何が何でも爆乳ハーレムを作りたい!

山溶水

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第一章 学園編

1話 愛しの乳森学園

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 吸血鬼が血でしか喉を潤せないように、爆乳を揉むことでしか心の渇きを癒せない。
 なのに、私の周りに爆乳はいない。
 それどころか巨乳もいない。

「返せ……!」

 怒りを拳にこめる。怒りに呼応するように、胸の膨らみから溢れた乳白色のエネルギーが拳を覆う。眼前には3体の青い泥。
 やつらが全ての元凶で、私の夢の障害だ。

「おっぱいを……返せ!!!」

 青い泥の腹部を殴る。
 そして、注射をするイメージで乳白色のエネルギー「乳力にゅうりょく」を泥の中に流し込む。

「オ゛オ゛オ゛……」

 乳力が泥の核に届き、泥は固体から液体となる。ばしゃり、とペンキのような濃い青が地面に飛び散った。
 周囲の泥が体を引きずるように移動する。その動きは百足に近い。
 そして青い泥は不定形の腕を振り下ろす。しかし腕は空を切り、カウンターの拳が腹部に叩き込まれる。
 もう一体の泥には肘を打ち込み、打撃と共に打ち込まれた乳力は泥の核に届いた。泥は固体を保てなくなり、地面を濡らした。

「伊月ちゃんおつかれさん! いやー、やっぱ乳森の子は強いねぇ! 最初にGカップの子が送られてきた時は騙されたかと思ったよ!」

「伊達にこの乳で合格してませんよ! それにまだまだ成長中です!」

 握り拳で胸を優しく叩くと、おっぱいがぽよん、と揺れる。この「ぽよん」こそおっぱいの醍醐味だ。

「あっはっは、それは将来が楽しみだね!」

 伊月と明るい女性は笑い合う。

「それはともかく、ほんとに助かってるよ。ただでさえ人手不足なのに、最近パイリアンがほんと多くてね。私がここに来た頃はこんなに多くなかったんだけど……」

「実際多くなってるみたいですよ」


 『パイリアン』
 青い泥はそう呼ばれている。
 1997年頃に突然現れた宇宙人だ。やつらは女を拐い、男を殺す。銃やミサイルなどの通常兵器が効かないやつらの出現に人類は存亡の危機に立たされた。しかし、やつらの出現に合わせるようにして女性は不思議な力に目覚めた。
 それが「乳力」だ。
 女性の胸部、いわゆる「おっぱい」から発生するその乳白色のエネルギーはパイリアンにとっての毒であり、唯一の弱点であった。人類は乳力を研究、解明し戦う手段を得た。そしていつからか、乳力を操りパイリアンと戦う者は「乳人(ニュータント)」と呼ばれるようになった。

「まぁ、なんにせよお疲れ様! 頑張ってくれたし、今日はお寿司おごっちゃうよ!」

「やったーー! ありがとうございます!」

 実戦研修最終日、乙葉伊月(おとはいづき)は初めて回らない寿司を食べた。










「帰ってきたーー! 愛しの乳森学園!!」


 伊月は両手を伸ばし、校舎に向かって喜びを表現する。
 ニュータントを育成する学校は全国に存在する。その最高峰、数々の英雄を輩出してきた学校が「千智ノ森ちちのもり学園」だ。おっぱいが実る場所として「乳森ちちもり学園」などとも呼ばれている。
 乳力の総量はおっぱいの大きさで決まる。つまり、おっぱいが大きければ大きいほど強い、ということだ。
 ニュータントを育成する学校の中で日本一とされる場所が「千智ノちちのもり学園」だ。

 それはつまり──

 右を見ると、爆乳!
 左を見ても、爆乳!
 前も後ろも爆乳!爆乳!
 そして、稀に見かける超乳!!

 ──そう、ここはおっぱい星人にとってのユートピアなのだ。


「あぁ……生きてて良かった……」

 伊月は爆乳のいる空間で呼吸ができる幸せを全身で味わう。爆乳のいる空間の空気は他の場所と比べて4割増しでおいしい。

「邪魔ですわ!」

 校門の前で腕を伸ばしていた伊月は何者かにぶつかってよろめく。そこにいた人物は制服を着た学園の有名人だった。

「あ、ごめんなさい!……って、サオリちゃん! 久しぶりだね!」

「貧乳は気安く話しかけないでくれます? それに、名前で呼んでいいと許可を出した覚えはありませんことよ?」

「相変わらず手厳しい! でも、いつか名前で呼び合えるくらい仲良くなりたいな!」

「あなたと私が仲良く……?」

 一瞬にして空気が変わる。
 体を押し潰すような重力が2人の周囲に降り注ぐ。

「不愉快ですわ。やはりゴキブリ女はここで駆除するべきかしら」

 重力の正体はサオリから漏れ出た乳力だった。その場にいる者を屈服させんと溢れ出たエネルギーが伊月を襲ったのだ。

「これが推定Nカップの重みか……! ぜひとも両手で支えたい……!」

 伊月は屈服することなく、その重みを全身で受け止めていた。その様子と軽口がサオリの神経をさらに逆撫でする。

「お前……っ!」

 降り注ぐ重力が一段階重みを増した瞬間、校舎で鐘の音が鳴った。

「サオリ様、予鈴です。お戯れはその辺に」

 物々しい雰囲気に割って入ったのは伊月、サオリと同様に制服を着た女性だ。
 サオリほどではないが、制服の上からでもわかる胸の大きさで学園の生徒だということが瞬時に理解できる。

「……そうね、マユ。巌流家の次期当主たる私が遅刻などしたら、お母様に笑われてしまいますわね」

 サオリが冷静さを取り戻すと同時に周囲に降り注いでいた重力が止んだ。

「命拾いしたわね、ゴキブリ女。次に会った時は覚悟しておくことね」

 そう言ってサオリとマユは校舎に向かって歩き出す。その後を追うように、伊月も校舎に向かって歩き出した。

「……あなた、なぜ今の流れの後に私の隣を歩いていらっしゃるの?」

「いや、気まずいのはわかるけど同じクラスだからね! 当然こうなるよ!」

「だったら私が行ってから来ればいいでしょう! わざわざ隣を歩かないでくださいまし!」

「えー! それじゃ私が遅刻しちゃうじゃん! それはご勘弁!」
「それよりさ、ゴキブリ女ってあだ名はさすがにやめてくれない?しぶとさとか素早さを褒めてくれるのは嬉しいんだけどさ、見た目が気持ち悪いんだよね。というかお嬢様、ゴキブリ見たことあるの?」

 私がGカップだから頭文字が同じゴキブリというあだ名をつけたと以前直接聞いたことがある。
 それを踏まえたうえでサオリちゃんをからかってみる。

「な! 馬鹿にしないでくださいまし!ゴキブリくらい知っていますわ!古代から姿を変えていない不快な生物のことでしょう!」

「おー、お嬢様もゴキブリは知ってるんですね。……あ!」

 伊月が話と足を止める。それに釣られてサオリもその場に立ち止まった。

「……ちょっと、なぜ話をやめましたの? 気になるから話してくださいまし」

「いや、もしかしてサオリちゃんの家にゴキブリ出たことあるのかな~って。いや、汚いとかそういうことじゃなくてね、お家広いとお掃除も大変だろうな~って……」

「なっ……!」

「ふ、ふざけないでくださいまし!私の家にゴキブリなどいませんわ!ピカピカに掃除してますのよ!」

「いや、恥ずかしがらなくても大丈夫だよ!家にゴキブリがいるからって嫌いになったりしないからさ!」

「な……! あなたって人は……!」

 わなわなと怒りに震えるサオリ。
 再び乳力が溢れ出しそうになった瞬間、マユが口を挟んだ。

「お嬢様、あと5分でホームルーム開始です。急いだ方がよろしいかと」

「やば! もうそんな時間!? それじゃ、お先に~!」

「こ、こらーー!待ちなさい!廊下を走るのはいけませんことよ!」

「あはは、サオリちゃんも走ってるじゃ~ん!」

「な……!」

 伊月を追いかけて自らも校則を破っていることに気付いたサオリは足が止まる。
 階段を駆け上がる伊月の背中に向けて、サオリは声を張り上げた。


「お、覚えてなさい! 乙葉伊月~~!!!」


 こうして──
 愛と希望とおっぱいに満ち溢れた私の学園生活が、再び始まった。


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