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第一章 学園編
6話 緑の光と紫の触手
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「あの穴から出てきたってことだよね」
ショッピングモール内のパイリアンを駆除した3人は地下駐車場の地面に穴を発見した。
穴は人3人は通れそうな大きさだ。
「やつらは地下から現れるという話は聞いていましたが、こんなあからさまな穴を見たのは初めてですぞ」
「どうする伊月っち?」
2人が伊月の顔を見る。伊月は頷いて答えた。
「……やつらに拐われた人がいるかもしれない。行こう!」
「了解!」
「了解ですぞ!」
「私は一回事務所に連絡してくる! 2人は穴の深さを調べて!」
地下駐車場は電波が弱かったため、伊月は一旦外に出る。残された2人は穴の近くの地面に手を触れ、乳力を地面に流す。
乳力を水のように地面の下に伝播させることで穴の深さや構造を調べることが可能になるのだ。
「伊月です。パイリアンの発生源と思われる穴をモールの地下駐車場で発見しました。人が入れる大きさなので、3人で調査に向かいます。30分経ってもこちらから連絡がなければアキさんへの連絡をお願いします」
「了解しました。お気をつけて」
連絡を終え、伊月は駐車場に戻る。
「中、どんな感じ?」
「穴の深さはだいたい5メートルほど。底には横穴があるようで、その先には整備された道がありますな。下水道か何かだと思われますぞ」
「ありがとうねるちゃん。私たちなら行けるね」
伊月は足に乳力を集中させる。
「私が先行する! 付いてきて!」
伊月たちは穴を降り、横穴を進んだ。ねるの言う通り、横穴の先には人の手が入ったと思われる地下通路が広がっていた。
3人はライフルの先に付けたライトで道を照らしつつ、地下通路を進んでいく。
「この道、どこに繋がってるんだろう」
伊月の問いにねるが答える。
「建設中止となったダムに繋がっているのではないのかと。この道はダム工事の際に使われたと推測できますな」
「あー、そういえば昔山のほうにできるみたいな話あったね。いつのまにか中止になってたけど。なんでだろ?」
「そこまではわかりませぬが……おっと」
伊月は2人を手で制する。
「いるよ」
3人の視線の先には1体のパイリアンがいた。
「私がやる。2人は周囲の警戒をお願い」
2人は頷き、伊月は刀を抜いた。敵がどれだけいるかわからない以上、音が出る銃は極力控えるべきだという判断だ。
ライトを消した暗闇の中でも乳力で強化した視力は敵を見失うことはない。伊月は抜き足差し足で忍び寄り、刀の一振りでパイリアンの頭を落とした。
伊月は近くに敵がいないかを確認する。そして刀を収めて2人に指でOKサインを出した。
3人はライトを付けて再び歩き出す。人気のない地下通路でのパイリアンとの遭遇は3人に緊張感を思い出させた。
「慎重に行こう。この先にはきっと何かある」
15分ほど歩いたところで3人は開けた場所に出た。
「ここは……トンネル?」
伊月の言った通り、そこは大きなトンネルだった。風が吹いていることから外に通じていることがわかる。右の通路からは薄い光が差していることから出口に通じていることがわかった。
「あの光、怪し過ぎでしょ……」
問題は左の通路だ。トンネルはカーブしているため奥に何があるのかは目視できない。
しかし通路の奥では緑色の光が一定のリズムで点滅していた。それはまるで心臓の鼓動のようだった。
3人は顔を合わせて頷いた。
あの光の正体を突き止めなければならない。
「行こう」
周囲を警戒しつつ、トンネルを進む3人。
その途中、姫花の頬に液体が付着した。
(なにこれ……水……?)
姫花はライトを上に向ける。
そこには……
「きゃ──むぐっ!?」
トンネル内に響き渡るはずだった悲鳴はすんでのところでねるによって遮られる。
「姫花氏、大声は、大声はいけませんぞ」
小声でそう言いつつ、姫花の口をおさえるねる。
落ち着きを取り戻した姫花はねるの腕を優しく叩いた。
「もう大丈夫。ありがとうねるっち」
「一体どうしたのですか、姫花氏」
「二人とも、驚いて声出さないようにね。上、上を見て」
姫花に合わせて3人はライトを天井に向ける。
そこには──
「なっ……!?」
大量のパイリアンがいた。
海岸の岩に張り付いている貝のように、パイリアンが隙間なく天井を埋め尽くしていた。
「──っ」
ねるはその光景に言葉を失っていた。
姫花は大量のパイリアンを見て嫌悪感が表情から滲み出ていた。
「寝ている、のか……?」
パイリアンの目は赤一色で、人間のように白目と黒目に分かれていない。天井にいるパイリアンに赤色は見えず、船を漕ぐように体を揺らしていた。
伊月の頭には撤退の2文字が浮かんだが、トンネルの奥で脈動する緑の光がそれをかき消した。
「刺激しなければ起きないはず。静かに行こう」
天井のパイリアンにより、3人の緊張は一気に高まった。綱渡りの緊張感の中、3人はトンネルの奥を目指す。
いよいよ光の正体がわかる。
一番最初にトンネルのカーブから奥を覗き込んだのはねるだった。
ねるが光の正体を掴むその瞬間──
左腕が弾け飛んだ。
ねるの左腕の肩口が紫の触手のようなものに貫かれ、吹き飛んだ腕は壁に当たって地面に落ちた。
「あ──」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっ!!!!」
ねるの悲鳴がトンネル内に響き、突き刺さる。
天井のパイリアンが目覚め、豪雨のようにトンネル内に降り注ぐ。
「逃げるよ! 姫花ちゃんはねるちゃんをお願い! 私は腕を拾ってから行く!」
何が起こったのか、その全容は理解できていない。
ただこのままこの場所にいるともっとひどいことが起こるという予感が伊月の体を動かしていた。
「痛いぃぃぃぃぃぃ!!!! 腕っ!! 腕がっっっっ!! 私の!! 腕ぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
ねるは痛みで周りが見えていない。そんなねるに降り注ぐパイリアンをかわしながら姫花は近付く。
「ねるっち!! しっかりして!! 今はとにかく逃げるよ!!!!」
ねるの傷口に全力で乳力を流し込む姫花。
ねるは痛みと衝撃で泣き喚き、辺りをきょろきょろと見回していた。
「二池ねる!! しっかりしろ!! 痛いならあんたも自分で回復させるんだよ!!!」
姫花はねるをビンタし、すぐに乳力で回復を行った。
「わ、わかりました!!」
姫花の気迫で正気に戻ったねるは自らの肩口に手を当てて乳力による痛みの緩和を試みる。
一方伊月は銃を乱射しながら落ちたねるの腕を拾いに走った。
「邪魔を、するなぁぁぁぁ!!!」
右手で銃を撃ち、左手で刀を振るう。
焦燥と不安で泣きたい気持ちを抑えてがむしゃらに走る伊月に「紫の触手」が直撃した。
目にも止まらぬ速度で人間の腕を吹き飛ばす程の威力の触手。
その触手は伊月の脇腹を確かに捉えていた。
しかし、伊月の体に触れた瞬間に触手は「く」の字に折れ曲がり、伊月の体を貫くことなく弾かれる。
意思があるのか、触手は驚いたようなリアクションを見せた後、掃除機のケーブルが巻き取られるようにトンネルの奥に戻っていった。
「お前、後で絶対切り刻むからな……っ!」
トンネルの奥に消えた触手を睨みつけた後、落ちていたねるの腕を拾った伊月。
襲いくる無数のパイリアンを捌きつつ、周囲の状況を確認する。
ねると姫花は通路の入り口付近でパイリアンに囲まれていた。
乳力を込めた手榴弾と銃弾で道を切り開き、パイリアンの包囲網に穴を開ける。
「私がしんがりをやる! 姫花ちゃんはねるちゃんを運んで逃げて!」
