その悪役令嬢、問題児につき

ニコ

文字の大きさ
1 / 6

1.悪役令嬢、断罪される

しおりを挟む
「……以上の罪により、公爵令嬢ルリアを身分剥奪及びルドガー大陸追放に処す」

 先程まで楽しそうな雰囲気が漂い、卒業生たちで賑わっていたはずの卒業パーティー。しかし、今はシンッとした重苦しい雰囲気に変わっている。

「な、なぜその女の肩を持つのですか‼︎」

 わなわなと震える肩をそのままにルリアは叫んだ。

「わ、私は私は貴方の役に立とうと必死で……っっ⁉︎」
「うるさい、弁解など必要ない。さっさと牢に入って自分がした事を思い出して反省しろ」
「い、いや! いやよ! 私は貴方のために……」
「2度と私の前に姿を見せるな」

 どれだけ叫んでも冷めた目で見られ、手を伸ばしたくとも騎士に両腕を掴まれているため伸ばすことができない。ルリアは膝をつき、ガックリと項垂れたのだった。

 しかし、俯き隠した顔は悲壮感漂うものではなく、満面の笑みが浮かべられていたーー

「これで私は晴れて自由よ……」

 ポツリとつぶやかれた言葉。今、ここに貴族という名のストッパーが外れた天才悪役令嬢が誕生した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢の真実

三園 七詩
恋愛
悪役令嬢と言われた侯爵令嬢のお話 それは第一王子の婚約者として上手くいっていた人生に訪れた変化だった。 急に学園に編入してきた光の魔法をもつヒカル嬢…彼女の言うことに周りは翻弄されていく?

とある婚約破棄の事情

あかし瑞穂
恋愛
「そんな卑怯な女を王妃にする訳にはいかない。お前との婚約はこの場で破棄する!」 平民の女子生徒に嫌がらせをしたとして、婚約者のディラン王子から婚約破棄されたディーナ=ラインハルト伯爵令嬢。ここまでは、よくある婚約破棄だけど……? 悪役令嬢婚約破棄のちょっとした裏事情。 *小説家になろうでも公開しています。

【完結】悪役令嬢の本命は最初からあなたでした

花草青依
恋愛
舞踏会の夜、王太子レオポルドから一方的に婚約破棄を言い渡されたキャロライン。しかし、それは彼女の予想の範疇だった。"本命の彼"のために、キャロラインはレオポルドの恋人であるレオニーの罠すらも利用する。 ■王道の恋愛物(テンプレの中のテンプレ)です。 ■三人称視点にチャレンジしています。 ■画像は生成AI(ChatGPT)

悪役令嬢に相応しいエンディング

無色
恋愛
 月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。  ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。  さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。  ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。  だが彼らは愚かにも知らなかった。  ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。  そして、待ち受けるエンディングを。

悪役令嬢、追放されたら婚約者も攻略対象も全員ついてきたんですが?

ゆっこ
恋愛
 王城の大広間に、ざわめきが満ちていた。  白いドレスを纏った令嬢が、赤絨毯の上で膝をついている。その顔には涙はない。どこか達観したような――いや、むしろ笑みさえ浮かんでいた。 「レティシア=ヴァルフォード。お前は数々の嫌がらせをフィオナに行い、彼女を何度も危険に晒した。それらの罪により、王国より追放とする!」  王太子、アレクシスが声を張り上げる。隣には、聖女として召喚されたフィオナ=スノウが寄り添っていた。小動物のように震えながら、王太子にしがみつくその姿に、周囲の貴族たちは同情の声を漏らす。  けれど、当のレティシアはうっすらと微笑んだまま、ひとこと。 「……それで、満足かしら?」 「なっ……お前っ!」

【短編】私悪役令嬢。死に戻りしたのに、断罪開始まであと5秒!?

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
「エリーゼ・ファルギエール! 今日限りでお前との婚約を破棄する!」と嫌がらせをした記憶も、実家の公爵家が横領した事実もないのに冤罪で、悪役令嬢のように、婚約破棄、没落、そして殺されてしまうエリーゼ。 気付けば婚約破棄当日、第一王子オーウェンが入場した後に戻っていた。 嬉しさよりもなぜ断罪5秒前!? スキルを駆使して打開策を考えるも、一度目と違って初恋の相手がいることに気付く。  あーーーーーーーーーー、私の馬鹿! 気になってしょうがないから違うことを考えなきゃって、初恋の人を思い出すんじゃなかった! 気もそぞろになりつつも、断罪回避に動く。 途中でエリーゼも知らない、番狂わせが起こって──!?

クラフター公爵家令嬢の婚約破棄騒動

青空鰹
恋愛
クラフター公爵家の長女、 リペア・ワークス・クラフター アバレス王子と婚約していたが、学園で開かれる卒業パーティーの場で婚約破棄を言い渡されてしまう! 彼女の運命は一体どうなってしまうのか? ※深夜のテンションで作った作品なので、多分ところどころおかしいとところがあると思います。

悪役令嬢は断罪されない

竜鳴躍
恋愛
卒業パーティの日。 王太子マクシミリアン=フォン=レッドキングダムは、婚約者である公爵令嬢のミレニア=ブルー=メロディア公爵令嬢の前に立つ。 私は、ミレニア様とお友達の地味で平凡な伯爵令嬢。ミレニアさまが悪役令嬢ですって?ひどいわ、ミレニアさまはそんな方ではないのに!! だが彼は、悪役令嬢を断罪ーーーーーーーーーーしなかった。 おや?王太子と悪役令嬢の様子がおかしいようです。 2021.8.14 順位が上がってきて驚いでいます。うれしいです。ありがとうございます! →続編作りました。ミレニアと騎士団長の娘と王太子とマリーの息子のお話です。 https://www.alphapolis.co.jp/mypage/content/detail/114529751 →王太子とマリーの息子とミレニアと騎士団長の娘の話 https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/449536459

処理中です...