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episode 5
解ける糸
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「じゃあさ、今の二人の関係性って何なの?」
久し振りに私の家に集まったのは、私と藤瀬くんをよく知る人物たち。
亜弓と奈緒だ。
「何なのかって聞かれると、ものすごく答えに困るのよね」
だってそんなの、私の方が聞きたいくらいだもの。
「付き合ってはないわけでしょ?」
奈緒の追及に、正直なところ、何と答えていいのかわからない。
「肝心な言葉をお互いに言わないまま、始まったのか始まってないのかって感じなの」
湯川さんとの一件以来、私と藤瀬くんの関係は一気に変わってしまった。
藤瀬くんを好きな気持ちに向き合うことに決めた私にとっては嬉しいことでもあったのだが、それが正しい関係なのかと聞かれたら、答えはノーだろう。
「つまりセフレってこと?」
亜弓がストレートにそう聞くものだから、私は慌てて両手と頭を勢いよく振って否定した。
「それは違うっ。そんなことしてないもん」
そう、あれから藤瀬くんと二人になれば甘い雰囲気になるし、昂ればキスだってしてしまう。
そんな不純な関係だけど、私達はまだ……いたしていないのだ。
「はぁ?いい大人がイチャイチャラブラブしといてセックスもしてないなんて有り得ないでしょ」
考えられない、とばかりに食いついてくる亜弓の背中を、奈緒はよしよしと撫でる。
「こらこら。そんなことないでしょ。プラトニックな関係でもいいじゃない」
「いやいや、欲情してちゅっちゅしてれば、プラトニックとは言わないでしょ」
もう二人とも……この話を掘り下げるのは止めていただきたい。
久し振りに私の家に集まったのは、私と藤瀬くんをよく知る人物たち。
亜弓と奈緒だ。
「何なのかって聞かれると、ものすごく答えに困るのよね」
だってそんなの、私の方が聞きたいくらいだもの。
「付き合ってはないわけでしょ?」
奈緒の追及に、正直なところ、何と答えていいのかわからない。
「肝心な言葉をお互いに言わないまま、始まったのか始まってないのかって感じなの」
湯川さんとの一件以来、私と藤瀬くんの関係は一気に変わってしまった。
藤瀬くんを好きな気持ちに向き合うことに決めた私にとっては嬉しいことでもあったのだが、それが正しい関係なのかと聞かれたら、答えはノーだろう。
「つまりセフレってこと?」
亜弓がストレートにそう聞くものだから、私は慌てて両手と頭を勢いよく振って否定した。
「それは違うっ。そんなことしてないもん」
そう、あれから藤瀬くんと二人になれば甘い雰囲気になるし、昂ればキスだってしてしまう。
そんな不純な関係だけど、私達はまだ……いたしていないのだ。
「はぁ?いい大人がイチャイチャラブラブしといてセックスもしてないなんて有り得ないでしょ」
考えられない、とばかりに食いついてくる亜弓の背中を、奈緒はよしよしと撫でる。
「こらこら。そんなことないでしょ。プラトニックな関係でもいいじゃない」
「いやいや、欲情してちゅっちゅしてれば、プラトニックとは言わないでしょ」
もう二人とも……この話を掘り下げるのは止めていただきたい。
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