「うけたまわり!」
姫花は手榴弾で逃げ道を塞いでいたパイリアンを吹き飛ばすとねるを持ち上げた。お姫様だっこだ。
「飛ばすよ! 掴まってて!」
ねるは姫花の胸に顔を寄せ、右腕を首に回して体をぴったりとくっ付けた。
「お願いします!!」
姫花は強化した脚力で全力で走り出す。
伊月も銃や爆弾でパイリアンの足止めをしながら姫花を追った。
必死に走り続けた結果、3人は元いた地下駐車場の穴にまで戻ってこれた。
「跳ぶよ! 掴まって!」
姫花が穴から脱出し、それに続くように伊月もジャンプした。しかしまだ逃げ切れたわけではない。
「姫花ちゃん! この穴にありったけのミルクパイナップルを!」
「了解! いったんおろすよ!」
姫花はねるを優しく地面におろし、残っていた手榴弾3つに乳力を込めて穴に投げ入れた。
爆発で横穴が埋まったことを確認した伊月は穴の上にあった天井を撃ち、最後のマガジンを空にした。
穴は天井の破片で埋まったが、さらに伊月は強化した肉体で自動車を押して穴の上に乗せた。
「これだけやれば……!」
埋めた穴を見つめる3人。
穴からパイリアンが追ってくる気配は無い。
「姫花ちゃんはねるちゃんを病院に連れてって。私はアキさんたちに連絡して、ここを見張ってるから」
「それはダメっしょ。ウチが残るから二人で病院行って。伊月っち、もう乳力からからでしょ」
姫花の言う通り、伊月の乳力は残り少なかった。ミルクパイナップルと銃弾を使い果たし、固有乳力の使用で消耗した伊月の乳力は雀の涙ほどしか残っていなかった。
「……そういうことならお言葉に甘えて」
そう言って二人は笑った。戦いがひと段落して気が抜けたのだ。
「はい、ねるちゃん。落ちてた腕」
「まさか自分の腕を缶ジュースみたいなノリで渡される日が来るとは思ってもいませんでしたな……」
痛みが落ち着いたのか、そう言ってねるも笑った。
こうして激動の1日を3人は乗り切った。
結局パイリアンの追撃はなく、伊月は回復してねるの腕もなんとか繋がった。
そしてこの1週間後、大量のパイリアンと紫の触手の排除、緑の光の正体を解明することを目的としたニュータントによる大規模な作戦が決行されることになる。
ショッピングモール内のパイリアンを駆除した3人は地下駐車場の地面に穴を発見した。
穴は人3人は通れそうな大きさだ。
「やつらは地下から現れるという話は聞いていましたが、こんなあからさまな穴を見たのは初めてですぞ」
「どうする伊月っち?」
2人が伊月の顔を見る。伊月は頷いて答えた。
「……やつらに拐われた人がいるかもしれない。行こう!」
「了解!」
「了解ですぞ!」
「私は一回事務所に連絡してくる! 2人は穴の深さを調べて!」
地下駐車場は電波が弱かったため、伊月は一旦外に出る。残された2人は穴の近くの地面に手を触れ、乳力を地面に流す。
乳力を水のように地面の下に伝播させることで穴の深さや構造を調べることが可能になるのだ。
「伊月です。パイリアンの発生源と思われる穴をモールの地下駐車場で発見しました。人が入れる大きさなので、3人で調査に向かいます。30分経ってもこちらから連絡がなければアキさんへの連絡をお願いします」
「了解しました。お気をつけて」
連絡を終え、伊月は駐車場に戻る。
「中、どんな感じ?」
「穴の深さはだいたい5メートルほど。底には横穴があるようで、その先には整備された道がありますな。下水道か何かだと思われますぞ」
「ありがとうねるちゃん。私たちなら行けるね」
伊月は足に乳力を集中させる。
「私が先行する! 付いてきて!」
伊月たちは穴を降り、横穴を進んだ。ねるの言う通り、横穴の先には人の手が入ったと思われる地下通路が広がっていた。
3人はライフルの先に付けたライトで道を照らしつつ、地下通路を進んでいく。
「この道、どこに繋がってるんだろう」
伊月の問いにねるが答える。
「建設中止となったダムに繋がっているのではないのかと。この道はダム工事の際に使われたと推測できますな」
