180 / 196
episode 6
決着
しおりを挟む確かに自分の言葉足らずに後悔もているし、そのくせに何も伝えられてもないけれど。
「お前…」
はぁぁっと長い溜め息をつきながら俺は三崎を怪訝な顔で見つめた。
「本気で言ってるわけ?」
こんなに鈍い人間なんているんだろうか。
「そんな怖い顔しないで。ちゃんと聞いておかないと私、2番目でいいなんて、恐ろしくて言えないし……」
2番目だと?
「へぇ……。どの口がそんなこと言ってんだろうな?あ、この口か」
言うが早いか、俺は三崎の後頭部を引き寄せると、強引にキスをした。
「……むっ……ちょ……待ってっ……」
この期に及んで本気の抵抗を見せる三崎は、俺のキスから逃げてしまった。
渋々三崎を閉じ込めていた腕を緩めると溜め息が漏れた。
「本当に信じられねぇ。俺と竹下が付き合ってるなんて、ただの噂話だろうが」
「噂じゃないわ。本人がそう言ってたんだし」
「その本人って竹下だけだろ。俺は一言も口を開いた覚えはないぞ」
そもそも三崎と竹下の間であんなことが起きたというのに、どうして俺が全てを承知で竹下と付き合うなんて発想ができるのだろう。
私欲のために仕事を軽んじた竹下を、俺が好きになると思われるだなんて。
軽くショックだ……。
「だいたいな、それは俺のセリフなんだよ。お前こそ津田さんと付き合ってんだろーが。今日だって会社帰りに泊まりに行くとか…。お前どれだけ自分のこと棚に上げてんだっ」
「………え?……なに……?」
そうだ。
自分で言って思い出すなんてバカみたいだが、三崎はもう津田さんと付き合っているんだった。
0
あなたにおすすめの小説
幸せのありか
神室さち
恋愛
兄の解雇に伴って、本社に呼び戻された氷川哉(ひかわさい)は兄の仕事の後始末とも言える関係企業の整理合理化を進めていた。
決定を下した日、彼のもとに行野樹理(ゆきのじゅり)と名乗る高校生の少女がやってくる。父親の会社との取引を継続してくれるようにと。
哉は、人生というゲームの余興に、一年以内に哉の提示する再建計画をやり遂げれば、以降も取引を続行することを決める。
担保として、樹理を差し出すのならと。止める両親を振りきり、樹理は彼のもとへ行くことを決意した。
とかなんとか書きつつ、幸せのありかを探すお話。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
自サイトに掲載していた作品を、閉鎖により移行。
視点がちょいちょい変わるので、タイトルに記載。
キリのいいところで切るので各話の文字数は一定ではありません。
ものすごく短いページもあります。サクサク更新する予定。
本日何話目、とかの注意は特に入りません。しおりで対応していただけるとありがたいです。
別小説「やさしいキスの見つけ方」のスピンオフとして生まれた作品ですが、メインは単独でも読めます。
直接的な表現はないので全年齢で公開します。
シンデレラは王子様と離婚することになりました。
及川 桜
恋愛
シンデレラは王子様と結婚して幸せになり・・・
なりませんでした!!
【現代版 シンデレラストーリー】
貧乏OLは、ひょんなことから会社の社長と出会い結婚することになりました。
はたから見れば、王子様に見初められたシンデレラストーリー。
しかしながら、その実態は?
離婚前提の結婚生活。
果たして、シンデレラは無事に王子様と離婚できるのでしょうか。
Fly high 〜勘違いから始まる恋〜
吉野 那生
恋愛
平凡なOLとやさぐれ御曹司のオフィスラブ。
ゲレンデで助けてくれた人は取引先の社長 神崎・R・聡一郎だった。
奇跡的に再会を果たした直後、職を失い…彼の秘書となる本城 美月。
なんの資格も取り柄もない美月にとって、そこは居心地の良い場所ではなかったけれど…。
それは、ホントに不可抗力で。
樹沙都
恋愛
これ以上他人に振り回されるのはまっぴらごめんと一大決意。人生における全ての無駄を排除し、おひとりさまを謳歌する歩夢の前に、ひとりの男が立ちはだかった。
「まさか、夫の顔……を、忘れたとは言わないだろうな? 奥さん」
その婚姻は、天の啓示か、はたまた……ついうっかり、か。
恋に仕事に人間関係にと翻弄されるお人好しオンナ関口歩夢と腹黒大魔王小林尊の攻防戦。
まさにいま、開始のゴングが鳴った。
まあね、所詮、人生は不可抗力でできている。わけよ。とほほっ。
イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。
楠ノ木雫
恋愛
蒸発した母の借金を擦り付けられた主人公瑠奈は、お見合い代行のアルバイトを受けた。だが、そのお見合い相手、矢野湊に借金の事を見破られ3ヶ月間恋人役を務めるアルバイトを提案された。瑠奈はその報酬に飛びついたが……
俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜
ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。
そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、
理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。
しかも理樹には婚約者がいたのである。
全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。
二人は結婚出来るのであろうか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる