何が何でも爆乳ハーレムを作りたい!

山溶水

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第一章 学園編

4話 爆ぜる乳力

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「行くよ! サオリちゃんは乳力弾で道を作って!」

「め、命令しないでくださいまし!」

 戸惑いつつも、サオリは伊月に言われた通りに乳力弾を放ち、道を作った。
 その道を伊月は走り、耐性種の前に躍り出る。

「これでも……くらえ!」

 伊月の乳力を込めた全力パンチが耐性種の顔面に決まった。
 しかし耐性種は少しのけぞっただけだった。そして、口らしき部分を歪ませ、液状筋肉の腕を振り下ろした。

「効かないか……!」

 伊月は大きく後ろに跳んで耐性種の攻撃をかわした。すると複数のパイリアンが耐性種を守るようにして道を塞いだ。

「ごめん、サオリちゃん! 3分間私を守って!」

「さっき一緒に戦うって言ってましたわよね!?」

 サオリの慣れていないツッコミに伊月は笑った。そして伊月は中腰で拳に乳力を集中させる。

「仕方ありませんわね!」

 サオリは伊月の前に立ち、迫り来るパイリアンと戦う。通常のパイリアンであれば一撃で倒せるサオリだが、これほど大量のパイリアンを相手にしたのは初めてだった。しかも耐性種は今も新たなパイリアンを生み出しているため、倒す端からあらたな敵が補充されていく。数の暴力の前に、サオリは徐々に追い込まれていく。

「ぐっ……!」

 不意を突かれ、サオリはパイリアンに頭を殴られる。額から血を流すサオリを見て、伊月はたまらず声をかける。

「サオリちゃん!」

「来ないでくださいまし!」

 右手に乳力とエネルギーを集中させたまま駆け寄ろうとする伊月をサオリは止めた。
 そして群がるパイリアンを捌きながら声を荒げた。

「何か策があるのでしょう!? あなたはそれに集中なさい!」

「サオリちゃん……!」

 その言葉に、伊月はサオリからの信頼を感じた。
 伊月は信頼に信頼で応える。

「わかった! もう少しだけ耐えて!」

 再び拳にエネルギーを集中させる伊月。
 ……厳密には、今にも爆発しそうなエネルギーを抑え込んでるというのが正しいのだが。

(なんだあれは……乳力が、爆ぜている……?)

 マユは痛みに耐えながらも戦いの中にいる2人を見ていた。伊月を見たマユは、その全てを理解できないながらも何かとんでもないことをしようとしている、ということを理解していた。
 伊月は拳に乳力を纏っている。その上から拳を包むように乳力を展開している。それはさながら宇宙飛行士のヘルメットのようだった。
 そして、拳と拳を包む乳力の間で無数の小さい爆発が起こっていることがわかった。なぜ爆発が起きているのか、どういう理屈で爆発のエネルギーを抑え込んでいるのかはわからなかったが、圧縮されたエネルギーが解放された時に、凄まじい破壊をもたらすことは容易に想像できた。

(あのエネルギーだったら、耐性種も倒せるかもしれない……!)

 痛みと不安しかなかったマユの胸に、希望の火が灯る。その希望に呼応するように、伊月の拳に集められたエネルギーが脈動する。

「まだだ……! あいつを倒すにはこれだけじゃ足りない……!」

 苦痛に耐え、歯を食いしばる伊月。乳力で拳を守り、治癒も同時に行いつつも爆発による痛みはあった。時間が経過するごとにエネルギーは増大し、そのコントロールは難しくなっていく。痛みに耐えながらも必死でエネルギーを抑えつける。

「もう少し……もう少し……!」

 目の前ではサオリちゃんが戦っている。
 私を守るために、大きなおっぱいを揺らしながら戦っている。
 正直、嬉しい。めちゃくちゃ嬉しい。
 
 その事実だけで、私はいつまでもこの痛みに耐えられる!

「サオリちゃんありがとう! 準備完了したから下がってて!」

「私を働かせたんですわ! あいつをどうにかしないと許しませんわよ!」

 そう言ってサオリは乳力弾を放った。パイリアンは吹き飛び、伊月の前に耐性種への道ができた。

「~~~~ッ! サオリちゃん大好き!!!」

 喜びを胸に伊月は走り出す。
 この瞬間、伊月の中でサオリのハーレム入りが決定した。


「爆ぜろぉぉぉぉぉーーーー!!!」


 閃光、そして爆発。
 伊月の拳が耐性種に触れた瞬間、巨大な爆発が起こった。
 耐性種は細胞一つ残らないほど消し飛び、爆発の後には抉れた地面だけが残った。それはさながら隕石のクレーターだった。

「大丈夫!? サオリちゃん! マユちゃん!」

 伊月が後ろを振り返ると、2人はぽかんと口を開けて驚いていた。

「い、今のは何ですの……? それにその腕は大丈夫ですの……?」

 伊月の腕は攻撃の反動でボロボロだった。
 肉が裂け、あらゆる箇所から血を流している。拳は特に酷く、指の骨が折れて握ることも出来ない状態だった。

「まぁこの程度なら大丈夫。骨は出てないし」

 伊月は乳力で傷を治しつつ、少し悩んだ後に口を開いた。

「うーん……まぁ、サオリちゃんになら言っていいかな。あれ、固有乳力を使ったんだ」

「固有乳力、ですって……!?」

 サオリに驚きが重なる。
 しかしそれも無理はない。正式な乳人になる前、それも1年生が固有乳力に目覚めているなどあり得ないからだ。

固有乳力こゆうにゅうりょく

 それは自らの乳力と向き合い、乳力を極めた者のみに発現する特別な力。
 炎や雷を操るといった魔法のような力、サイコキネシスや透視といった超能力、剣や銃を作り出すといったものなど、その能力は多岐にわたる。
 その力の獲得条件は明らかではない。
 なぜなら固有乳力の発現者は全乳人の10%にも満たないからだ。才能や努力はもちろん、乳人への意識、意志の力など発現のためにはあらゆる要素が関わってくるとされている。正式に認められた乳人でさえ発現する者は少ない。
 まして学生が固有乳力を発現するなど一般的に「あり得ない」ことだった。

「なぜ……あなたは固有乳力に目覚めたんですの?」

「おっぱいのために生きてきたからかな」



 伊月は爆乳ハーレムを作ると決めた日以来、ひたすら自らの胸と向き合ってきた。
 胸の大きさは遺伝によるものが大きいとされている。
 しかし、伊月の血族には爆乳や巨乳と呼べる女性はいなかった。
 もちろん遺伝が全てが決まる訳ではない。
 乳人が重宝される世界になって研究は進んでいるものの、その全てが解明されている訳ではない。おっぱいには神秘が詰まっているのだ。故に、血に縛られない一代限りの爆乳も多く存在する。
 第一線で乳人として活躍する多くの爆乳は学生時代からその頭角を現していた。小学校の高学年や中学生の頃には爆乳の片鱗が見えていた者が多数だ。残念なことに、伊月はこれまでの人生で爆乳の片鱗は見えなかった。

 だからひたすらに努力した。

 育乳に良いとされる食べ物ばかりを食べた。
 毎日充分な睡眠を取った。
 胸を大きくするサプリメントに使えるお金の全てを使った。
 乳力がこの世に生まれてから「胸を大きくする」という謳い文句の商品が多数販売された。伊月が購入しているのはその中で唯一国が販売に関与し、ある程度の科学的根拠が認められている一粒500円を超えるサプリメントだった。遊びたい盛りの小学校、中学校時代にあらゆる娯楽を我慢して伊月はサプリメントを買った。

 そして伊月は乳力操作の訓練を行った。
 毎日毎日、乳力が尽きるまで自主練を行い、自らの乳力と向き合ってきた。

 全ては爆乳ハーレムを作るために。

 人類はパイリアンとの戦争状態にある。軍事、科学などあらゆる面で大きな乳力を持つ爆乳は重宝される。つまり、一般社会を生きているだけじゃ爆乳とは出会えないのだ。
 だから伊月は努力した。
 今やっていることが爆乳に近付く最短距離だと信じて、血反吐を吐きながら努力を続けた。弱音を叩き潰して自らを鍛えた。
 その結果、15歳という若さで「固有乳力」が発現した。
 その力が認められ、伊月はIカップ以上の女子しか存在しないと言われる国内最高峰の乳人育成機関「千智ノ森学園」に入学を果たしたのだ。


「い、意味がわかりませんわ……」

 そんな伊月の過去を知らないサオリは伊月の返答にぽかんとしている。
 そんなことはお構いなしに、伊月はサオリの手を握った。

「そんなことよりさ、大事な話があるんだ!」

 手を両手で握り、伊月は顔をサオリに近づけて瞳を真っ直ぐに見つめる。
 サオリは顔が紅潮し、伊月から目を背けた。
 そんなサオリをたまらなく愛おしいと思った伊月は胸の奥から言葉が溢れ出てきて、それを口に出さずにはいられなかった。

「サオリちゃん! 私の爆乳ハーレムに入ってよ!!」

 満面の笑みで、ありったけの思いを伝えた伊月。
 その思いを正面から至近距離で浴びたサオリはドキリと心臓が大きく跳び跳ねたのを感じた。そしてその脳内には裸で抱き合いながら伊月に頭を撫でられている自らの姿が浮かんだ。


「ふ、ふ……!」


「ふ?」



「ふしだらですわーーー!!!」



 サオリは伊月の顔を思いっきりビンタして、逃げるように走り去っていった。

「どこに行くのですか! サオリ様ーー!!」

 サオリの後を追ってマユも走り去って行った。
 その場に残された伊月はじんじんと痛む頬に触れて回復を行いつつ、ご機嫌に呟いた。



「これは……脈ありだね!」



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