「あー、そういえば昔山のほうにできるみたいな話あったね。いつのまにか中止になってたけど。なんでだろ?」
「そこまではわかりませぬが……おっと」
伊月は2人を手で制する。
「いるよ」
3人の視線の先には1体のパイリアンがいた。
「私がやる。2人は周囲の警戒をお願い」
2人は頷き、伊月は刀を抜いた。敵がどれだけいるかわからない以上、音が出る銃は極力控えるべきだという判断だ。
ライトを消した暗闇の中でも乳力で強化した視力は敵を見失うことはない。伊月は抜き足差し足で忍び寄り、刀の一振りでパイリアンの頭を落とした。
伊月は近くに敵がいないかを確認する。そして刀を収めて2人に指でOKサインを出した。
3人はライトを付けて再び歩き出す。人気のない地下通路でのパイリアンとの遭遇は3人に緊張感を思い出させた。
「慎重に行こう。この先にはきっと何かある」
15分ほど歩いたところで3人は開けた場所に出た。
「ここは……トンネル?」
伊月の言った通り、そこは大きなトンネルだった。風が吹いていることから外に通じていることがわかる。右の通路からは薄い光が差していることから出口に通じていることがわかった。
「あの光、怪し過ぎでしょ……」
問題は左の通路だ。トンネルはカーブしているため奥に何があるのかは目視できない。
しかし通路の奥では緑色の光が一定のリズムで点滅していた。それはまるで心臓の鼓動のようだった。
3人は顔を合わせて頷いた。
あの光の正体を突き止めなければならない。
「行こう」
周囲を警戒しつつ、トンネルを進む3人。
その途中、姫花の頬に液体が付着した。
(なにこれ……水……?)
姫花はライトを上に向ける。
そこには……
「きゃ──むぐっ!?」
トンネル内に響き渡るはずだった悲鳴はすんでのところでねるによって遮られる。
「姫花氏、大声は、大声はいけませんぞ」
小声でそう言いつつ、姫花の口をおさえるねる。
落ち着きを取り戻した姫花はねるの腕を優しく叩いた。
「もう大丈夫。ありがとうねるっち」
「一体どうしたのですか、姫花氏」
「二人とも、驚いて声出さないようにね。上、上を見て」
姫花に合わせて3人はライトを天井に向ける。
そこには──
「なっ……!?」
大量のパイリアンがいた。
海岸の岩に張り付いている貝のように、パイリアンが隙間なく天井を埋め尽くしていた。
「──っ」
ねるはその光景に言葉を失っていた。
姫花は大量のパイリアンを見て嫌悪感が表情から滲み出ていた。
「寝ている、のか……?」
パイリアンの目は赤一色で、人間のように白目と黒目に分かれていない。天井にいるパイリアンに赤色は見えず、船を漕ぐように体を揺らしていた。
伊月の頭には撤退の2文字が浮かんだが、トンネルの奥で脈動する緑の光がそれをかき消した。
「刺激しなければ起きないはず。静かに行こう」
天井のパイリアンにより、3人の緊張は一気に高まった。綱渡りの緊張感の中、3人はトンネルの奥を目指す。
いよいよ光の正体がわかる。
一番最初にトンネルのカーブから奥を覗き込んだのはねるだった。
ねるが光の正体を掴むその瞬間──
左腕が弾け飛んだ。
ねるの左腕の肩口が紫の触手のようなものに貫かれ、吹き飛んだ腕は壁に当たって地面に落ちた。
「あ──」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっ!!!!」
ねるの悲鳴がトンネル内に響き、突き刺さる。
天井のパイリアンが目覚め、豪雨のようにトンネル内に降り注ぐ。
「逃げるよ! 姫花ちゃんはねるちゃんをお願い! 私は腕を拾ってから行く!」
何が起こったのか、その全容は理解できていない。
ただこのままこの場所にいるともっとひどいことが起こるという予感が伊月の体を動かしていた。
「痛いぃぃぃぃぃぃ!!!! 腕っ!! 腕がっっっっ!! 私の!! 腕ぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
