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藤森
しおりを挟む「と言うわけで今後ポーションは元に戻ります」
如月が言うと、
「な!国のトップがなにやってんだ!」
青蘭が怒鳴る。
「うるさいわね!でも面白いわね。藤森を引き摺り下ろすわよ!」
と黒木が笑う。
「でもどうやって?」
白鳥が不思議そうな顔をしているが、目が笑っている。
如月が連絡を取ったのは『ブルーオーシャン』『黒い宝石』『バード』の3チームだ。
国がヤトの邪魔をするならそれは冒険者の敵だからだ。
「ミライって言ったな?国家安全保障局はどうなってる?」
「いま9大臣会合に提案していますが時間がかかります」
と提案という形しか取れなかった。
「ならとりあえずトップと話ができないとな?」
「はい!S級冒険者との会合を今日の午後に予定してます!」
「よし!やるな、ミライにメグミ!」
と青蘭がいうと顔を赤くする。
「んじゃ、全員で行ってやろうか!!」
「「「「おう!」」」」
♦︎♢♦︎
「なぜワシが冒険者如きと会わなければならんのだ!」
「それはご自分がよく分かってらっしゃると思いますが?」
「は?お前まで何を言ってるんだ?」
と秘書に向かっていうと。
「S級冒険者様は国と繋がっております。災害時などの時にいち早く動いてもらえるように役職をつけたことをお忘れですか?」
S級ともなれば国の根幹に関わる大事な人材だ。それを動かすために各国で名誉職に就かせるのは普通のことだった。
日本も遅れながらにそう言う仕組みになっていた。
「くそ!で?今回の話の内容はどうなんだ?」
「さぁ?もうすぐ来られますので自分でお聞きになればよろしいかと?」
「もういい!」
藤森は焦っていた。
勝手に国のものとした『覚醒屋』がうまく回っていない。
あの川地という人間がやったのは分かっている。だが、よその国にいかれるのは困るので逮捕状を作らせ、独房に入れている。
それを奴らが言ってくるのは明白だ。
だが、こんな金のなる木をほっとく手はない。
国が管理して冒険者を増やせば自分の株も上がる。
クソッ!どうすれば…
「じゃまするぜ!!」
とドアを開けて入ってきた青蘭達を見て驚く藤森はその巨体と人数に圧倒され言葉が出てこなかった。
「なんだ?こいつがトップか?」
「そうです。藤森清一郎と言います。内閣総理大臣ですね」
とわざわざ言う秘書はあとで変えてしまおう!
「うちのポーションが無い!これはどうするんだ?」
と如月と怒っている。
「そ、それは店に売っているだろう?」
「それを作ってる奴を捕まえておいてよく言えるな!!」
「ひ、ひぃ!」
青蘭は怒りで顔を赤くしている。
「まぁまぁ、で?すぐにだすんですよね?」
「な?なぜだ!」
「は?まだ分かんないの?冒険者を全員敵に回してるのに?馬鹿じゃない?」
黒木は呆れていったが、
「な、なんだと!無礼者が!わしは」
「内閣総理大臣?すぐに降ろしてやる!」
「そ、そんなことができるわけが!」
「足の一本でももらって帰るか?」
青蘭は本気で言っているようだ。
「それじゃダメでしょ?自分からやめてもらわないとね!」
「い、いやだぞ!わしが!総理になる為に」
「知らないよそんなの?まぁ、内閣不信任決議案の可決は決まってるけどね」
と白鳥が言うと、
「は?そ、そんなのはじめて聞いたぞ!おい!」
「あはははは!その顔見たかった!まぁ、さっさと10日までに決めないといけないね?」
「自業自得よ、勝手に人の物を取って、警察にまで自分から指示してんだし、公私混同も甚だしいわ」
藤森は動けずにいた。青蘭が立ちはだかっているのもそうだが、なぜ不信任決議なんて…
「さっさと辞めることね。そして罪を償いなさい」
「は?わしが?なんの罪で?」
「不法占拠に不正に逮捕状を取らせて罪のない人を牢屋に叩き込んだんだから不当逮捕、その他にもありそうだけどね?」
「なんなら粗探ししようか?」
「わ、わしは国のためを思って」
「人1人の人生を台無しにして?」
藤森はこれで終わりにするなんてことを考えていなかった。どこかに抜け道がないかと思案する。
「わ、分かった!これまでのことはなかったことに」
「するわけないだろ?」
「ワシも人だから間違いはある!ワシが間違っていた!すまない!」
「言う奴が違うだろ?」
「そうだったな。早速釈放してもらう!」
首根っこを掴まれ連れて行かれる。
「な、なんだ!く、苦しい!」
「お前には衆人環視の前で謝ってもらう」
「クッ!は、はなせ!」
車に乗せられた藤森は叫ぶが誰も聞かず、車は東京拘置所にやってきた。
「「「「ウオオォォォォォォォ!!!」」」」
と大歓声の中、車は停車した。
「さぁ、ここで待ってろ」
記者やテレビカメラも来ている。
藤森は震えて、自分がこんなにも大きなことをしたんだとやっと理解した。
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