ガチャから始まる錬金ライフ

釈放

『おい、ようやく釈放だぞ？』
　と看守が言ってくる。
「えー、今いいとこなんだよ」
　テレビドラマの犯人がわかるところだ。
『いいから出ろ！外は大騒ぎだぞ？』
「ん？なんでだ？」
『にゃんでにゃ？』
　しょうがないので色んなものを片付けて外に出て行く。

「「「「ウオオォォォォォォォ！！」」」」
「な、なんだ？！」
　大勢の冒険者が取り囲んでいる。
「よぉ！娑婆の空気はどうだ？」
「青蘭？ってみんなもどうした？」
　『ブルーオーシャン』に『黒い宝石』、『バード』もいるな。

「あ！クソなトップがいやがる！」
『バカにゃやつにゃ！！』
　と俺が藤森に気付くと、
「す、す、すいませんでした！！」
　土下座で謝る内閣総理大臣。
「へ？なにこいつ？頭でも打ったか？」
「まぁ、そういうな。これだけの人の前で謝るなんてなかなかできないぞ？」
　そう言えばテレビカメラなんかも来ているみたいだし、シャッター音が聞こえる。

「まぁ、いいけど…良くないな。やっぱ俺の店返せや！」
「はい、それはもう」
「後賠償金とか、あー！めんどくせぇ！お前が全部悪い！！」
「…はい」

「はぁ、俺旅にでも出ようかな…」

　ほんと嫌になるわ！
「ダメです！『プライド』はどうするんですか！」
「俺たちもお前がいないとダンジョンに行けないじゃねーか」
　と如月や青蘭達が言う。
「はぁ、まぁ、そうだな」
「お疲れ様です」
　とミライが並ぶ。
「おっ！ミライなら賠償金とかわかるか？」
「それは弁護士に任せましょう」
「お！そうしよう！お前ちゃんと払えよ？」
「…はい」

　んならまぁ、いいか。
「んじゃ帰ろっか！」
「「「「おう！」」」」
「おら、お前もついでに送ってやる」
「はい」
　といって藤森は連れて行かれる。

「あいつに何やったんだ？」
「ん？世界の練金術師が不当に逮捕されれば、ああなるわよ？」
「ふーん、そうなのか」
　後で知ったが不信任決議が可決され藤森は辞職した。
　理由は海外からも注目されている要人を不当に捕縛、監禁、店も不当に占拠するような犯罪者をトップに置いて置けないからだそうだ。
　まぁ、勝手にされるのは頭にくるからな。

　日当たり500万の３日間で1500万＋2000万ほどの賠償金が入ってきた。
　藤森って結構持ってるんだな。

　ニュースにもなったが、まぁそのうち忘れるだろう。
　
「はぁ、のびのびできるならいいな！」
『だにゃ！こうして酒も飲めるにゃ」
　とテンとまったりする。
　『覚醒屋』も存続だ。
　今回のことは海外でもニュースになり、それなりにヘッドハンター達がきたが、やはり日本がいいと断った。
　藤森の後に総理になったのはそれなりに冒険者に理解があるらしく、覚醒屋にも自ら出向いて自分のジョブを取得していた。
　まぁ、カッコだけだろうが、藤森よりはいいだろう。

　藤森はその後、警察に御用になっていた。
　まぁ、勝手にしたんだからしょうがないだろう。

「さぁ、確定申告しないとダメですよ？」
　とミライとメグミが立っている。
「え？あ、あぁ。どうしよう？」
「税理士に任せるのがいいですね。レシートなんかは持ってますか？」
「はい。インベントリに入れたままだけど」
「ならさっさとやっちゃわないといけませんね」
　と連れて行かれた税理士事務所で確定申告をおねがいすることにした。
　もう丸投げだ。
　それでも大丈夫だそうだから凄いな。

　家に帰ると、
「さぁ、ポーションでも…ってカプセル開けるの忘れてたな」
　『プライド』でガチャやった残りがあったわ。

　赤が10、銀が1、金が1だ。
　赤は、
・上級ポーション×7
・ステータスポーション（一分間＋50）×3
　と言うのが出た。
　あとでまたバイブルを読んでみよう。

　銀が、
・天空の錠剤（AGI＋DEX＋40）
　よし、飲むぞ！
　金が、
・スキルボール『雷魔法』
　ほう、これは取っておいてモクレンだな。

　よし！練金釜をだして、錬金をやって行く。
　練金の本に載っていたようにやって行くと少ない素材でも倍の量ができたのでやはり教本があると違うなぁ！

　世話になったので大量に作って行く。

　ポーションを作り終えてから蟠桃、紫貨、レーベの葉、新聖水で『限界解除薬』と言うのを作ってみる。
　人間の限界を越えるそうだがまだ必要はないだろう。

　あとは『ブルーオーシャン』が取ってきたなかに、弓師、剣士、騎士、魔法使いの種があったからスキルボールにしておく。
　こう言うのがオークションでも大事だからな。

『まだにゃにかつくるのかにゃ？』
「おぉ、ごめんごめん、つい熱中しててな！」
『それはいいけどもう夕方にゃよ！ビールの時間にゃ！』
　とうちのノンベェがそう言ってるんで今日はお開きにして晩酌タイムに突入する。

　最近の猫缶は高級なのがあって、それをつまみに飲んでいるテン。
「美味いのか？」
『まぁ、つまみに最適にゃ！』
　と言ってうまそうに食ってるので俺も食べてみたが人間の食う物ではなかった…。

　つい出来心で…。

　口直しにビールを流し込み、焼き鳥を食べる。
「うん！やっぱりこれだな」
　とテンには悪いがその味は受け付けない。

　ニュースを見てると、藤森は裏金なんかに関与してたみたいな感じで報道されてる。
　叩けば埃が出るもんだな。

　久しぶりに我が家のベッドで眠る。
　テンも自分のベッドを買ってやったらそこで寝るようになったのであの硬い布団から解放されたのは嬉しいだろうな。

　翌日は『プライド』までミライとメグミを連れて行く。
「いらっしゃいませ！」
「よ！またよろしくな！」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」