ねるは痛みで周りが見えていない。そんなねるに降り注ぐパイリアンをかわしながら姫花は近付く。
「ねるっち!! しっかりして!! 今はとにかく逃げるよ!!!!」
ねるの傷口に全力で乳力を流し込む姫花。
ねるは痛みと衝撃で泣き喚き、辺りをきょろきょろと見回していた。
「二池ねる!! しっかりしろ!! 痛いならあんたも自分で回復させるんだよ!!!」
姫花はねるをビンタし、すぐに乳力で回復を行った。
「わ、わかりました!!」
姫花の気迫で正気に戻ったねるは自らの肩口に手を当てて乳力による痛みの緩和を試みる。
一方伊月は銃を乱射しながら落ちたねるの腕を拾いに走った。
「邪魔を、するなぁぁぁぁ!!!」
右手で銃を撃ち、左手で刀を振るう。
焦燥と不安で泣きたい気持ちを抑えてがむしゃらに走る伊月に「紫の触手」が直撃した。
目にも止まらぬ速度で人間の腕を吹き飛ばす程の威力の触手。
その触手は伊月の脇腹を確かに捉えていた。
しかし、伊月の体に触れた瞬間に触手は「く」の字に折れ曲がり、伊月の体を貫くことなく弾かれる。
意思があるのか、触手は驚いたようなリアクションを見せた後、掃除機のケーブルが巻き取られるようにトンネルの奥に戻っていった。
「お前、後で絶対切り刻むからな……っ!」
トンネルの奥に消えた触手を睨みつけた後、落ちていたねるの腕を拾った伊月。
襲いくる無数のパイリアンを捌きつつ、周囲の状況を確認する。
ねると姫花は通路の入り口付近でパイリアンに囲まれていた。
乳力を込めた手榴弾と銃弾で道を切り開き、パイリアンの包囲網に穴を開ける。
「私がしんがりをやる! 姫花ちゃんはねるちゃんを運んで逃げて!」
「うけたまわり!」
姫花は手榴弾で逃げ道を塞いでいたパイリアンを吹き飛ばすとねるを持ち上げた。お姫様だっこだ。
「飛ばすよ! 掴まってて!」
ねるは姫花の胸に顔を寄せ、右腕を首に回して体をぴったりとくっ付けた。
「お願いします!!」
姫花は強化した脚力で全力で走り出す。
伊月も銃や爆弾でパイリアンの足止めをしながら姫花を追った。
必死に走り続けた結果、3人は元いた地下駐車場の穴にまで戻ってこれた。
「跳ぶよ! 掴まって!」
姫花が穴から脱出し、それに続くように伊月もジャンプした。しかしまだ逃げ切れたわけではない。
「姫花ちゃん! この穴にありったけのミルクパイナップルを!」
「了解! いったんおろすよ!」
姫花はねるを優しく地面におろし、残っていた手榴弾3つに乳力を込めて穴に投げ入れた。
爆発で横穴が埋まったことを確認した伊月は穴の上にあった天井を撃ち、最後のマガジンを空にした。
穴は天井の破片で埋まったが、さらに伊月は強化した肉体で自動車を押して穴の上に乗せた。
「これだけやれば……!」
埋めた穴を見つめる3人。
穴からパイリアンが追ってくる気配は無い。
「姫花ちゃんはねるちゃんを病院に連れてって。私はアキさんたちに連絡して、ここを見張ってるから」
「それはダメっしょ。ウチが残るから二人で病院行って。伊月っち、もう乳力からからでしょ」
姫花の言う通り、伊月の乳力は残り少なかった。ミルクパイナップルと銃弾を使い果たし、固有乳力の使用で消耗した伊月の乳力は雀の涙ほどしか残っていなかった。
「……そういうことならお言葉に甘えて」
そう言って二人は笑った。戦いがひと段落して気が抜けたのだ。
「はい、ねるちゃん。落ちてた腕」
「まさか自分の腕を缶ジュースみたいなノリで渡される日が来るとは思ってもいませんでしたな……」
痛みが落ち着いたのか、そう言ってねるも笑った。
こうして激動の1日を3人は乗り切った。
結局パイリアンの追撃はなく、伊月は回復してねるの腕もなんとか繋がった。
そしてこの1週間後、大量のパイリアンと紫の触手の排除、緑の光の正体を解明することを目的としたニュータントによる大規模な作戦が決行されることになる。
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