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国
しおりを挟む「で、相談なんだけどさ」
「はい、何でしょうか?」
「『覚醒のモノリス』ってのがあるんだが」
「『覚醒のモノリス』ですか」
「そう、これがまた厄介でさ、それを相談しにきたんだよ」
「どんなものです?」
「それが…『ジョブのない人のジョブを覚醒させる』モノリスなんだ」
“ガタッ”
如月は逃げようとしたが俺に腕を掴まれている。
「か、河地様、それは私には」
「だろ!俺にもどうしていいかわからないんだよ!」
「私は何も聞いてません」
「言った!言ったから!もう聞いてるから!」
如月も観念したようで椅子に座り直す。
「なかったことに」
「できればいいんだが、それはあまりにも」
「ですよね…これが世に出れば」
「だろ?国が買い取るしかないよな?」
「…そうですね。私の方でも知り合いにちょっと聞いてみます」
「いるのか!良かった!」
「ですがあまりいい人ではないんです」
如月がそう言うなら俺はあまり信用できないな。
「『ブルーオーシャン』は?」
「今ダンジョンですね。帰ってきてからにしましょうか?」
「だな!そうしよう!急いでもいいことないからな!」
「ですね!」
とこの話は持ち越しになった。
「はぁぁぁ…爆弾ですね」
「そうなんだよな。これ一つで戦争起こるぞ?」
「生産は?」
「素材が集まらねぇ」
「ですか…なら手の施しようがないですね」
よし、一旦このことは忘れよう!!
「よし!で、ポーションはあるのか?」
「欠品してますので卸してくれると助かります」
「んじゃ低級ポーション1000本に…」
「そんなにですか?!」
「おぉ、無理か?」
「いえ!初めてこんなに多いのでどうしたんですか?」
「あぁ、カレン達に誘われてダンジョンに素材集めに行ってきたばっかりだからな」
それを練金したらこんだけできたんだが。
「海外からも注文が来てて断ってたんですよ!良かった!」
「中級が30本に上級は100本な!」
「す、凄いですね!ありがとうございます!」
「おう!他は何かあるか?」
と言ってもそこまで作ってないからなぁ。
「TSポーションが50、石化解除薬が50、魔力ポーションが100、解毒薬が500、あと呪い解呪薬が50欲しいです!」
何だって?そこまで用意してないぞ?
「次でいいか?TSポーションと石化解除薬はあるな。魔力ポーションは50、解毒薬もあるか、…呪い解呪は作ってないな」
「分かりました!それでは今度でお願いします!」
如月に大量にポーションを渡す。
俺はもう使いきれないくらいの金があると思うから錬金辞めたいなぁ。
「河地様がいるから『プライド』があります!そこから海外にまで品物が行き渡るんです!その、悟ったような顔はしないでください!」
「いや、俺って結構めんどくさがりだからさぁ」
「ダメですから!今更ですよ?」
「ですよねぇー?」
「はい!」
如月の笑顔が怖いなぁ。
「私に出来ることはありますか?」
「んじゃ、魔石を集めてくれる?買うからさ」
「わかりました!では在庫を確認してきますね!」
はぁ、魔石を買うのもガチャや錬金の為か…何かいい方法はないものか?
「河地様、魔石の方1000はありますがどうしますか?」
「んじゃ全部買うわ」
「はい!」
そういえばここで魔石を売るのか?
「如月、何でここに魔石があるんだ?」
「ギルドでは手数料が取られますからね、私達は取ってませんし売りにくるお客様がいるのですよ」
「へぇ、それで成り立つのか?」
「はい、他のものを買ってもらえれば問題ありません」
「そうか、魔石はどうしてたんだ?」
「貯まったら、その都度、国に売りに行ってました」
「そっか、今度から俺が買うからさ」
「分かりました!」
これで魔石は手に入るしネット通販で欲しいものに変えればいいか。
「低級ポーションはどれくらい必要なんだ?」
「いまきてるので…2万個ほど」
「はん?…に、2万?そりゃ、材料があればな」
「ですよね、だから待ってもらってるんです」
「分かった。早急になんとかしようか」
「ありがとうございます」
2万個かぁ、薬草買わないとな。
「あと上級も」
「は?そんなにか?」
「はい」
「アメリカの錬金術師は?エマは?」
「まだ彼方の方で頑張っているのじゃないですかね?」
エマはなんとかやっていればいいが。
それにしても多いな、ネット通販で薬草を大量に買うか。
と考えていると、
「こちらに河地夜人と言う人物がいると思いますが」
この暑いのにスーツの男が入ってくる。
『だれ?』
『さぁ?聞いてきますね』
席を立ってその男の前にいくと、
「お客様、ここは冒険者専用の店でございます。何かお探しでしょうか?」
「はぁ、河地夜人さん、そこにいるのでしょ?私は国家安全保障局から来た菅田未来と言います」
と俺に向かって頭を下げる。
「はぁ、バレてるならしょうがないですけど、何でしょうか?」
「遅くなりましたが、世界で1人目の錬金術師である河地夜人を国で保護することが決まりましたので、そのご報告とついてきていただきたいところがございます」
スダはピシッと直立で俺の方に向いている。
スーツを着こなしているやり手の女性秘書のようだな。
「はぁ、今更ですが俺は気楽にやってますから国の保護はいいですよ?」
「いえ、これは国の存続にも関わることですのでとりあえず一緒に来てもらえませんか?」
うんと言うまで多分動かないだろうな。
「ふぅ、じゃあちょっとだけ話は聞きますけど拒否する権利はありますよね?」
「はい!もちろんです」
「では行きます」
しょうがないなぁ。
まぁ無理なら自分で逃げればいいか。
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