の人間を連れてくるなんて失礼じゃないか。その程度の比重で仕事をしているのか』と。
「あれ?いつもの電話の声と違わへん?」
小柄な男性の方がそう言うと、湯川さんはあっさりと「そうなんです」と笑って言った。
「いつものアシが急病で来れなくなってしまったんです。そこで優秀な橘さんに動向をお願いした、というわけなんです」
「そら大変やったなぁ」
「いやいや、おかげで僕は橘さんと同行できてうれしい限りなんですけどね」
「ひょっとして湯川さんは橘さん狙ってんのとちゃう?」
恐ろしい指摘を受けて、私はどんな表情をしていいものなのかわからない。
「あ、やっぱりわかっちゃいます?」
ハハッと笑うと男性二人も爆笑とばかりに戸を叩いて大笑いする。
屈託のない笑顔で相手の懐に飛び込める当たりは、湯川さんの優れたコミュニケーション力の高さをうかがわせる。
その後はさすが大阪というべきか。
ノリもテンポもいい打ち合わせは、笑いの渦の中スムーズに行われた。
できる限りの予習復習はしたつもりだが、やはり咄嗟のことに対応できるのかが不安だ。
しかし受付をすませて応接室に通されると、開き直りとでもいうのだろうか。
嘘のように落ち着きを取り戻した。
暫くすると五十代と思しき男性二人と、私と変わらないくらいであろう自女性が二人、応接室に入ってきた。
「いやぁ、待たせてすまんね、湯川さん」
そう言いながら小太りの男性が湯川さんに握手を求めてくる。
「お時間いただけて嬉しいです」
ガッシリと手を握り合うと、フレンドリーな会話が始まった。
「これまたべっぴんさん連れとるやないの」
「そうでしょ?僕のアシスタントの橘です」
いやいや、私がいつ湯川さんのアシスタントになったというのだろう。
「ご挨拶が遅れました。橘と申します」
臨時の、と言わなかったのは、臨時のアシスタントを相手がどうとるかが不安だったからだ。
昔言われたことがあるのだ。
『臨時の人間を連れてくるなんて失礼じゃないか。その程度の比重で仕事をしているのか』と。
「あれ?いつもの電話の声と違わへん?」
小柄な男性の方がそう言うと、湯川さんはあっさりと「そうなんです」と笑って言った。
「いつものアシが急病で来れなくなってしまったんです。そこで優秀な橘さんに動向をお願いした、というわけなんです」
「そら大変やったなぁ」
「いやいや、おかげで僕は橘さんと同行できてうれしい限りなんですけどね」
「ひょっとして湯川さんは橘さん狙ってんのとちゃう?」
恐ろしい指摘を受けて、私はどんな表情をしていいものなのかわからない。
「あ、やっぱりわかっちゃいます?」
ハハッと笑うと男性二人も爆笑とばかりに戸を叩いて大笑いする。
屈託のない笑顔で相手の懐に飛び込める当たりは、湯川さんの優れたコミュニケーション力の高さをうかがわせる。
その後はさすが大阪というべきか。
ノリもテンポもいい打ち合わせは、笑いの渦の中スムーズに行われた。
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